- Amazon.co.jp ・本 (181ページ)
- / ISBN・EAN: 9784794922595
感想・レビュー・書評
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ブローティガンの名作。だけど、自分には合わない…
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2020/11/15読了
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ブローティガンは忘れられた世界と社会の周縁部を優しさと慈しみに満ちた眼差しで掬い上げ、そこに住まう人びとをユーモアで包み込む。
ぽつりぽつりと吐き出される言葉は少年があのとき零せなかった涙のようだ。回想は行きつ戻りつを繰り返し、あの日、あの場所に帰着する。哀惜と愛惜の念は、時間が経っても物理的に距離を取っても、薄らいでいくどころか追憶するたびに立ち現れる光景の鮮明さを増していく。心の一部は今もそこに置き去りにされたまま、泣いている。だから過去からの呼び声がこんなにもかなしい。風が吹いても消えやしない。 -
ブローティガン史上最高の名作かもしれない。ブローティガンがこのあと拳銃で自殺したことを踏まえて読むと切なくて心を落ち着けながら読まないと先に進めない。 周りの人がぽんぽん死ぬし、冒頭があのときなんでハンバーガーを買わなかったのかという過去の行いを悔やむ回想からはじまるし、なんだか終末感が凄い。これが絶版なんて有り得ないわ。そりゃ8,000円くらいで売られてるわよね。ブローティガンの作品はファンタジー寄りの作品が多いのにこれだけ終末感が凄い。まぁまだ何冊か読んでないのあるから、他にもこの手の本があるかもしれないけど……
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これは、初体験な小説でした。
ひとつひとつの場面が一個の「詩」のようです。
詩が、いくつもつながっていく。
本を思い返すとき、人が覚えているのはその中に登場する「情景」だと、長田弘は言いました。
この本は、本当にそうした情景が映画のように思い起こされます。
トラックの荷台に家具を積んで釣りにくる夫婦。
池のほとりに作られた壁と屋根のないお部屋。
おじいさんの髭の中にできた噛みタバコの跡が水仙の花畑のようであること。
デイヴィットが赤い血の海にどこまでも沈んでいくように見えること。
隣の葬儀屋の女の子の、たぶん薄い灰色とピンクのまじったような簡素なワンピースの色。
そしてそのひとつひとつのディテイルが私をとらえていきます。
この作家の本は、どれも読みたいなと思いました。
またも、一生付き合いたい作家に出会えたことに感謝。 -
未読
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おそらく、訳者がちがえば、もっとよかったんだと思う。藤本さん訳で読んでみたい。そうしたら、きっともっと好きなはず。