瓶詰地獄 (立東舎 乙女の本棚)

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感想 : 53
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  • Amazon.co.jp ・本 (64ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784845631377

感想・レビュー・書評

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  • 学生時代ドグラマグラで挫折したので、大丈夫かな?と思いつつ。短いお話なので、サラッと読めました。

    夢野久作は、合う・合わないがあるのかな、と思ってますが、特に感銘を受けなかったので「合わない」のかな。

    でも、瓶詰めの手紙も島の情景も、綺麗な表現でした。ハマる人はハマっちゃうんでしょうね。

    今ならドグラマグラも読めるかな?と、チャレンジしたい気持ちになりました。

  • 浜辺に流れ着いた3通の手紙には遭難して無人島で暮らす兄妹の生活が綴られていて…。
    青空文庫で一度読んだことがあるのだけど、美麗なイラストがつくとより雰囲気が出ていいなあ。すごく耽美。

  • 漂流の末に孤島で暮らす兄妹の苦悩を描写した、夢野久作による幻想の物語。空き瓶に詰めた救難を請う手紙が三回に分けて海に流され、××島の砂浜に漂着したことが冒頭で明かされます。仲の良い兄妹は、常夏の島で水も食料も事欠かない生活を続けていましたが、救援の兆しがないまま二人の間に芽生えた恋情と肉欲の葛藤に苦しみ始めるのでした・・・。 極楽から地獄の島へと変わりゆく様を、華麗なイラスト(ホノジロトウジ)によって耽美的で哀しい物語に装飾されています。

  • 過不足の無かったはずの楽園が、時を経て性徴という魔力を前にじわじわと崩壊していく様の、うつくしさと残酷さ。
    そして、神の目から逃れるように、救いを投げ出すように目印を倒し聖書を焼いたのに、瓶の中に残されていた手紙に綴られていたのはひたすらに懺悔だった。
    そういう歪さに、ただただ感服させられたというか、謎の高揚めいたものを覚えてしまいました。昔の作家はすごい……。

    第二の手紙を読み終えた時に、「間に合わなかった」(或いは抗えなかった)ことを示す第一の手紙の意味を知り、締めくくりの第三の手紙で得も言われぬ気持ちにさせられる構成の巧みさも良いです。
    挿絵がまた大変に美しいので、文章だけの本が苦手な人でも読みやすいです。

  • 既読でしたが、最初の海洋研究所への手紙でこの3本の瓶が密閉されたまま同時に島から研究所へ送られたと思い出しはっとしました。瓶の手紙はあの時点ではどれも関係者には読まれていなかったのですね。再読でも構成の妙に感嘆します。ホノジロトヲジさんのイラストは本当に幻想的で、初読の自分が思い描いたものとはかけ離れていますがこれはこれで素敵だと思います。1ページ1ページ、とても新鮮な気持ちでめくりました。夢野久作という名前だけでハードルが高いと思われていた方がこれを入り口にするのもいいのかもしれません。

  • 小説で読むと難しいと頭が拒否して避けて通った作家を絵本で読むとすんなりと受け入れてくれる。きれいな絵なので暗い作品も緩和され気になっていたけど避けていた本がまだあるので楽しみ。

  • 浪漫は確かにあって、それ以上に狂った地獄があるなぁという絶妙な印象を受けました。不思議な後味。

  • 浜辺に流れ着いた3通の手紙。
    そこには、遭難した兄妹の無人島での生活が綴られていた。

    1通毎に時が戻る。
    死を決意→じわじわ狂っていく→健やか
    暗かった。
    タイトルの瓶詰地獄にふさわしい。

  • 無人島に流れついた11歳の兄と7歳の妹。
    三本の空き瓶に託した3通の手紙で時系列を遡って描かれるふたりの状況。
    聖書を焼きすて、堕ちていく。

    昭和初期の作品。
    大正から昭和にかけてはこのような妖しい作品が許されていた時代だったのか。

  • 読むと精神崩壊を来すと有名な「ドグラ・マグラ」の作者、夢野久作の短編ということで、少し緊張感を持ちつつ読了。

    海洋研究所に届いたのは、とある島の村役場に打ち上げられたという3つの瓶。そこには、離島に遭難した幼い兄妹の心の内が綴られていた。
    天国のような島での暮らしが、二人の心身の成長と共に恐ろしい地獄へと変わっていく様は、読者にとっても重く苦しく、辛い。死を願うほどに精神的に追い詰められる、これぞ生き地獄…。

    全体的にはっきりとした描写はないので、謎の部分も多く、どう解釈するかは読者に委ねられている。そこもまた、本作の面白さだと思う。
    美麗なイラストもご馳走様でした。

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著者プロフィール

1889年福岡県に生まれ。1926年、雑誌『新青年』の懸賞小説に入選。九州を根拠に作品を発表する。「押絵の奇跡」が江戸川乱歩に激賞される。代表作「ドグラ・マグラ」「溢死体」「少女地獄」

「2018年 『あの極限の文学作品を美麗漫画で読む。―谷崎潤一郎『刺青』、夢野久作『溢死体』、太宰治『人間失格』』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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