経済政策で人は死ぬか?: 公衆衛生学から見た不況対策

  • 草思社
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  • Amazon.co.jp ・本 (320ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784794220868

感想・レビュー・書評

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  • 結論はすでに帯に書いてあるが、福祉や衛生に支出をしなかったり、不況下で労働者保護をおこなわなかった国は、死亡者が多かったことを、ここ近年の主要国のデータをもとに分析したもの。

    でも、よく考えたら、いまのように社会福祉や衛生に対する国策がなかった中世では、飢餓や病気での死者が多かったのだから当然ともいえる。

  • 原題:THE BODY ECONOMIC: Why Austerity Kills, 著者:David Stuckler
       Sanjay Basu


    草思社 
    http://www.soshisha.com/book_search/detail/1_2086.html


    David Stuckler
    公衆衛生学修士、政治社会学博士。王立職業技能検定協会特別会員。イェール大学、ケンブリッジ大学、オックスフォード大学などで研究を重ね、現在、オックスフォード大学教授、ロンドン大学衛生学熱帯医学大学院(LSHTM)名誉特別研究員。著書にSick Societies: Responding to the Global Challenge of Chronic Diseaseがある。オックスフォード在住。

    Sanjay Basu
    医師、医学博士。オックスフォード大学大学院にローズ奨学生として学ぶ。現在、スタンフォード大学予防医学研究所助教、また同大学にて疫学者として従事。サンフランシスコ在住。

    橘明美
    英語・フランス語翻訳家。お茶の水女子大学文教育学部卒。訳書にチャールズ・マレー『階級「断絶」社会アメリカ』、ユベール・ヴェドリーヌ『「国家」の復権』(ともに草思社)、マイケル・ラルゴ『図説 死因百科』(紀伊國屋書店)ほか多数。



    【目次】
    目次
    序文

    第1部 過去の「自然実験」に学ぶ
    第1章 ニューディール政策は人々の命を救ったか
    イギリス政府に見捨てられたマカードル一家/大不況への対応 銀行救済のための福祉削減/1930年代の大恐慌から学ぶべきこと/大恐慌の悪影響 労働者階級が苦境に/大恐慌の好影響 なぜか死亡率が低下/疫学転換による長期的な死亡率低下傾向/不況になると交通事故死者数は減る/大恐慌化での政策論争/禁酒法廃止をめぐる論争/財政政策をめぐる論争/ニューディール政策と公衆衛生

    第2章 ソ連崩壊後の死亡率急上昇
    男たちはどこへ消えたか/旧ソ連の経済はどのように崩壊したか/ロシアの統計データを精査すると……/飲酒がらみで死亡するロシア人男性の数/ブルーカラーや失業者は死亡率が著しく高い/死亡率上昇を避けることは不可能だったか/市場経済への移行方法の選択はどう行われたか/市場経済移行の速度差による自然実験/死亡率、貧困率に違いは大きく表れた/ロシアはまだ回復していない

    第3章 アジア通貨危機を悪化させた政策
    16歳の少女を襲った悲劇/アジア通貨危機はどのように起きたか/IMFに従った国、従わなかった国/貧困率、自殺率、物価が急上昇/医療支出削減が招いた悲惨な結果/自然実験の結果には明確な差が

    第2部 サブプライム問題による世界不況に学ぶ
    第4章 アイスランドの危機克服の顛末
    小国アイスランドの意匠制度が直面した危機/公衆衛生の実験室となったアイスランド/アイスランドが流星から凋落へといたる過程/IMFへの支援要請とアイスセーブ問題/金融危機下での政策選択をめぐる論争/国民が投票で政策を選択した/不況のせいで健康になった?/社会保障維持のために行われたこと/アイスランドから学ぶべきこと

    第5章 ギリシャの公衆衛生機器と緊縮財政
    「不況下での緊縮財政」という実験/ギリシャの急成長とその崩壊/ギリシャを襲った三つのショック/IMFの課した緊縮策をそのまま実施/公衆衛生への影響は当初隠された/医療費はどのように削られたか/人々は病院に行けなくなり健康状態が悪化/対策予算削減による感染症の拡大/公衆衛生の危機に政府はどう対応したか/政府は状況の悪化を見て見ぬふりで通した/政策は更に現実から剥離していった/IMFも緊縮策の失敗を認める羽目に

    第3部 不況への抵抗力となる制度
    第6章 医療制度改変の影響の大きさ
    健康保険を失ったために起きた悲劇/オバマ医療改革以前のアメリカの医療事情/市場原理が医療を不効率にしていた/国民皆保険制度の国々との比較/イギリスの国民保健サービス(NHS)の優秀さ/イギリスの「医療及び社会的ケア法」

    第7章 失業対策は自殺やうつを減らせるか
    徴税公社に追い詰められ自殺した人たち/失業者が増加すると自殺者も増えるか/失業増加でうつ病も増えた/再就職を促す積極的労働市場政策(ALMP)とは何か/フィンランドとスウェーデンのALMPの効果/ALMPは福祉依存度と自殺率を下げる決定打/歴史に学ばず事態を悪化させたイギリス

    第8章 家を失うと何が起こるか
    突然現れた奇妙な病気/ウエストナイルウイルス蔓延の原因と大不況/フォークロジャー危機の健康への影響/家を失いそうになるだけで健康は悪化する/大不況でアメリカのホームレスが激増した背景/状況を改善させたアメリカの対応/状況を悪化させたイギリスの対応/ヨーロッパ諸国はどのように対応したか/予算削減へと舵を切ったその後のアメリカ

    結論 不況下で国民の健康を守るには
    国民の命は経済政策に左右される/不況下での緊縮財政は景気にも健康にも有害/不況下での政策決定はどうあるべきか

    謝辞
    訳者あとがき
      [訳者あとがき資料]日本の自殺率と国民医療費の推移
    研究文献一覧
    原注

  • 498.13||St

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著者プロフィール

デヴィッド・スタックラー(David Stuckler)
公衆衛生学修士、政治社会学博士。イェール大学、ケンブリッジ大学、オックスフォード大学などで研究を重ねる。オックスフォード大学教授を経て、現在イタリアのボッコーニ大学教授。著書にSick Societies: Responding to the Global Challenge of Chronic Diseaseがある。

「2022年 『文庫 経済政策で人は死ぬか?』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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