ローカルバスの終点へ (洋泉社新書y)

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  • 洋泉社
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  • Amazon.co.jp ・本 (303ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784862486264

感想・レビュー・書評

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  •  既に亡くなって久しい方ではあるが、改めて読み直してみると……分かってはいたが徹底した鉄道至上主義者なんだなあ、と。鉄道よりも飛行機、あるいはバス旅を好む自分には正直馴染めなかった。

     解釈いかんによっては、東京在住者の地方への驕りと解釈出来そうな箇所も少なくは無い。

     正直、こんな文章を書く人だったろうかと。その昔、小学館から出ていた『国鉄全線各駅停車』は貪るように読んだもんだが……

  • 久しく文庫版も絶版となつてゐた『ローカルバスの終点へ』ですが、このたび洋泉社新書yの1冊として復刊しました。新書で復刊とは珍しい。
    著者は国鉄全線を完乗し、私鉄線もローカル線を中心に乗車を重ねてきました。海外にも進出し、相当の国へ鉄道に乗るために旅行してゐます。
    裏を返せば、それ以外の交通手段に関してはあまり関心を示してきませんでした。
    しかし、例へばローカル線巡りをしてゐますと、鄙びた終着駅の前にあるバス停が気になつてくるのであります。
    時刻表を見ると、一日わづか数本のバスのみ。次の便は数時間後。後の行程を考へると、泣く泣く諦める、といふことが多々あります。

    そんな私たち(自分も一緒にするな、の声も聞こえるが)の渇きを癒すやうに、宮脇俊三さんが日本全国のローカルバスを終点まで乗りつくしました。
    あの飄々とした筆致で、見知らぬ土地や見知らぬ人々を活写するのでした。
    電話予約ではぶつきらばうな対応をする旅館の女性が実際に会ふと親切だつたり、昔の話を聞かうとして、昔の食ふや食はずの話などいやだといふ牧場主がゐたり、バスは不便だから目的地まで乗せてやらうといふタクシー運転手とか。やはり地方の旅はさまざまな人たちとの出会ひが嬉しい。あまり人と交はらぬ私でも旅先ではテンションがあがります。
    そんな自分の旅の記憶と被る場面が多く、またどこかへ行きたくなるのであります。

    もつとも宮脇さんが旅をしたのは概ね1986-1987年頃なので、今は同じ旅は出来ません。
    そこで、それぞれの旅の最後に現在のアクセス情報が加えられてゐるのですが、個人的にはコレは要らないと思ひます。宮脇氏もきつと「余計なことをしてくれるな」とつぶやいてゐるのでは。

    http://genjigawakusin.blog10.fc2.com/blog-entry-200.html

  • 何かあるところには実は何も無くて、何もないところのハズなのに確かに何かがある、もしくは何かあることに気付く。

    その「何か」の見つけ方を教えてくれる本だと思います。

    食べ物記事ばっかりのガイドブックや取って付けたようなハコモノスポット、みやげ物屋にしか寄らないバスツアーの旅行に違和感を覚え始めた方にはイイと思います。

  • 書店でたまたま目について手にとったこの本。鉄道でローカル線の旅行記というのは割と多いと思うけれど、ローカルバスで、それも1時間以上の長距離線に乗ってその終点まで行くというのはあまりきかない。そういった路線の終点はどこも日本の最果てといった感じで本当に何もないところもしばしば。それでも著者の観察眼による鄙びた田舎の情景、そして行く先々の住民の素朴な人柄の描写はずっと昔田舎を旅行した時に感じた寂寞感と懐かしさを呼び醒ましてくれる。同じ路線とは言わなくとも、都会とは正反対の極地を旅をしてみたいと思わされる一冊。

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著者プロフィール

宮脇俊三
一九二六年埼玉県生まれ。四五年、東京帝国大学理学部地質学科に入学。五一年、東京大学文学部西洋史学科卒業、中央公論社入社。『中央公論』『婦人公論』編集長などを歴任。七八年、中央公論社を退職、『時刻表2万キロ』で作家デビュー。八五年、『殺意の風景』で第十三回泉鏡花文学賞受賞。九九年、第四十七回菊池寛賞受賞。二〇〇三年、死去。戒名は「鉄道院周遊俊妙居士」。

「2023年 『時刻表昭和史 完全版』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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