障害者支援員もやもや日記――当年78歳、今日も夜勤で、施設見回ります (日記シリーズ)
- フォレスト出版 (2023年1月21日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (208ページ)
- / ISBN・EAN: 9784866809274
作品紹介・あらすじ
ベストセラー日記シリーズ最新刊! 当年78歳、今日も夜勤で、施設見回ります。
精神(知的)障害者のグループホームに8年にわたって勤務する著者が描く、障害者グループホームの実態、
障害者たちとの悪戦苦闘……その笑いと悲哀の記録
~「障害者支援員」の世界に飛び込んで見えてきたのは、これまでに見たこともない人間の不思議な景色だった。(本文より)~
感想・レビュー・書評
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著者の松本さんは、高齢者施設と勘違いして障碍者支援施設の面接を受けた。
崇高な理念や志があったわけではないと書かれている。
でも読んでいくと、すぐに支援にいちばん大切な心をお持ちであることに気づく。
だから工夫や発想が出て、それを実践し、うまくいけば別の人にも試し、うまくいかなくても落胆せずに次の工夫を探すことができるんだと思う。
綺麗事だけではできない仕事を、機械的にではなく、かといって変に感情的にならず、見返りを求めず、小さな喜びをやりがいに変えて奮闘する姿に涙が滲んだ。
松本さんの支援を受けられる人やその家族は幸せだと思う。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
「汗と涙のドキュメント日記シリーズ」大好き
これで5冊目です。
でもこの本はいままでの物と違います。
松本さんは本名ですね?
体調崩されてお休みしていますが
たぶんこのお仕事に復帰されるのだと思います。
いままでは理不尽な上司とかわがままな客とか
匿名の筆者によって裏話をたくさん知りました。
だけどこの『障害者支援もやもや日記』に登場する人は
皆さん良い人。
そうですよね、
人間ができていないとこういう仕事をしようとは思わないでしょう。
近所の人も優しいし、利用者さん自身も
やさしくて良い子だなあとジンときました。
だから心温まるし、本当ところどころうるっときました。
障害って、本人は悪くないのにね。
この施設では「Qさま」「くりいむクイズ」「ネプリーグ」など
バレエティ系クイズ番組が人気だそうです。
私も録画して見ているので、とても嬉しくなりました。 -
もしかして、障がい者の理解されにくい行動を書き連ねて、こんなに大変な思いをしている…的な日記だったらどうしよう…と思いながらページをめくり始めました。
書き出しは、施設で暮らす利用者がこんなことをして…のようなものだったので、やはりそうか、と残念な気持ちになりかけましたが、見事に予測が外れました。
施設で働く支援員さんは、正職員、その他いろいろな立場ですが、殆どが思いやりをもって、個々の利用者の性格や特徴を理解し、関わっているところが素晴らしいと思いました。
職員が感情で接しても、当事者は混乱したり、余計に暴れたりと良いことは一つもなく、当事者が落ち着かせたり、納得するためには、どんなかかわり方をするのが一番良いのかを連携を取りながら支援しているのが印象的でした。
地域の人たちの理解も得て、尚且つ、家族との関係も見守っていく。
その人が安全に、安心して暮らせるよう、心を寄り添わせている様子が良く伝わってきました。
著者も、ライターのお仕事をされていたとのことで、また、書き方が上手。
障がい者への差別、偏見、施設での虐待のニュースを見るたびに、悲しい思いをしていましたが、こういった施設もあるのだ、と嬉しくなりました。
一番思ったのは、やはり、施設の良し悪しは、施設の上に立つ人がどんな人であるか、ということに尽きると思います。
しっかりとした理念を掲げ(絵に描いた餅ではなくて)、それを自ら実践することで、周囲の人たちの考えも変わっていくのだと思いました。 -
〇△・・・・日記の中で、最もポジティブな内容だと思う。
「もやもや日記」とあるが、読んだ側からすると、もやもやどころか「なるほど!」と思うことばかり。
同僚には「もやもや」したくなるような人もいるが、著者はあくまでも冷静。
特性に合わせた工夫などが、本当に素晴らしいと思う。
私には発達障害の息子、自閉症の孫、認知症の義父がいて、家族の手に負えなくなったときの生活の場としてグループホームを考えることもあるが、実態がどうなのかは今一つわからなかったが、本書はとても参考になった。
著者の一日でも早い復帰を心から願いたい。 -
グループホームの、なかなか聞けない等身大の日常が書かれていた。こんなふうに親しみを持って関わってくれる人がたくさんいるんだなって、嬉しいなと思う一冊。
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久しぶりに読むにはとても読みやすい本。
作中に出てくる利用者さんの多くは、本人自身も言語化できず、他者から見て理解できないことが多い。そのため、介助者や親や周りの人となかなか通じ合うことができないけれど、あるとき通じ合うことがある。そんな時は、読んでいる私自身もモヤモヤが晴れる瞬間を共有できた気になる。
これは精神障害者に限ったことではなく、誰にしろ、その人なりの考えがあり、一人一人を相手の世界観で理解しようとする姿勢が大切なんだろうなぁ。 -
期せずして「障害者支援員」になった著者の松本さん。特別な資格はいらず、ホームの入居者の障害も具体的なことは知らされないという。
松本さんは、親もまた暴れてしまうのではないか?という心配をしているケースでも、入居者自身を信じて対応している。
入居者も成長して、ホームも前進しているというところにほのぼのとしてくる。実際、きれいごとばかりではないだろうけど、やりがいと深い愛情をもって仕事をしていることが伝わってきた。 -
障害者施設で暮らす人たちについて肯定的な目線で書かれている。彼らの理解し難い言動にも全て理由がある。それを読みとき信頼して接する松本さんのような人が増えて欲しい。ただ、もう少し支援に関して専門的な解説があればいいなと思った。
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障害を持つ方への理解が進んできたと言われているが、やっぱりまだまだわからないことが多い中、「障害にも様々な種類があること」「同じ障害を持っていても、人それぞれ違うこと」が、支援員という立場を通して少しだけ理解することができる1冊。
障害をテーマとするとどうしても悲観的な本が多い中、この本は終始ポジティブな雰囲気がずっとあり、読んでいて苦にならないことが大きい。