死 内田百閒・林芙美子ほか (文豪ノ怪談ジュニア・セレクション 第二期)
- 汐文社 (2019年3月29日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (281ページ)
- / ISBN・EAN: 9784811324852
感想・レビュー・書評
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これまたいかにも、なテーマの一冊。怪談はすべからく死に繋がるものであるような気もするのですが。その中でもあからさまに「死」をテーマにしたものばかり。恐ろしくはあるけれど、誰しもが避けて通ることのできないものが「死」。ということで、シリーズ中一番身に迫ったテーマなのかもしれません。
いきなり西城八十「トミノの地獄」って……もうこれだけで既にやられてしまいました。最初の見開き一ページに詩は冒頭の一行のみ、そしてあと全部脚注、というこの構図もまた凄まじい!
あとの作品はどれもがひっそりとした死の印象です。じわじわと迫りくる印象がまさしく「死」。そしてラストの宮沢賢治「二十六夜」のあまりの穏やかさにしんみりとさせられたところで「黄泉の国」。この構成っぷりが絶妙でした。流石。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
玉川麻衣女史の美しく端正な挿し絵が、また哀愁と愛惜を誘う・・・。
西條八十の「トミノの地獄」地獄の様相・・・怖いんだけど、独特の雰囲気が好きな詩だな・・・。
原民喜の「秋旻」あの世へ続くかなしき末路をひた進む若人たちの記録。
内田百閒の「冥途」なんか・・・悲しかったな・・・。でも好きです。
三島由紀夫の「朝顔」こんなに優しい空気なのにかなしい三島作品初めて(驚)
芥川龍之介の「凶」文字通り、芥川の遺稿作品。晩年の空気感がかなしい。
小川未明の「金の輪」未明作品にいつもどこか漂う死の空気・・・懐かしい。
火野葦平の「魚眼記」いや~面白かった!怖いけど!怖いけども!
平山廬江の「大島怪談」そんな気はしたけど、貞子の地元か。
川端康成の「不死」出た!川端の十八番・ロマンティック幻想ホラー!うん、好きです。
日影丈吉の「墓碣市民」そうか、それならそういった霊もそりゃいるよな、と。
林芙美子の「上田秋成」老いと死と。
宮沢賢治の「二十六夜」賢治先生といえば、健気な動物の死を通して生き物の業と命を思う読書体験。これもまさにそれ。それにしてもフクロウに読経させる発想がすげえ。
『古事記』からはあまりに有名な「黄泉の国」収録。原文がド迫力過ぎる。 -
「いわゆる文豪の多くが、怪談・怪奇小説で傑作を多く残しています。怪奇文学、幻想文学分野のアンソロジストとして日本の大家・東雅夫さんの編纂により、それらを分かりやすく紹介する本になりました。一巻目は『夢』をテーマに、夏目漱石、芥川龍之介、夢野久作、小泉八雲などの怪談を収録。」(汐文社HP)
【収録作品】
夏目漱石「夢十夜」
内田百閒「豹」
中勘助「ゆめ」
芥川龍之介「沼」
谷崎潤一郎「病蓐の幻想」
佐藤春夫「山の日記から」
志賀直哉「病中夢」
夢野久作「怪夢」
北杜夫「夢一夜」
小泉八雲「夢を啖うもの」
【幻妖チャレンジ!】
『出雲国風土記』より「黄泉の穴」 -
新聞の書評欄より興味を持って。図書館で借りたけど、手元に来るまでジュニア向けってことに気づいてなかった。地獄から始まり極楽で終了。前半はなかなか好きでも、後半は肌に合わず。とにかく注釈がすごい。優しい単語にもついてる割に、注釈そのものが難しかったり。本編より多くてどっちがメインやら。