- Amazon.co.jp ・本 (278ページ)
- / ISBN・EAN: 9784846007744
感想・レビュー・書評
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「新版 図書館逍遙(小田光雄著)」から同著者の著作の流れ読み、図書館で借りた。
出版業界の委託・再販制度を背景に大量に出版され廃棄の道をたどる書籍や雑誌、街中の小売の書店を駆逐する郊外型大型書店、そんな変化を背景に、ブックオフは1990年に坂本孝氏(1940-2022)により創業された。著者は坂本氏の経営スタイルを委託・再販制度に付け込むパラサイト経営だと攻撃すると同時に、出版社・取次・書店による委託・再販制度に警鐘を鳴らす。
本著の発行は2008年(旧版は2000年)、坂本氏はすでに鬼籍に入り、ブックオフは全国800店舗を超えていまなお健在だ。
あのジェフ・ベゾスがアマゾンを立ち上げたのが1993年(実際は前身のCadabra)、日本でストアが開設されたのが2000年11月だ。郊外型の大量消費生活にシフトした消費者合わせて(?)、インターネットというテクノロジーと物流という腕力を駆使して物販の在り方を変化させたアマゾンとの同時性は偶然なのだろうか。
ひとつの時代の変化を考察するひとつの視点を与えてくれる一冊だ。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
フランチャイズ制の一つの側面をみることができる。資本設備費が製造業と比べてかからないということは大きいだろう。後期資本主義ビジネスの典型例だ。
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旭山にあり(024/オ)
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見ててなんか胸くそ悪くなる。
ビジネスの穴を見つけて大きくなっていったブックオフを批判している本。
「昔は、電車の中で食べる弁当の食べ方に佇まいを感じられる部分はあったが、最近の食べ方は本をスマホをいじりながら食べたりしてて、汚らしくて佇まいもなにもない」
と言うことをなぞらえて
「昔の読書と言うのは本にへの敬意だったり愛着だったりがあったのに、今は本をただ読んでいるだけで、読んでは捨てと言うただの消費物になってしまった」
と言うような表現しているのだけど、考え方が固いし古いと感じた。
昔が良かったから今はダメだと言いたい感じが押し付けがましくて嫌。
悪いことしてる訳じゃないんだから、時代の流れを認めるべき。 -
2011 5/18パワー・ブラウジング。筑波大学図書館情報学図書館で借りた。
『出版流通クロニクル』の小田光雄氏の本。同書でたびたびブックオフに触れられていたのが興味深かったので借りてみた。
2000年にぱる出版から出された本の増補版である。
再販委託制度を背景とする80年代前後からの出版業界の大量生産・大量消費への舵きりが大量廃棄を生み出し、それがブックオフ誕生につながったという指摘と、ブックオフを詳細に分析し、その実質はフランチャイズ事業にある(新古書店としてビジネスが成り立つより先にフランチャイズを初めている、そもそも新古書店+フランチャイズ、がブックオフの狙いではないかとしている)という指摘からなる本。
バブル期に借地借家法式で出店した郊外型店舗がペナルティのため赤字でも撤退できず、そこでブックオフのフランチャイズに入り業態転換したことがブックオフのフランチャイズ増大の一因ではないか、との指摘も面白い。
また、不正返品についての話(新古書店で入手したものを委託制度を利用して返品する/マンガ喫茶をかねる書店業者がマンガ喫茶で用いたものを返品する/新古書店も営む新刊書店が新古書店の在庫を返品する、など)は初めて知ったが面白い。
新刊/古書店のボーダレス化と委託制度の維持によって必然的に起こった現象であるとされているが、そもそも新刊/古書店を一緒にやっていると店内在庫の管理すら面倒くさそうだよね。
反ブックオフのスタンスが一貫している+あからさまである一方で、出版業・本に携わる業として敵視しているのであってビジネスとしての成立とは分けて考えられている。
また、対談形式をとっているので読みやすくはある一方で、対談相手に関する説明が冒頭に一切無いので(あとがきで少しあるが何者なのかはわからない)、ややうさんくさくなっている。対談風の文は小田氏の芸風かとも思うが、すこしもったいない。 -
出版業界からすれば、Bookoffのような新古書店の台頭は重大な問題だろう。すぐにBookoffで安く買えるから買わないでおこう、そう考えて新刊の購入を控える人はいる。書店以外という選択肢ができたという事だけで大きな変化。サラッと読めるような、消費物的な小説を求めている人にはBookoffは良い選択肢だろう。
皮肉なことに、Bookoffが高い粗利率を維持できるのは出版業界自体がどっぷりと浸かっている再販制度のおかげで、BookoffもAmazonも出版業界がしないことを代わりにしているにすぎない。
著者は「読者」が「消費者」になり、文化的商品である書籍が大量生産、大量消費、そして大量廃棄というサイクルに組み込まれてしまったと言う。しかし、それは少し違うように思う。
昔は、書籍は崇高なもので、一般ピープルには殆んど馴染みのなかったものだったのではないだろうか。高い教養と地位を持つ人のみが親しむもの。そんな贅沢な品だったはず。時代が進み経済が発展し、一般ピープルもそこそこ豊かになり、手軽に書籍に触れられるようになった。本を読む余裕ができたと言える。そこには量の変化があったわけで、「読者」⇒「消費者」ではなく、「読者」⇒「読者+消費者」と言った方が適切なのではないだろうか。そもそも本の価値は読む側が決めるものだが、新たに加わった本を消費する層に対して、手軽に読める本が大量に生産された。
そんな流れの中で、出版業界は少し卑怯なことをした。消費者用に生産した本にも読者用に生産した本と同様の価値があるかのように、再販制度に沿って出版したのだった。
「読者」を信頼するのならば、消費書籍に対しては値引きを認めても構わなかったはず。出版業界は、「読者」をたたえながらも「読者」を信頼しはしなかった。
出版業界の未来を憂うならば、突くべきはBookoffではなく、出版業界自体のはず。これまで、本の価値を知る読者を育てようとしてきたのだろうか。
本著の中で繰り返されるBookoff批判は企業風土や経営手法へのバッシングばかりで、ポイントがずれている。それは、業務拡大のための踏み台にされている事へのひがみのようにも聞こえる。
Bookoffの本質がチェーンストア企業だとしても、書籍を売っているという点では、新刊店と同じ。本に神聖化してはいけないと思う。 -
ブックオフにはたまに行く。なぜか疲れる。
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ブックオフ業界の詳細について知れたのは良かったのだけれど、著者が初めからブックオフに対して憎しみの感情?を抱いているように感じて、その立場から論じているのがやや…。
あと、最初の大衆食堂とファミレスのたとえ話はあんまり良く響きませんでした。大衆食堂を駆逐してファミレスを作ったのは古き良き時代の大人
ですよ? -
会社の「書籍は文化的な創造物ではなく、消費財である」という思想がよく分かりました。でも、利用しないかというと・・・、やはり、値段には勝てません。買い逃した文庫を探すのにも便利だし。