積みすぎた箱舟 (福音館文庫 ノンフィクション)

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  • Amazon.co.jp ・本 (336ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784834021530

作品紹介・あらすじ

二十二歳の青年ナチュラリストが相棒と二人で出かけたカメルーンへの野生動物採集の旅は、刺されたりかまれたり逃げられたり、現地の人たちも巻きこんだ大騒動。手つかずの大自然の中に魅力的な動物たちの世界が生き生きと展開する、英国自然保護論者の草分け・ダレルの記念すべき処女作。

感想・レビュー・書評

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  • 作者のダレルが22歳ではじめての動物採集にカメルーンへ出かけた時の体験をまとめたノンフィクション。相方は鳥が大好きなジョン。途中から別行動でひたすら採集とその動物たちの飼育。初めて見る動物もいるのによく飼育出来るなーと思う。そしてヘビやオオトカゲがたびたび出て来る^^;地元の人達は動物を生きているのも死んでいるのもビーフと呼ぶ、子どもから高齢者まで、ダレルにビーフを売りつけたくて次々と持ってくる。死にそうなのに、これは元気だ!と言い張ったり、夜番の見張りをサボったり、ダレルもジョンも振り回される。最初は文明国から来た白人が現地の土人からいいように巻き上げるのかと思っていたが、自然を愛し、動物を慈しむダレルたちの態度は、現地の人たちを喜ばせる。また、ダレル達もハンター達の腕前に感服し、採集の仲間となっていく様は気持ちが良い。そして、とても思い切りがよく体力があるダレルに読者は感嘆すると思う。死にそうになってもへこたれない気力、見習いたいです。とにかく予想以上に面白かった!

  • 初めて読むダレルの作品。
    詩人の長田弘さんが書いた『本という不思議』で紹介されていました。

    まさかこんなに沢山の鳥や小動物が出てくるとは思っていなくて最初は戸惑ってしまいました。
    写真を見ながら(時々は動画を見ながら)読み進めていくと、カメルーンの密林に迷い込んだような不思議な気持ちになりました。

    「鮮やかな色の鳥や見たこともない生き物がどこにいるかを正確に知っていなければ見かけることはまずない。」
    生きものの習性や採集の難しさがわかり、捕獲してからの餌付け、体調管理、小屋の掃除など…大変な作業があることも知りました。そして鳥や小動物たちに対する並々ならぬ愛情も!

    サスライアリの行進やヒメカメレオンのダンス、怖いけれど見てみたい。
    ヒヒのジョージがカメレオンを食べたこと、毛づくろいはノミ探しでなく塩粒を手にいれるためにしていると知り驚きました。鳥インフルエンザらしき話も出てきましたね。チンパンジーのチャムリーがロンドン動物園に送られて、脱走を繰り返しついには危険を避けるため銃殺された話は読んでいて辛くなりました。

    「エー・・アェー!」「ナ、・・・」
    現地人のお喋りの明るくリズミカルな調子が心地よく、声に出して読みたくなる本でした。         

  • 英国自然保護論者の草分けジェラルド・ダレルが、22歳のときに出掛けた英領カメルーンへの野生動物収集の旅で経験した大騒動の日々の記録。アフリカの大自然や鳥や爬虫類、哺乳類の表現が素晴らしく、一緒に体験している気持ちになった。
    動物たちだけでなく、現地の黒人たちに対する視点が温かく、著者の豊かな人間性が感じられた。

  • 1947年、動物が大好きなイギリスの青年が憧れのアフリカに降り立ち、動物を採集するノンフィクション。

    英領カメルーンを舞台に繰り広げられる冒険譚である。文化の違いに呆れることはあってもカメルーンの人々を対等な人間としてみているダレルの目線、生き物が好きで好きでたまらない気持ちがあふれ出したような語り口で、今の価値観には馴染まない植民地主義や動物採集などにも眉をひそめるような気にはならなかった。

    行動をともにした現地のハンターは一人一人名前が書き残され、個性の違いが読者に伝わるほど生き生きと描かれている。ダレルは雇った黒人を狩猟に行かせ宗主国の旦那として待っているようなことはしない。彼らと一緒に森や洞窟に入り、一緒に動物に齧られ、虫に刺され、川で怪我をする。狂犬病や破傷風になりはしないかとはらはらしながら読んだ。
    訳もよく、「ナ、旦那、ビーフはいないよ」「エー……、アエー!」といったピジン・イングリッシュ(現地の英語)で交わされるテンポのよい話し方がうつってしまいそうだ。

    捕った動物たちの檻を作り、日夜給餌し、アリから守りと、地味で大変な仕事なはずの世話も、現地スタッフとのドタバタとともにユーモアを満載して書かれている。また、自然界では特定のものしか口にしない生き物を、人間の与える餌に慣らしていく過程などにプロの技術も垣間見ることができて興味深い。

    蛇や爬虫類は苦手だったが、ダレルが毒蛇ももろともせず、好意的に描写するので、かわいく親しめるもののように思えてくる。山地や木々の描写も素晴らしく、おそらく蠅だらけで、獣のにおいのする場所であろうに、ダレルの目を通すと世界があまりにも美しいので羨ましくすらあった。
    ダレルの森や生き物を愛する気持ちが読者にも伝染するような本だった。読むと地球が少し好きになる。ほかの著書も読みたいと思う。

  • 2020.05.20 品川読書部で紹介を受ける。
    http://naokis.doorblog.jp/archives/shinagawa_reading_comm_33.html

  • ノンフィクション
    サイエンス

  • 野生動物収集家の話。野生動物を現地で買い上げ、餌付けして、動物園に持ち込む仕事。野生動物を餌付けできるとはすごい。ノアの箱船の話かと思って読んだが、全くの勘違いだった。

  • 西アフリカのカメルーンに行ったような気分にさせてくれる素晴らしい本。

    世界的、著名な動物学者ダレルの小動物観察記。

    現地の密林の描写といい、
    小動物との採集の現場をリアルに表現する文章力。
    そして、現地人との面白いエピソードに満ちた冒険がハラハラドキドキさせてくれる。

  • 冒険や野生のいきものが好きな人向け。現地の人とのやりとりは興味をもった。

  • 「大人げない大人になれ!」で、
    大人げなさを取り戻すための本棚…として紹介されていた本。

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