人生の王道

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  • 日経BP
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  • Amazon.co.jp ・本 (264ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784822244996

感想・レビュー・書評

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  • 器の大きな人間・西郷南洲の思想に学びたい
    かつて、とびきり美しく温かい心をもった、ひとりの上質な日本人がいた。魂を揺さぶる西郷の思想と行動を、混迷の時代に蘇らせた渾身の1冊。西郷の「遺訓」をもとに、経営者としての経験から、また一人の人間として、七五年間の人生から、著者が学んだことを伝える。

    西郷隆盛は、鹿児島の英雄です。鹿児島では南洲翁と呼ばれていて、著者である稲盛和夫は彼の思想と行動に共感し、「南洲翁遺訓」を座右の書としているそうです。その著者が、自己の体験と併せて西郷の遺訓を紹介したのがこの本です。
    それぞれの遺訓は、明治維新の頃の新しい政治体制の組織や人がどうあるべきかを示したものですが、これは現代の会社や政治にも通用する内容です。

    私の好きな文は以下の内容です。
    「遺訓二十七条*過ちを改むるに、自ら過ったとさえ思い付かば、それにて善し。その事をば棄て顧みず、直ちに一歩踏み出すべし。過ちを悔しく思い、取繕わんとて心配するは、たとえば茶碗を割り、その欠けを集め合わせ見るも同じにて、詮もなきこと也」
    テレビで議論するばかりで、実態は志の低い政治家たちに一度この本を読んでほしいと思います。

  • 結果、その「なにか」が間違いなくあった。
    1章1章、一言一言に感じる言葉の重み。
    「人として正しく」この言葉に論理的根拠はないが、時代や文化を越えた、世界共通の「王道」なのである。

    「謙虚」…この言葉がこれ程重たく感じられたことはなかった。
    完全などない。常に謙虚に、日々反省する。まさに自己研鑽である。

    無私の気持ちのリーダー像は、正直圧巻だった。完全に私心を消すことなど
    可能なのだろうか、というのが正直な感想である。

    受験で少しうまく行ったからといってあぐらをかいてしまっている自分、どこか「自分は大丈夫」と思い自分を愛している自分、大岸さんに言われただけでは足りなかったんだろうか。足りなかったんだろう。
    自己研鑽にゴールはない。
    常に謙虚に。「無理」と決めつけない。

  • ■概要
    日航再建で最近話題の稲盛さんが、座右の書である、「南洲翁遺訓」を元にリーダーとしての生き方、在り方について書いた本。

    南洲翁とは西郷隆盛のことです。

    ■仕事に活かせる点
    冒頭からシビレマシタ。

    『かつて日本の社会のいたるところに、上質な日本人がいました。
    たとえ経済的に豊かではなくても高邁に振舞い、上に媚びず下には謙虚に接し、自己主張することも無く、他に善かれかしと思いやる-そんな美徳を持った日本人がたくさんいました。

    また、そのような人々によって構成されていた集団も、自らが高い品格を備えていました。

    ものづくりの現場には、自分がつくった製品でお客様に喜んでもらえることを誇りに思い、品質管理を強制されずとも、自分が手がけた製品の品質や出来映えに、万全の注意と細心の心配りを払い、手の切れるような上質の製品をつくる人々が存在しました。

    それは製品を売る店頭でも同様でした。駆け出しの店員であろうと、一生懸命にお客様の身になって尽くしました。その上質のサービスも、決して上司に言われたからではなく、また、マニュアルに書いてあるからでもなく、もちろん売らんがためでもなく、思いやりに満ちたやさしい心から自然に発露してくるものでした。』

    上質な日本人。

    自分は上質な日本人でしょうか?
    我々は上質な日本人の集団でしょうか?

    稲盛さんの本を読んでいると、日本語の使い方が上手いな、と思うことがあります。
    ここで「上質な日本人」という表現も、伝えたいことを端的に言い表している気がします。

    また、稲盛さんの本を読むと、「正しい」ということの大切さが伝わってきます。人として正しい行い、正しい考え方、正しい経営。

    自分がどのようにあるべきか、どのように考えるべきか、そんなことを考えさせる一冊です。

    リーダーシップ開発の本としても最適です。一読を。(はっせー)

  • 京セラ創設者、現名誉顧問の稲森氏が書かれた本で
    西郷南洲翁の遺訓訳を軸として、人として王道を
    生きるための指南書である。
    京セラを一流企業に成長させた、経営のトップとしての
    心のありかたも誠に素晴らしく、人としての
    理想像だと思われる。
    鹿児島出身ということもあり、南洲翁には
    一方ならぬ尊敬の念もあるのであろうかと・・・
    文中紹介されてた「島津いろは歌」に
    薩摩藩の教育の素晴らしさも垣間見る事ができた。

    いにしえの 道を聞きても 唱えても
    わか行ひに せずば甲斐なし

  • 以前、「プレジデント」という雑誌に古典を学ぶというテーマの月があって、その中で著者の稲盛和夫さんがこの本を紹介していました。個人的には今生きている経営者の中では尊敬する人の一人、彼が同郷(鹿児島)の偉人、西郷南洲(西郷隆盛)の遺訓集をテーマにして、リーダー論や経営論、また、国のあり方や国際関係論を述べています。

    これからの経営、そして、日本の国のあり方は「徳」が大事だと一貫して書いています。政治も経済もアメリカ中心の市場原理主義がまかり通っている中、自分というものを捨ててでも、世のため人のために尽くせるような「無私」のリーダーが求められているというくだりは非常に感銘を受けました。

    また、西郷隆盛は「敬天愛人」(天を敬い、人を愛す)ということを述べていますが、本当に自分の行っていることが世の中のためになっているのか、私利私欲になっていないのかという考えを持っているのかという規範を持つことの重要性をいやというほど感じさせられました。

    「昔、地方の町や村には篤志家、素封家といわれる家がありました。大金持ちというわけではないけれどもそこそこの資産を有し、先祖代々続いた歴史を持ち、教養があり、冒し難い気品と威厳に満ちていました。何よりもギラギラした欲がなく、権力へのこだわりもなく、貧しい家の子に学費を出してあげるなど人々のために尽くすことで、人々から尊敬を集めていました」

    この文章を読んで、これからの日本、これからの経営、これからの自分に対する指針だと思いました。不況が騒がれている時代だからこそ、「徳」を持って報いることのできる社会を再構築することの必要性を感じさせられました。

    西郷隆盛というと、坂本龍馬に「釣鐘にたとえると、小さく叩けば小さく響き、大きく叩けば大きく響く。もし馬鹿なら大きな馬鹿で、利口なら大きな利口だろうと思います」といわれたり、渋沢栄一とのやりとりでも良くわからないことを言うようなつかみ所のない人だと思っていましたが、実際は、とても苦労をし、そこから培った真の至誠の人であることがわかりました。「徳」という理念を世界に、そして子供たちに説きたくなるようなありがたい本に出会えました。

  • 西郷さんのことを知るにはとっても良い本です。
    稲盛さんの本は読みやすく、ためになることがいっぱい。

  • とても真っすぐで曇りのない在り方があります。

    西郷隆盛の言葉から
    稲盛和夫さんがどう動いたのか?をつづる一冊。

    稲盛和夫さんのように
    真正面から立ち向かう姿勢と
    ”敬天愛人”の志を持ちたいと思います。

    一説に・・・

    京セラは、稲盛和夫の技術を世に問う場として、
    支援してくださる方々に作っていただいた会社でした。
    つまり、
    経営者である私が、
    技術者としての自分のロマンを追い、
    それを実現させることを会社の目的と考えていたのです。
    ところが、
    そうした理想が吹っ飛んで、
    いつの間にか社員の生活を守ることを会社の目的とせざるを得なくなってしまったのです。

    私は悶々として悩みました。

    「技術者としてのロマンを追えば、従業員を犠牲にすることもあるだろう。
    やはり、会社は、従業員やその家族の生活を守り、
    みんなを幸せにすることを第一義とすべきではないか」

    そう思い始めたとき、
    会社の応接間にかけてあった「敬天愛人」の書が静かに私を見下ろしていました・・・

    自分があって、
    仲間がいて、
    社会があって。。。

    その中で自分がどうあるのか?

    そんな視点から自分の在り方を創る一冊になるだろう・・・

  • 京セラの名誉会長である稲森和夫さんが西郷隆盛の遺訓を引きながら、経営者として、さらには人としてのあるべき姿を説いています。

    大河ドラマ『篤姫』を1年間見た後で、西郷という人の生き方そのものに非常に興味があるこのタイミングでこの本に出会えたのはよかった。

    印象的なのは、
    「経営でも、政治でも、学問の世界でも、成功した事が偉いのではありません。成功に驕らず、謙虚に、自分を律する強い克己心を持ち続けられることが、人間としての偉さなのです。」(第三章「利他」より)

    読み進めていくほど、ごくごく当たり前のことしか書かれていない。
    だけど、
    「一般には、人間のあるべき姿などは一度学べば十分だと思ってしまい、繰り返し学ぼうとはしないものです。
    しかし、スポーツマンが毎日肉体を鍛錬しなければ、その素晴らしい肉体を維持することができないように、心も手入れを怠れば、あっというまに元の木阿弥になってしまうものなのです。ですから、あるべき人間の姿を示した素晴らしい哲学を常に自分の理性の問い、人格のレベルを高く維持するように努力しなければならないのです。」

    なるほど。精進します。。。

  • 忙しい毎日で忘れがちな正しく生きることの大切さを思い出させてくれます。

  • 無私とは究極のスタンスと思うが、現在の考え方を覆してくれた良本。仕事に対するスタンスについても(おそれ多いが)思い悩んでいたことに合致しており、方向性がみえてきた。しかし「征韓論」はこれまで誤解してたな。

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著者プロフィール

1932年鹿児島県生まれ。鹿児島大学工学部卒業。59年、京都セラミック株式会社(現京セラ)を設立。社長、会長を経て、97年より名誉会長に就任。84年、第二電電(現KDDI)を設立し、会長に就任。2001年より最高顧問、2010年には日本航空会長に就任する。代表取締役会長、名誉会長を経て、15年より名誉顧問となる。84年、稲盛財団を設立し、「京都賞」を創設。毎年、人類社会の進歩発展に功績のあった人々を顕彰している。2022年8月逝去。その他著書に、『稲盛和夫の実学』『アメーバ経営』『稲盛和夫のガキの自叙伝』『高収益企業のつくり方』『人を生かす』『従業員をやる気にさせる7つのカギ』『成功への情熱』『生き方』等がある。

稲盛和夫の作品

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