- Amazon.co.jp ・本 (335ページ)
- / ISBN・EAN: 9784812422953
感想・レビュー・書評
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消防車のサイレンを追いかけ消えてしまった親友。一年、二年と残酷に時ばかりが過ぎ、誰も彼もが忘れてしまっても、主人公のジョーだけは諦めませんでした。彼と同じ道を駆け抜け、彼が辿った匂いを嗅ぎ、この何処までも続く星空の下、同じ星を見上げているかもしれない僕等は、また必ず生きて再会出来ると願って。信じられるものだけが正しいものではないのだと思いました。人間は想像以上に脆く弱い心を持っている。だからどこかで疑いながら信じてる。そんな風に育ってきた大人が子供に言う、知らない人に着いていかないように。今の時代、これから先、私達はもっと他人を疑いながら生きていかなければならないのだろうか。
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まさか、そんなことになろうとは!
思っていたよりも謎めいていて、狂気と恐怖、勇気に満ちていた。 -
ヤングアダルトもの第一人者シアラー作、しかも金原先生の訳と有れば面白くないはずはない。
何事にも興味があり余り過ぎるジョナ。消防車を追いかけての突然の失踪。そのくだりを知るジョーが絶望の淵を彷徨い続ける心理と行動のドラマである。
サスペンスと言えなくもないけれど、筆者が書きたかったのは大人になり切れていないジョーの心の彷徨。最後、ジョナはどうなったかは触れていない。
ハーメルンの笛吹き男の話の史実的分析は「植民請負人による子供の略奪?」とあるように、ジョナの失踪は実に気味が悪い・・・・舞台になっている英国、サマセット州クラストンベリ・・・ケルト民族の名残りを随所に残す薄気味悪い?石文明の自然豊かな風景に想像をめぐらす。 -
原題は『THE LOST』。
好奇心に駆られて突っ走り、行方不明になってしまったかけがえのない友人をみつける少年の物語。
かけがえのない存在が本当に喪われてしまったのなら、受け入れるしかない。そこを外さず描きつつ、あきらめずに信じて探し求めることでしか手繰り寄せられない奇跡をテーマに据えてくれる。
喪う、ということへの向き合いかたをこんなふうに心に届けてもらえるのは、ありがたい。 -
サイレンを追いかけて消えた親友。親友を探す物語。
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前半はファンタジーかと思うような、フワフワした雰囲気でしたが、後半は別モノ。一転してスリリングな展開に引き込まれた。
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悪いことをするのは、いつだって男の人だ。
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それは登校中の出来事だった。
交差点へ向かって歩いていると、消防車が通り過ぎた。ジョナが「おい、追っかけようぜ。火事の現場を見てやるんだ!」と言って駆けだした。ジョーは後を追って叫ぶ。
「だめだ。遅刻するじゃん。もどれよ」しかしジョナは走り続け、それきり姿を消してしまった。
警察官や地元の人たちの懸命の捜索にも関わらずジョナの失踪から2年が過ぎ、誰もが少年の生存を絶望視するなか、ジョーだけはジョナが今もどこかで生きていると信じて、毎週末に自転車で郊外への道をひた走り、ジョナの痕跡を追い続ける。
それはまるで不思議な笛吹き(ストレンジャー)に連れ去られた子供と、たったひとり置いていかれた子供。
ジョーの前にかすかに現れては消えるサインは、彼をジョナのもとへと導く死者の声なのか……。
ひとりで考え、決め、黙々と行動するジョー。手に入らないもの、不可能なことばかりに心を奪われて、必死にそれを追いかけてしまうジョナ。
対象的なふたりの友情、親友を失ったジョーの喪失感と後悔、周囲との葛藤が巧みに描かれています。
副題と本文中にたびたびスピリチュアルな表現が出るため、一見ファンタジーのように思えますが、実は非常にリアルでシビアな物語。 -
面白かったー!
前半は少しダラダラした感じがあるものの、後半は一気に引き込まれました。
切り絵のような装丁も好きです。
アレックス・シアラーさんの本は初めて読んだので、これから別の作品も読もうと思います。