べストSF2020 (竹書房文庫 お 6-1)

  • 竹書房
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本棚登録 : 202
感想 : 22
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  • Amazon.co.jp ・本 (440ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784801923508

作品紹介・あらすじ

2019年発表されたSFのベスト・オブ・ベスト、ここに決定。

感想・レビュー・書評

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  • SFって興味はあるけど何から手をつけたらいいのか分からない....という状態の私には、格好のガイドブックでした。気になった作家と編集後記/推薦作リストからも読んでいこうと思います。読書の幅が広がりそう!編者に感謝です。

    SFって短編やアンソロジーが多い分野なんでしょうか??

    ★個人的best3
    1.「平林君と魚の裔」
    スペースオペラって単語、知りませんでした。キャラ立ちが秀逸でぐいぐい読めました。


    2.「トビンメの木陰」
    宇宙、冒険、未知の生物、ワクワクと哀愁がぎゅっと詰め込まれている。何となく小さい頃に読んだ星新一に通じるものを感じて、そうか私のSFの原点はあれだったんだと感慨深かった。


    3.「ミサイルマン」
    おバカ(褒めてます)なんだけどキツめのブラックジョークがびりびり効いていて....絶望的なラストは爽快感さえ覚えました。

  • 『なめらかな世界と、その敵』に続いて、最近のSFを読もうと思い、こちらを読了。「平林君と魚の裔」と「色のない緑」がよかった。後者のショッピングモールの荒廃のさまは、ロックダウンもあり得る今の状況にもつながる、、SFをもう少し追っかけてみよう。

  • 随分読むのに時間がかかった。特に色のない緑。

  • この本に集められた作品が悪いわけでは全くないのだけど、コロナ以降ズルッと変化した日常を過ごすなかで、人とのやり取り、街の描写で心に映し出される情景に一枚膜が貼られた様な感覚。
    ウイルス前の現実感を読者に物語への没入として機能させるのは、難しくなったかもしれない。

    逆に言えば、これから作られるリアルの未知数さに楽しみが止まらない。

  • SF。短編集。2019年。
    全体的にはそれなりに楽しめた、という感じ。
    ハードなSFは少なく、不思議だったり、不条理だったり、コミカルだったり、広い意味でのSF作品たち。
    個人的ベストはオキシタケヒコ「平林君と魚の裔」。
    コメディ路線のスペースオペラながら、生物学的アイディアと、宇宙規模の生物淘汰システムが詰め込まれ、とても興味深い。かなり好き。
    次いで、「年金生活」「トビンメの木陰」の短めの2作品が、上手くまとまっていて良い。

  • はじめてSF短編集を買って読んだが、これほどお得な買い物はない!(笑)
    毛色の違う傑作が並び、まるで宝箱のようで、大人になってこんなにワクワクできるのが嬉しい。
    随所の大森望さんのコメントで、SF愛が伝わる。
    大森さんが熱望するも諸事情で入れられなかったという、伴名練さんの「なめらかな世界と、その敵」はそっこーぽちった。
    これからの楽しみが広がる、素晴らしいきっかけになった気がする。感謝!

  • 年度ごとのアンソロジーを編むのは難しい仕事なのだと認識できる。2019年に発表されたSF作品を収録する志は素晴らしいものだと思う。しかし、大人の事情で収録できない作品が多く、結果として“ベストSF”にはできなかったと感じた。そのような意味では、最も役に立ったのは巻末の2019年度短編SF推薦作リストが最も価値あるものだった。

  • 創元SF文庫「年間日本SF傑作選」が昨年で刊行ストップしたのを残念に思っていたところ、竹書房文庫で装いも新たに継続する運びとなりました。
    素直に嬉しい。
    ただ、嬉しいというものの2019年の傑作選は積読になっている状況。それを読まずに2020年を読むのは、どうかと思いますが、積読に気づかず手に取ってしまったのだから仕方ない。積読の整理ができていないせいです。
    積読の整理っておかしな話だよなぁ。そうなる前に読んでしまわないと、という逆転が起きています。本の虫ならあるあるだと思います。

    「年金生活」
    悠々たる老後のために積み重ねているはずの年金。もらえないであろうあやふやなものを払い続けているという不確かな現象は、希望なくゆるゆると死につつある老夫婦に近いものがあるのかな、と思い読み進めました。そこに生まれた微かな喜び。
    ただ、過去の暖かな記憶に寄りかかりながら暮らしてゆく未来は、やはりゆるゆると死んでゆくように思えて、少し残酷。最後の一文の行為。それを決意させたものが未来への希望に思えるだけに余計に。

    「平林君と魚の裔」
    あのUMAを平林君と読んでしまうことで、一気に親近感。オカルト好きなら、誰もが知る彼ら。子供心には3mという巨体と、どこかユーモラスなあの外見がミスマッチで恐怖を覚えたものですが、呼び方ひとつでここまで印象変わりますか。
    これで、ロマニー牧場に出てきても怖くないもんね。
    フラットウッズ。直訳して平林。言葉遊びの一環なんだけど、すごい力がありますね。言霊って、こういうこと言うんだな。

    「地獄を縫い取る」
    誰もが持つ嗜虐性を抉り出す展開。登場人物が陥った場所は、極端な例かもしれませんが、自分の心のどこかに眠っているものであると感じたので、恐ろしくもあり共感もあり。歪み溜め込み撓む前に、健全に発散しようと思います。下半身だけの感想。


    心に残った3作品。

  • その年のおすすめSF短編集の2020年版。粒が揃ってて良き風情。SFの手始めにもいいかもしれない。個人的5選は以下でした。
    ・オキシタケヒコ氏の「平林君と魚の裔」
    ・草上仁氏の「トビンメの木陰」
    ・片瀬二郎氏の「ミサイルマン」
    ・空木春宵氏の「地獄を縫い取る」
    ・飛浩隆氏の「鎭子」

  • 大森望編『ベストSF2020』読了。
    創元の年刊日本ベストSF傑作選を竹書房が引継いだ形。
    この中ではAI×言語学×百合の陸秋槎「色のない緑」が白眉。片瀬二郎「ミサイルマン」も不条理というかシニカルというか。サムライポテトの人と言われて納得。
    竹書房といえばポプテピのイメージ強かったけど直近は翻訳SFに力を入れてるらしく、そういえば猫SFアンソロは竹書房だったかと。SF出版今後もがんばってほしい。

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著者プロフィール

’84年千葉県生まれ。作家、翻訳者。’16年に短編「吉田同名」で創元SF短編賞を受賞し、’18年、受賞作を含む短編集『半分世界』で作家デビュー。’20年『ホテル・アルカディア』でBunkamuraドゥマゴ文学賞を受賞。最新作は『四分の一世界旅行記』。

「2022年 『ifの世界線  改変歴史SFアンソロジー』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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