- Amazon.co.jp ・本 (272ページ)
- / ISBN・EAN: 9784865280104
作品紹介・あらすじ
「ご結婚は?」「ご主人は?」「奥さまは?」「お子さんは?」……。
わたしたちはいつも、無数の問いにさらされ、黙らされてきた。
でもいまや、何かが変わりはじめた。
近年のフェミニズムの大きな動きのなかで綴られた、
沈黙と声をあげることをめぐるエッセイ集。
#MeTooの世界的なうねりを準備した傑作『説教したがる男たち』につづく、
ソルニット節の真骨頂! ブレイディみかこさん推薦、待望の翻訳刊行
ヴァージニア・ウルフについて講演をしたあとのこと。
ある男がこう言った。「ウルフは子どもを産むべきだったと思いますか?」
女性の社会進出が進み、ライフスタイルがどんなに多様化しても、
わたしたちは何度でも何度でも脱力するような問いにさらされて生きている。
さまざまなかたちの暴力を受け、沈黙することを強いられつづけている。
SNSでは声を封じるためのあらゆる嫌がらせと脅しがぶつけられ、
レイプを始めとする性暴力やドメスティック・バイオレンスは一向に減ることがない。
人魚姫は地上で暮らすかわりに声を奪われるお話しだし、
「STAR WARS」三部作でレイア姫以外の女性が話すシーンはわずか63秒間に過ぎず、
女性たちを固定観念に閉じ込める物語は、進化をめぐる科学にまで浸透している。
男と女をめぐるいびつな権力構造をあばき、
辛辣に、ときにユーモラスに、すべてのひとに力を与える傑作エッセイ。
感想・レビュー・書評
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批評集。最近は小説を主に読んでいたので、骨太さにうれしくなった。「沈黙は私をまもってくれなった。あなたのことも守ってくれないだろう」
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女性が奪われてきた声、自らについての物語を注意深く掘り起こしながら、誰が、何がそれをもたらしたのかを、ユーモアと共に鋭く可視化する書。
読みながらふと、もう20年以上前に交わした会話を思い出した。学生の頃、おそらく就職活動に関連した交流イベントで、たまたま話すことになった男の子から好きな作家をたずねられ、当時好きで良く手に取っていた作家の名を数人答えると、「全員、女性の作家なんですね。」と驚かれた。私は、そう言われるまで作家の性別を格別意識していなかったから、驚かれたことに驚いて、その後はうまく会話を続けられなかった。男の子は敵意や悪気のある雰囲気はまったくなく、純粋に驚いていた様子だったので、余計に、好きな作家の名前をあげる際、全員が女性なのは何かおかしかったのだろうか?という疑問が頭の片隅に残り続けた。
本書を読んで、そのとき、続けられなかった会話の返事がようやく思い浮かんた。
「そうだよ。どうしてそんなに驚いているの?」
そんなふうに、さらりと答えられたらどんなに良かっただろう。
「私の人生の目標のひとつは、ユダヤ教のラビよろしく、答えが出ている問いに答えのない問いで切り返せるようになること、内面の統制が取れた人間になり、侵入者が迫るときには良き
門番となり、何はともあれこう尋ね返すのを忘れないことだ――『なんでそんなこと聞くんですか?』後になって気づいたのだが、これは敵意ある問いには常によく効く返し方で、答えがもう出ている問いというのは、たいてい敵意に満ちたものだ。」
女性が差別される社会を丹念に描写した文章を読むことは、頭の隅に押し込めやりすごしていた自分の体験を掘り起こす作業でもあり、解放感と辛さが同居する。
「あらゆる倫理的規範に反する言葉を見て、どのようにしてそうした言葉が世界を形作るのか、あるいはめちゃくちゃにするのかを理解するのは、素晴らしい訓練になる。 物事を明確にし、見るのを助けることこそ、もっとも偽りなく崇高な言葉の機能だ。」
私自身の中にも、差別される側の視点と、長年の社会生活の中で刷り込まれた差別する側の視点の両方が、混在している。言葉が、どのような意識の枠組みから発せられているか、何度でも繰り返し自分に問いかけることから、沈黙をやぶって会話が始まるのだと思う。-
「なんでそんなことを聞くんですか〜?٩(๑´0`๑)۶」と、あどけなく聞けるようになれるといいな…(*^^*)「なんでそんなことを聞くんですか〜?٩(๑´0`๑)۶」と、あどけなく聞けるようになれるといいな…(*^^*)2024/02/08
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2024/02/08
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2024/02/08
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積読中ですが、レベッカ・ソルニットの一文
「トランス女性はシス女性の脅威ではありません。
脅威なのは彼女たちを排除し、のけ者扱いする私...積読中ですが、レベッカ・ソルニットの一文
「トランス女性はシス女性の脅威ではありません。
脅威なのは彼女たちを排除し、のけ者扱いする私たちのほうです。」
世界思想 48号 2021春 - 世界思想社
https://sekaishisosha.jp/book/b575402.html2021/04/05
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沈黙させられる質問に対しての切り返し。
「それ、男性にも聞きますか?」
「なんでそんなこと聞くんですか?」
女性にとってあるべき姿は一つしかないという考え方に対して、答える必要があるだろうか。でも、それが沈黙という返し方では、悔しいではないか。
質問返しでいこう。
レベッカ・ソルニットの本を読んでいると、知りたくもないクソな実例がたくさん出てきて、ぐったりもするが、自分のレイヤーがどんどん変わってくるという面白さも。
#男はみんなそうってわけじゃない
に対して
#女はみんなそう
そう、女はみんなそう。 -
最も長いエッセイは沈黙について。レイプやDVの非対称性。女性は黙らされる。加害者(男性)の将来に響くから、洋服が適切でないのが悪い、酒を飲んでいたのが悪い、Noとは聞いていない、夫婦なんだからいいだろう…「すべての男がレイプ魔ではない」?OKわかった、でも「すべての女は男からの暴力やハラスメントを恐れて生きている」。私もだ。
面白かったのは「女が読むべきでない80冊」ナボコフのロリータが児童虐待の話だと指摘し、ヘミングウェイ、バロウズなども「ノー・リード」。ヒーロー作家にリルケ、ネルーダ、ウルフらと並んで鈴木俊隆とは?と思ってぐぐるとアメリカで禅を広めた人らしい。
翻訳がカチコチして読みづらいが「説教したがる…」と同じ翻訳家か。 -
『説教したがる男たち』の続編として書かれた本書。沈黙をめぐる議論は元にしている事件や事実が悲惨なこともあって読んでいてしんどくなることもあったが、ソルニットならではの鋭さに満ち溢れていて流石だなと思うと同時に、フェミニズムはまだまだ必要だしこれからもっと面白くなるという可能性や希望を感じることができた。
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『これからの男の子たちへ』のもっとお堅い版。
「#MeToo」や「#BlackLivesMatter」など、差別に対して沈黙させられる圧力がある中でも、未来のために発言していく。バックラッシュがありながらも、世論が変わりつつあることが感じられる。 -
分かりやすく素晴らしかった。日本で言う『足をどけてくれませんか』のより辛口な本。みんなに必要な本です。
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伊藤詩織さんの被害、松本人志問題、ジャニーズ問題など、日本で起きるさまざまな性被害にも通ずる文章で、女性も男性も一度は読むべき本。
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2022年11-12月期展示本です。
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