この本が、世界に存在することに (ダ・ヴィンチブックス)

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  • KADOKAWA(メディアファクトリー)
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  • Amazon.co.jp ・本 (237ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784840112598

感想・レビュー・書評

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  • 2話目で2回目と気づいた。この本の内容とリンクする現実。後書きにあった「本に呼ばれる」というのもとても分かる。また何年か後にこの本を手に取りそうな気がするけれど、今の私の心に響く話があったのでやはり手元に置いておきたい。なので買います。

    『引き出しの奥』の最後の3行が圧倒的にクリアで、なんだかとても清々しくなった。

    そしてやっぱり
    『さがしもの』が好き

    いつだってそうさ、できごとより、考えの方が何倍も怖いんだ

    いろんなことがある。
    それで、できるだけ考えないようにする。
    目先のことをひとつずつ片付けていくようにする。
    そうすると、いつのまにかできごとは終わり、去って、記憶の底に沈殿している。204

    なんてことない描写がヒーリングサロンにいるかのようにすっと心と頭を癒してくれる。爽やかな気分にもしんみりした気分にもいともたやすく自分を操作してくれる。

    いまいちな本を読んだ時、私はすぐに「つまらない本」と思ってしまっていたのだけれど、確かに読むタイミングで感じることは全く違ってくるのかもしれない。だから「つまらない」と切り捨てるのではなく「今は分からない」「今は合わない」と未来に可能性があるような感じ方をしていきないなと思った。とにかくこの本はとても大事な本になる気がした、今は。

  • これ本じゃなくてもいいんじゃないか?と思う話もあったけど、それなりに面白かった。
    1番最後の角田さんのあとがきエッセイが1番面白かった。

  • 本のある生活が愛おしくなる。
    また読みたい。

  •  「さがしもの」に、自分の置かれている状況をずばり指すような文章が出てきて号泣。考えれば考えるほどに目の前が暗くなるけど、起こってしまえばきっと大丈夫。

  • 昔読んだ時はなんか尻切れトンボな感じであまり好きじゃなくて途中で読むのやめた気がするんだけど…文庫版を見て読み返したくなって読んでみたら今回はハマった。まさにこの本に書いてあったとおり、その時合わないからってダメだと決めつけない方がよいよな…と思わされた一冊。今なら本との出会いの意味、みたいな感覚が昔より分かる。

  • エッセイかなと思って読み進めていたけれど、途中で、あ、それぞれ本が関わっている小説なんだ…と。こういうのが自分でも書けたらいいのに、書きたいなぁと思いながら読んでいた。

    「手紙」
    が一番よかったかな。

    本にまつわるお話は、私の中にもたくさんある。

    読んでいてとても落ち着いた。
    それは多分、自分のことをよく知ってくれている人のそばにいる感じとよく似ているだと思う。
    近くにはいなくても、私の事を良く知ってくれている人を思っている時と同じような。

    本を読みたいと思うたくさんの理由の中に、その人を感じていたいからというのが私にはあって、本のストーリーとは全く別のところでこの感覚は同時に走っている。

    「ミツザワ書店」
    も良かったな…。

    本は人を呼ぶというか、本はいつも私を呼んでいたし、呼んでいる。
    図書館であろうが、書店であろうが。
    時には「あー、うるさい。放っておいて!」と思うほどの時もあって、本棚に並んでいる自己啓発本がそれぞれ、かなり強烈な自己主張をしたり、私が弱っている時には、そっと手を差し伸べてくれていたり、ちょっと“ワルイ”気分の私には、にやけた表情で誘って来たり。

    本を読まなくても生きていける。ごはんは食べないと生きていけない。
    でも、「旅をする本」の中で書かれているように、本を読まない人はやっぱり退屈なんだと思う。
    人が、「この間、こんな本を読んだんだけどね…、」と話をし始めた時、私はとてもワクワクしてしまう。
    と同時に、本の話をあんなに深くできた人が今はいないことをやっぱりさみしく思ってしまう。探してもいないのは分かっているのだけれど、今でも存在してくれていたらな・・と思ってしまう。

    全ての本がこの世に存在する理由はいつでもどこでもくっきりときれいなものなんだなぁ…と読んでいてとても勇気づけられた。

  • 本にまつわる短編集。
    ミツザワ書店、さがしものはグッとくるものがありました。
    おばあちゃんネタに弱い。

    「自分にとって本とは何か?」と読み終わった後に考えさせられます。
    本を通じて人と繋がれたら素敵ですね!

  • 本にまつわるいくつかの短編が収録されていますが、最も心に刺さったのは角田さん自身の言葉で語られるあとがきの文章でした。
    「この本に出会っていなければ、俺の人生どうなっていただろう…」とまで感じることは人生で数回しかありませんが、
    日常の中で昔読んだ本の一節がふと頭に過った時、「あぁ、本好きで良かったーーーー」と熱を帯びるように嬉しくなります。

    あと本を読んでる人は、本当に本を読んでる笑。
    だから年間何冊読んでるとか家にどれだけ本があるとか、そういう数値的に「本読みとそれ以外」を評価するのは、エゴの塊である私は無意識の内にやっちゃうのですが、
    本作のあとがきを読むとあまりに自分がちっぽけに感じて脱力しました。
    とにかく、自分なりの本との付き合い方をしていくことが大事。
    量より質、あぁ佐々木常夫さんも昔言っていたなぁと反省しました。

    物語自体にそこまでのめりこめなかったので、本作はだからエッセイの形の方が良かったんじゃないかと思ったり

  • 一冊の本。をもとにした短編小説集。作者もえらく偏った小説~というように、確かに偏っていると思う。ただ短編ひとつひとつに出てくる本がその主人公の人生において、存在することにおける有り様が上手く表現されていてすっごく良かった。作者はホントに本が好きなんだなぁって感じられたな。

  • 本にまつわる短編小説。
    本好きな人には勧めたい1冊( ^ω^ )
    読むたびに本の印象が変わる…という点は特に共感できます(o^^o)

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著者プロフィール

1967年神奈川県生まれ。早稲田大学第一文学部文芸科卒業。90年『幸福な遊戯』で「海燕新人文学賞」を受賞し、デビュー。96年『まどろむ夜のUFO』で、「野間文芸新人賞」、2003年『空中庭園』で「婦人公論文芸賞」、05年『対岸の彼女』で「直木賞」、07年『八日目の蝉』で「中央公論文芸賞」、11年『ツリーハウス』で「伊藤整文学賞」、12年『かなたの子』で「泉鏡花文学賞」、『紙の月』で「柴田錬三郎賞」、14年『私のなかの彼女』で「河合隼雄物語賞」、21年『源氏物語』の完全新訳で「読売文学賞」を受賞する。他の著書に、『月と雷』『坂の途中の家』『銀の夜』『タラント』、エッセイ集『世界は終わりそうにない』『月夜の散歩』等がある。

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