- Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
- / ISBN・EAN: 9784797389746
感想・レビュー・書評
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遺伝についても記述は、知らなかった内容も多くためになった。が、教育制度の話になるとなるほどと思わないことは無いが、一個人の考えに過ぎないと捉えた方がいいような気がした。何故なら実現が不可能に近いと思ったので。
あと、誤字が何ヶ所か気になった。2016年の初版を読んだのでもう訂正されてるかもしれませんけど。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
生まれながらに配られるカードは決まっている。
ならば人によって向き不向きがあることは当然として受け入れるべきだ。
遺伝は自分の中の内なる感覚として、自分の好きなこと得意なことを環境の中で教えてくれる。
それに専念、集中投資することが個の成長にとっては最高効率だろう。
進化の過程で淘汰されてしまいそうな遺伝子がいまなお残っているのは、ある条件では不利でも別の条件では有利に働いている可能性があるからだ。
金子みすゞの詩を思い出す。
すべての遺伝情報にリスペクトを -
子供の能力を伸ばすために親ができることは、長期的に見ればほとんどないと知り、とても気が楽になった。
驚いたけれど、自分の人生を振り返ってみても納得できる内容だった。
子どもと一緒に過ごせる時間を大切に、楽しく過ごそう。 -
『感想』
〇能力にもいろいろあるが、ほとんどで50%~80%が遺伝によって影響を受ける。残りは非共有環境の影響であり、共有環境つまり家庭環境は影響をほとんど与えないと言われている。
〇身体や才能の部分は遺伝によって影響を受けていることがわかるし、そこで不満も出てこないが、知能も同じであるといわれると、どこか納得できないところがある。努力が大事という考えから離れているからね。また親や学校の教育で苦労していることは何なんだという寂しい気持ち。
〇今は知能が大事な時代で、昔と違って身分や環境でそもそも競争に加われもしないことはないのだから、その遺伝子があるかどうかは重要かもしれない。しかし今後どの力が重要になるかはわからない。
〇遺伝がどうとか言ったって今更仕方のないことなのだから、まずは今できることをやろうじゃないか。素質はあっても努力せず、その力を生かせていない人はいっぱいいるはず。文句を言うのは自分の限界までやって超えられない一線をしっかり認識したときだ。
〇年齢が上がるほど遺伝の影響力が大きくなるとは面白い。確かに子どものころより大人にそれも成熟してからのほうが、自分のやりたいこと知りたいことってわかってくる。これは遺伝子が内側から導いてくれているのかもしれないな。
『フレーズ』
・注意していただきたいのは、どんな能力も社会的に認知されて初めて「能力」として定義されるということです。(p.39)
・科学技術の背後には、膨大な知識が存在しており、それを理解して使いこなすには抽象的な概念を扱える知的能力が必要になってきます。(p.45)
・私たちは子どものころから、それがなぜどのようにして出来上がったのかがよくわからない文化的知識の産物の大海に投げ込まれ、常に知識を学び、抽象化し、隠れた規則を推理し、それを別の場面にあてはめ、その正しさを確認しながら、おぼれずに泳いで生きてゆかねばなりません。(p.47)
・現代は、かつては天才やエリート層にしか求められていなかった賢さ、つまり知的能力が、あらゆる人に要求されるようになった時代だといえます。(略)昔はそれを学ぶ境遇にあったかなかったかが、そうした知的能力の個人差の決定因でした。誰もが学べるようになったいま、その能力の個人差に遺伝の差がはっきりと表れるようになったのです。(p.49)
・年齢が上がるほど遺伝の影響が大きくなっていくことがわかります。(略)人間は年齢とともに経験を重ねていくわけですから、環境の影響が大きくなっていきそうなものですが、実際は逆なのです。つまり、人間は年齢を重ねてさまざまな環境にさらされるうちに、遺伝的な素質が引き出されて、本来の自分自身になっていくようすが行動遺伝学からは示唆されます。(p.117) -
双子の母として、納得できる内容
遺伝と教育の関係はタブー
そこにあえて踏みこんだ本書は社会的意義が高いなと感じる -
橘玲さんのベストセラー『言ってはいけない』へのアンサー本的に出された本。
『言ってはいけない』で引用され橘さん流に解釈された内容を本来の意図で説明されています。
『言ってはいけない』にショックを受けた人には是非読んで欲しいなぁ。書店でも隣で平積みして欲しい。 -
「日本人の9割が知らない遺伝の真実」
ベストセラーの「言ってはいけない」の売れているうちにと言うことで出版された本である。急いで書かれた割にはよくまとまっている。著者は行動遺伝学、教育心理学が専門の慶応の教授で、既に遺伝について数冊の一般向けの本も出しているためだろう。
内容はきちんとデータを示して学術的な面から遺伝、教育について説明しているので納得できる。そして、「言ってはいけない」のようにセンセーショナルな書き方はしていない。
それでも、「知能や性格、才能について遺伝は無視できないほど大きな影響を持つ」と認めており、「人間は年齢を重ね様々な環境にさらされるうちに遺伝的な素質が引き出され、遺伝の影響が大きくなる」と若いうちよりも年を取ってからの方が遺伝の影響が大きくなると言っている。
また、最近注目されているのが、「やり抜く力、粘り強さ、自己制御能力といった非認知能力がIQのような認知能力以上に仕事の成功に影響を及ぼす」と言うことであり、その一方で「あらゆる文化は格差を広げる方向に働く」とも言っている。
そして、「社会にはいろいろな才能が必要とされており、才能の発見とはまだ発現していないものを発現させるのではなく、既に発現しているものの中に文化的・社会的価値を見いだしていくことだ」と著者の明るくまっとうな意見を述べているが、本書全体を見れば自分を規定しているのは遺伝だと言うことであり、なんとも、やっぱりそうかと言う気がしてならない。
そこで、ふと思い出すのは寅さんのオープニングのテーマ曲の一節である。
「どぶに落ちても根のある奴は、いつかは蓮の花と咲く」 -
知力含め人間の能力の約半分は遺伝に依り、青年期以降より濃く遺伝の形質が現れる。
歳をとると母親に似てくる娘、ってまさにこれ。
残りの半分も、共有環境(家庭内のしつけ等)よりも非共有環境のほうが能力に影響を及ぼすということ。
子育てするうえでの結論としては、
本来その子自身が持っている特徴をよく見極めてあげることが大切ということ。 -
行動遺伝学の入門書。学術的な観点から遺伝に関する事実をわかりやすく教えてくれる。遺伝の影響の大きさが社会で思われている以上に大きいという事実を淡々と説明してくれる。
知能テストで測れるものが知能であるという定義はとても面白い。能力は社会的に認められて初めて能力として認められるのであって、求められない、測れない能力は社会で機能していても軽視されるというあたりはシビアな現実を指摘してる。
結局は遺伝の影響からは逃れられないという身も蓋もない事実を認めてその上で教育をどう考えるかという話になるがなかなか解がない感じ。
この著者の文献を引用して橘玲氏がベストセラーをだし、後追いでこの本が出来たという経緯も面白かった。
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2017.11.27 amazon