- Amazon.co.jp ・本 (285ページ)
- / ISBN・EAN: 9784874620670
感想・レビュー・書評
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遠野物語でもあるように、遠野には古くからのふしぎな話が残っていて、何だかファンタジーな世界をイメージしてしまいます。
この物語は、身内がいなく施設に預けられておとなになった雪姫(ゆき)という女性に、実は遠い身内が遠野にいて、その屋敷を相続することになったことに始まります。
列車から降りて、歩いていくうちに、不思議な遠野の世界に迷い込んだ雪姫がそこで暮らすうちに、不思議な出来事が次々と起こり、自分のルーツを知って自分を受け留めていく、ファンタジーと現実とが混じり合った物語でした。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
遠野物語的なお話は好きなので読んでみた。
引き寄せられるように遠野に導かれ、不思議な人々に出会うことで、自分の出生の秘密が紐解かれていく…。
オシラ様や座敷童、覗いてはいけない奥座敷から聞こえてくる、時に懐かしく時に恐ろしい不思議な声。
じんわりとした丁度いい怖さで、グイグイと引き込まれた。ここまでは。
前世がなんちゃら辺りから雲行きが怪しくなり、ラストのこじつけたような恋愛ファンタジー化で、全て台無しになってしまった。
そんなのは求めてない。 -
この物語全体に漂っている雰囲気ー湿度や暗さーが日本的でいい。遠野市に行ってみたくなった。
これって、不思議な話なのかな・・・と思っていたが、愛の話だった。雪姫と冬馬の長い長い話。
また時間をおいて再読したい。 -
キャラメルを一箱握らされ母に捨てられた雪姫は、教会の施設に預けられ、そこで育った。施設を出て一人暮らしを始めて五年目、突然、弁護士から遠野の五百坪余の古民家の相続権者である旨の手紙が届く。ここから雪姫のルーツを探る旅が始まる。遠野の民話などをうまく取り込んだ幻想的で少し哀しい作品に仕上がっている。
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マヨヒガにひたるようなお話。
はじめはホラーかな、と読んでいたものの、読みおわったあとは帯にあるように『怪談』と区分するのが良さそうだ。
オシラサマ、血筋、マヨヒガ、因縁、妖怪、フォルクローロ、捉え方を変えるとかなり陰欝なホラーにもなりかねないのだが不思議とふんわりと新雪のような読語感、遠野に旅にでたくなってしまった。
……もしかしたら呼ばれているのかもしれないなぁ。
遠野の地に震災の影響が少ないことを祈る。 -
一人遠野の夕暮れに山の中自転車を走らせた時、まるで彼岸と此岸の淡いに迷い込んだようで、肌が泡立つあの感じを思い出しました。
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遠野物語に出てくるお話を紡ぎ合わせたような、幻想的な昔話を読んでいる雰囲気。先に遠野物語を読んでいるとなお楽しめる。
2011/4/29 -
遠野のさまざまな伝承をまじえた幻想小説。ホラーっぽい雰囲気もときどきあるけれど、怖いよりも物悲しさを感じさせられる物語です。そしてロマンチックな要素もちょっとあるかな。
その都度歌詞の変わる数え歌が秀逸。巧いなあ。それぞれの状況に合っていて、怖かったり哀しかったりほんわかしたり。雰囲気に浸れました。出来れば冬の静かな夜に、ひっそりと読みたい一冊です。