- Amazon.co.jp ・本 (252ページ)
- / ISBN・EAN: 9784860954871
作品紹介・あらすじ
パリから数キロのところに、使用済み燃料貯蔵プール、放射性廃棄物貯蔵施設、ノジャン・シュル・セーヌ原発は100km…ビュジェイ原発は、フランス第2の都市リヨンからわずかに35km。事故が起きれば、日本よりも最悪な事態が起こりうるフランスには、脱原発へのシナリオはあるのか!?元フランス環境大臣が明かす、フランス原子力政策の暗闇。
感想・レビュー・書評
-
詳細をみるコメント0件をすべて表示
-
◆燃料としてのウランの枯渇が間近い原子力発電、そして使用済み核燃料の再処理技術の促進はもはや時代遅れ。原発大国フランスの環境大臣による渾身の警告書◆
2012年刊行。
著者はフランスの元環境大臣。
フクシマを踏まえ、そして環境大臣としての経験・知悉した情報を踏まえて、原子力発電大国フランスにおける、原発の実情と将来に対する懸念・問題点を開陳する。
間違いなく反原発の立場からの立論であるが、正直どこぞの国の実情と殆ど変わらないなぁという印象のみが強く残る。情報隠蔽、不利な情報の未開陳、下請作業員へのシワ寄せ、解決の道筋と費用負担の上限の見えない核施設廃棄物の処置問題、アメリカの技術面での支配構造、継承・発展が乏しく先細りの研究者の質・量などなどである。
そして、ここで考えさせられたのは、ウランの世界埋蔵量が、現在の使用量を前提としても60年足らずしかない点。
未来への電力技術開発・実用化を考えると、廃棄物処理法の開発・研究・実用化以外の面で原子力に費用を捻出するのは無駄で、新奇発電技術開発とそのコストダウン目的の社会的費用の支出こそ必要である点。
また、使用済み核燃料を含む核廃棄物は再処理ではなく、そのまま処分するのが世界的潮流である点。さらに、情報隠蔽・不開示の要因ともいうべき隠された費用を加味しないとしても、原子力発電の輸出による経済的利益にも疑問符が付く点。
等である。
特に最後の点に関しては、東芝が何故巨額赤字を抱えるようになったのか?。この事実は、そもそも世界的潮流として、事業としての原子力発電所建設に大きな赤信号を感じさせる一例だからなのだ。そして、これを国策として推進することの、経済的意味での危険性を推し量る上でも…。 -
フランスでは原子力の話はタブーになっている。
この問題の裏にいるのが原子力ロビーと呼ばれる権益集団。
原子力関連の情報は中央で握られていて、実際には国民には届かない。
独自の姿勢を貫いてきた。