- Amazon.co.jp ・本 (304ページ)
- / ISBN・EAN: 9784861828621
作品紹介・あらすじ
承久の乱に勝利し、治天の君と称された後鳥羽院らを流罪とした「逆臣」でありながら、たった一枚の肖像画さえ存在しない鎌倉幕府二代執権・北条義時。謎に包まれたその姿を、小説・戯曲・論考から明らかにする。
2022年NHK大河ドラマ「鎌倉殿の13人」視聴者必読!
彼は筋を通した。歴史の動きを見誤まらず、一つの、しかし多分に危機を伴うかもしれぬ決定を敢えてした。政治とはそういうものではないだろうか。東国内の主導権争いは政治以前の問題である。が、日本の政治家たちは、いつの時代にも主導権争いに明けくれて、そのことが政治だとさえ思ってしまう。(…)義時がここで西国のトップと取引きせず、御家人の利益をまず前提に考えたところに、私は東国そのものとぴったり密着した彼の姿勢を感じる。ふつう権力を握れば、たちまちそれを支える階層からは遊離してしまうものだが、義時が東国武士団の利害を直接吸いあげることができたところに、彼のすぐれた政治的資質がある。もちろんこれは個人の資質だけの問題ではない。旗揚げから三十年、内部に諸問題を抱えてはいるものの、東国はまだ若い。生命力も溢れているし、自壊作用も起してはいない。その若さが、組織のトップに健康な判断を下させた、ということであろう。(永井路子「承久の嵐 北条義時の場合」より)
感想・レビュー・書評
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北条義時というより、謎の多い義時を取り巻く時代背景や13人の関係などから表現されたアンソロジー。「梶原景時」はちょうど大河で見ている中でもあるので入り込みやすい。「非命に斃る」も頼家と北条父子どの因縁、母との確執で頼家が追いやられる感がドラマチックに描かれる。その他三浦義村を描いた「執念の家譜」など、また大河が面白くなりそう。
117冊目読了。
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これも図書館の大河コーナーにあった。小説として読めば歴史が身近に感じるかも、と思い手に取ったが、ちょっと手が出なかった。三田誠広の解説のみ読む。
三田誠広と歴史小説?とぴんとこなかったが歴史物も書いているようだ。「尼将軍」という本が2021.9月に出ている。解説では、源平合戦は、源氏と平家が闘った戦ではなく、朝廷を支配していた平家一族による過剰な租税の搾取に対して、東国の在地領主(東国武士)たちが団結して反乱を起こし、その勢いで上洛して平家一族を滅ぼした戦だった。東国武士たちが旗頭として擁立したのが、先の平治の乱で平家に敗れて伊豆に流罪となっていた源頼朝だったために、源平合戦と呼ばれるようになった。
収録作品
「梶原景時」海音寺潮五郎(頼朝の配下で暗躍した景時を描く)
「悲命に斃れる」高橋直樹 (2代将軍源頼家を描く)
「修善寺物語」丘本綺堂(面づくりの匠を主人公に源頼家の悲劇を描く。3幕の演劇)
「北條泰時」近松秋江(承久3年から貞永年代まで。鎌倉と京都の6幕の演劇)
「執念の系譜」永井路子(北條義時の盟友で数多くの事件の仕掛け人とされる策謀家の三浦義村を描く。義時の陰で暗躍しながらついに表舞台に出られなかった人物の悲劇を描く)
「承久の嵐 北條義時の場合」永井路子(承久の乱の経緯が描かれる。ここでようやく義時が主人公に)
解説「北條義時とは何者か」三田誠広
このシリーズに
「小説集 黒田官兵衛」2013.9.13
「小説集 竹中半兵衛」2014.3.31
「小説集 真田幸村」2015.10.28
「小説集 明智光秀」2019.8.31
がある。
2021.9.30初版第1刷 図書館 -
2022.11.9
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北条義時の時代の7つの短編集。
永井路子の「執念の家譜」、北条氏と三浦宇宙人との時代を超えた裏切り、争いを取り上げている。
時代を超え、最後は三浦道寸にまで話しを広げているのが、なかなかではある。もっとも、争った時は伊勢宗瑞であったが。 -
これを読むと北条義時を主人公にした作品は無いに等しいのかなぁ、と思ってしまう