- Amazon.co.jp ・本 (331ページ)
- / ISBN・EAN: 9784794225115
作品紹介・あらすじ
「幸せな職場」だけが、変化に対応できる。
多数の日本企業が参加した「幸せの計測技術」
「組織を幸せに導く技術」の実証実験の成果がここに。
『データの見えざる手』著者による、待望の新著!
[内容より]
◎変化への対応阻む「ルール」「PDCA」の罠
◎幸せな人が多い企業は1株当たり利益が高い
◎「幸せ」をスマホのアプリで計測する方法
◎データとAIは未来予測には役立たない
◎格差拡大の根源はエントロピー増大則にある
◎未知への対応力を育む知恵、東洋古典『易』
世界は、以前にも増して移ろいやすく、予測不能になった。
企業は「いかに変化に適応するか」という競争にさらされている。
したがって、これからの時代の従業員は、未知の変化に対応するため、
実験と学習を繰り返しつつ仕事のやり方を変えるという、
非常に面倒なことに挑み続ける必要がある。
その「面倒なこと」こそが、いまや最も生産性の高い重要な仕事だからだ。
これを続けるには、従業員は幸せでなければならない。
実際に、幸せな人は「面倒だが重要な仕事」に積極的であり、
幸せな人が多い企業は生産性が高く、1株あたり利益も高いことが示されている。
今後のマネジメントに重要となるのは、孤立やパワハラなどの
「組織の病」を予防するために適切な介入・施策を行い、
組織を幸せな状態に保つことだ。そのための技術も整いはじめている。
いまや、著者らが開発した技術により、スマホのアプリで人々の幸せが測定可能となった。
また、数多くの日本企業が参加する実証実験によって、
組織を幸せに導く技術も確立されようとしているのである――。
『データの見えざる手』でビジネス界に衝撃を与えた著者が、最新研究をもとに、
個人や組織が「予測不能な変化」といかに向き合うべきかを論ずる、瞠目の書。
感想・レビュー・書評
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以前読んだ「データの見えざる手」がとてもよかったので、こちらの本も手に取ってみました。
こちらの本も期待通り、最高です。
※データの見えざる手: ウエアラブルセンサが明かす人間・組織・社会の法則
https://booklog.jp/users/noguri/archives/1/4794220685#comment
本の前半は、「幸せ」を科学するというか、
数値化して、データで分析するという内容。
どうすれば、組織の人間が幸せになるのかについて書かれており、
組織に所属するあらゆる人に示唆がある内容。
例えば、「だから僕たちは、組織を変えていける」などで紹介された
成功循環モデルのファーストステップ「関係性の質」を高める具体策が書かれています。
※だから僕たちは、組織を変えていける
https://booklog.jp/users/noguri/archives/1/4295406252#comment
後半もとても面白かったです。
特に、AIのあるべき姿として、過去のデータから統計的に
決まりやルールを導き出すだけではダメで、
ポジティブな外れ値を見つけて、
未来の兆しを見つけるのがあるべき姿だという著者の主張は、
とても説得力があり、参考になりました。
これからの時代に必須の一冊だと思います。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
【どんなことが起きても対応できる】
示唆に富んだ内容でした。
PDCAを否定し、標準化、ルール化を否定しているところがすばらしいです。
確かに、PDCAは計画したことが未来で起きると想定しています。標準化、ルール化も過去の状況に基づいて決定されます。
しかし、過去をどれほど研究しても過去にうまく行ったことしか見つけだせません。
未来を予測することは不可能です。
先人がうまくできたことの焼き直しで、うまく行く時代は終わりを告げています。
情報は一瞬にして世界全体へ伝わる時代です。世の中、全体が常に最先端な状態なのです。
つまり、これから先に起きることは全て未知との遭遇となります。
情報が瞬時に伝わらない時代であれば、ある場所で起きた情報が瞬時には世界全体に伝わらず、場所によってはまだ知らない状態が存在していました。
しかし、今はみんなが最新の情報を知っているのです。
さらに、同じことは二度と起きないと仮定すると、過去のデータに基づいて判断したことは間違っていることになります。
判断基準がないので、過去に起きたことに近い判断は正しい判断に思えるのですが、二度と起きないのであれば、100%間違った判断になります。
― 未来は何が起きるか予測不能 ー
未来は予測不能であるという心構えでいれば、何が起きても驚くことはなくなります。
しかし、予測不可能だから、ノーガードで殴られっぱなしでは意味がないと思います。
ストレートが来るのか、ボディブローか、膝蹴りか、ローキックなのか、それだけではなく、背後からか、はたまた頭上からなのか何が来ても驚かず対応できる構えは必要です。
ウイルス、戦争、巨大地震、隕石衝突、AI暴走、薬、魔の炭水化物、魔族襲来、エスパー登場、グール、クローン、メタバース、世界線の崩壊などこれぐらいなら予測範囲です。
しかし、実際は想像ができないことが起きるのです。想像もできないので書くこともできません。 -
幸せな組織の特徴
flat 均等
人と人とのつながりが特定の人に偏らず均等である
improvised 即興的
5分から10分の短い会話が高頻度で行われている
1時間の定例以外の会話がある
Non-verbal 非言語的
会話中に身体が同調してよく動く
equal 平等
発言権が平等である -
◯多くの企業では、以下の4つの統制を導入してきた。
(1) 計画に従ってPDCAをまわす
(2) 仕事を標準化し、横展開する
(3) 当事者が誤った判断を下すことを内部統制により防止する
(4) 従順な人を安く雇い、設備に投資する
(49p)
◯今日のオペレーションに、明日のための的確なデータ創生の視点を入れなければいけない(202p)
◯ここで一番だめなのは「私はブランコ屋なのに、鉄棒をやらされて困っている」と過去を引きずることだ。(219p)
◯変化を機会に変える行為が「幸せ」である(276p)
★「実験と学習」という、デザイン思考とか、アジャイルの考え方が見直されているが、これまでの、効率しか考えない、非効率が罪のような考え方の方が、特殊な、高度成長期の成功体験に引きずられた、一過性のものだったのかもしれない。
★今でも「標準化と横展開」が有効であることは言うまでもない。ただそれを盲信して思考停止になるのは避けたい。深化と探索、Googleの20%ルール。
★この本が独特なのは、変化に対応するために「幸せ」を追求している点。幸せは状態でなく行為なのだ。意識的に共感と敬意を示そう、楽観的なものの見方は鍛えられる、という提案に共感した。 -
◾️概要
予測不能な時代に、データが導き出す幸せな生き方とは何かを知るため、読みました。最も印象的だったのは、「変化を機会に変える行為が幸せである。幸せは状態でなく、行為だ。」です。また、組織の幸せは、メンバーが周囲を元気に明るくしているかで決まるということも、エビデンスとともに述べられています。
◾️所感
長らく経験則で語られ、捉え所のなかった「幸せ」にデータという物差しをあて解き明かしていく様は圧巻の一言です。研究という枠に収まらず、ドラッカーの述べた21世紀の偉業と言えるでしょう。分野の壁を越え、あらゆる角度から本質に迫り議論を展開しています。まさに、目的の達成のために手段を選ばず果敢に取り組むべき、という主張を体現していると感じました。 -
幸せと生産性因果がデータをもとに結論付けられていて非常に参考になった。
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少し読んでは考え、少し読んでは考えることがある本でした。
良いチームを作りたい方、予測できない世界を生きることに
不安を感じている方におすすめです。
とても良い本だったので長めの紹介文になっています。
科学、特に統計学は人々に予測する力を与えてくれました。
深層学習は過去のデータから最適な組み合わせを見つけてくれます。
幸せに働く人が多いチームでは売上が良いことを示しつつ、
幸せに働くチームが"どのような行動をしているか"を、
ウェアラブルデバイスから得られたデータを基に分析します。
一方で私たちを取り巻く環境は、大きな技術の切り替わりだけでなく、
ほんの小さなきっかけですらSNSで共有され、不連続な予測不能の未来を
紡いでいきます。
このような予測不能の世界では、急峻なニーズの変化、
企業の部門撤退や倒産に翻弄され不幸を感じる境遇に
直面することも少なくないと思います。
こんな予測できない時代に私たちはどう生きるのか。
そのヒントが3000年以上前に体系立てられた易経にあると筆者は言います。
易経はごく最近まで広く学ばれ、先の見えない世界を駆け抜けた明治時代にも
重宝されていた考え方です。
変化を多角的な視点で受け止め、行動し、学び続ける方法を示してくれる易経は、
本来、日本人が一生をかけて鍛錬した"道"は学び続ける精神(武道、茶道など)として
根付いてきた考え方だと言います。
変化とうまく付き合い、幸せに生きるコツを教えてもらえる1冊でした。 -
著者の講演を聞いて手にした本です。お話も平明で力強かったですが、文章で読むとさらにその印象は強まりました。理系研究者の語る「幸福論」は、まるで方程式を立てて、それを解いているような気持ち良さがあります。また、それが抽象論ではなく徹底して具体であるのは、実証実験とデータを重ねて行くスタイルにもあると思います。読みながら4年前にに読んだアレックス・ペントランドの「ソーシャル物理学」を思い出しました。本書は「ソーシャル物理学」の半径を身の回り3メートルにメッシュした、いわば「ハピネス物理学」です。しかし、著者の論理的な主張のその手前で、アメリカの下院議員ジョン・ルイスの「民主主義とは状態ではない。民主主義とは行為である。」という言葉から語る「幸せとは状態ではない。幸せとは行為である。」という力強いアンセムがなによりも刺さりました。Happinessという状態からHappingという動詞へ。ってことは「Happing物理学」か…。FINE、HOPE、だけでなく、とにかくいっぱいフレーズ、メモしました。
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1〜2週間に1冊は本を読みたいと思っているが、この本はやたらと時間がかかった。小さい文字で324ページはなかなかヘビー。内容的にも「ウェアラブル端末やスマホの登場で、幸せを科学的に測定可能になった」ということをベースにその結果を説明してくれればよいものを、自己の研究成果や上記と直接関係のない思いが散りばめられており、読みにくかった。
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あ、面白かったです。たくさん、思うところがあり、付箋を沢山つけました。もう一度読みたいです。タイムリーに出会えたかもしれません。