方丈記を読む (法蔵館文庫)

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  • 法蔵館
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  • Amazon.co.jp ・本 (336ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784831826619

感想・レビュー・書評

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  •  方丈記を読むのも何度目だろうか。学生時代に読んだときは、「ゆく河の流れは絶えずして」で始まるその文章のリズムであったり、いわゆる五大災厄(大火、辻風、都遷り、大地震、飢饉)の簡潔な描写に目を奪われたが、年を重ねるごとに、長明の綴る心情や慨嘆、そして無常といったことに心惹かれるようになってきた。

     本書は、『方丈記』の校訂本文、大意、原文に加え、解説を含んだ著者のエッセイにより構成されている。もちろん方丈記や長明に関連したエッセイなのだが、校訂に関することや、長明が参照した仏典や先行者の作品などの学術的なことから、現代の映画や音楽、小説についての感想など、話題が縦横に飛んで、読んでいて楽しくなる。

     これまでの注釈本では読み飛ばしていたのか、本書の解説の諸所で触れられているが、慶滋保胤の『池亭記』や白居易の詩歌を、本歌取りと言うか、長明が参照していることを知ることができたのは大きな収穫だったし、いろいろな読み方ができることを改めて実感した。

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著者プロフィール

1959年生まれ。国際日本文化研究センター教授・総合研究大学院大学教授。専門は日本古典文学。京都大学大学院博士後期課程中退。博士(文学、京都大学)。
大阪大学大学院教授を経て、2010年4月より現職。国文学研究資料館併任助教授、コロンビア大学客員研究員、ネルー大学、チューリヒ大学、ベトナム国家大学、チュラーロンコーン大学、ソフィア大学の客員教授などを歴任。
著書に、『徒然草への途』(勉誠出版、2016年)、『かくして「源氏物語」が誕生する』(笠間書院、2014年)、『説話集の構想と意匠』(勉誠出版、2012年)、編著に、『夢と表象』(勉誠出版、2017年)、『夢見る日本文化のパラダイム』(法藏館、2015年)、『中世の随筆』(竹林舎、2014年)など。京都新聞に「文遊回廊」を連載(2017年〜)。

「2020年 『古典の未来学』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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