ポスト・オフィス (幻冬舎アウトロー文庫 O 51-1)

  • 幻冬舎
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  • Amazon.co.jp ・本 (294ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784877288297

感想・レビュー・書評

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  • ケルアックとかバロウズとかの少しラリった感じのビートニクやパンクロックシーンは、ファッションだった。今やファッションは消費物だが、しかし、学校教育やマニュアル労働、作業標準で規定された世界に対し、自分たちのルールを即席で生成し、自分たちだけを囲み込むトランプゲームにおける大富豪の革命。序列化の逆転、若者の逆襲といった意味合いを帯びていたはずだ。しかし、それもいつからか、資本家とメディアが支配する消費操作に握られ、もはや、精神的パンクスにしか逃げ場が無くなった。

    チャールズブコウスキー、いや本小説でチナスキーによる生き様は、それだ。ルールに従うのでもなく、人間として正直に生きる。時々、社会に疲れたらブコウスキーの小説が活力剤になる。

    しかし、精神的パンクスさえ。サブカル勢によるマウント合戦に用いられ、最早パンクス的な様相を残されず、知識のファッション化が進む。上から下まで、人間とは序列化したがる生き物なのかも知れない。序列化に組み込まれたブコウスキーではなく、序列化から脱したブコウスキーを読み、生き方を思い出す。時々。

  • この本に巡りあえて良かったし、最初に読んだブコウスキーがポスト・オフィスで良かったんだと思う。ブコウスキーって、男の人が好きな作家だと思っていたけど、そんなことない。女の人でもとても楽しめる。お下劣だし、ほとんどアル中だし、ヘビースモーカーでどうしようもないチナスキーだけど、人間性は確かな人だと思えた。郵便局で長いこと働いて、でも作家にならないとあかんってある日書き始めるまでの物語で、これにどんっと背中押された作家さんの言葉もすごく分かると思った。ブコウスキーはほんまに面白い。他の本も探してよむ。ありがとう、ブコウスキー。

  • 命をすり減らしながらクソのような第三種郵便物を配って稼いだ金を馬券で転がし、つかまえた女は右から左へ消え去り、知らず知らず郵便局へ足が向く。世のクソッタレ達が自ら好んで創り出した自滅的システムの中で、自壊してゆくクソ袋たち。
    ブコウスキーの小説で惚れるのは、露悪的・無頼的な装いの裏で逆説的に社会的真理を読み取ろうなどという、姑息なたくらみがないこと。どこまでもひたすらどうしようもないドブの中を描く姿勢。
    「読者を拒むということが詩人の基本的な姿勢である」という石原吉郎の言葉を思いださせる。その意味でブコウスキーは王道を歩んでいる。千鳥足で。

  • 3.3

  • すごく好きなんだよなあ。前半はとくにめちゃ笑える。

  • 10年ぶりくらいで再読。「本当の自分を見つける文章術」を読んでいたときに、一番に思い出したのが、ブコウスキーだった。彼の「書く」ことに対する情熱は鬼気迫るものがあり、荒々しくも偽りのない、誠実な文章は、どうにも心に留まって離れない。大好きな作家の一人だ。

    数多くの詩と短編を残しているが、しかし、ブコウスキーの真価は長編にある。郵便局勤めと、酒と女と競馬の自堕落な人生。そして、ブコウスキーは書き始める。

  • 最高に面白い!

  • ブコウスキーの自伝的小説。郵便局でこき使われて、女達に振り回されて、酔っ払って。どうしようもなく不器用で優しい男のお話です。

  • 確実に仕事をやめたくなる。
    仕事に不満のある人は読まないように。

  • 読まなきゃね?
    まだ貸したの帰ってこない・・・

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著者プロフィール

1920-1993 ドイツ生まれ。3歳でアメリカ移住。24歳で初の小説発表、郵便局勤務の傍ら創作活動を行う。50歳から作家に専念、50作に及ぶ著作発表。『町でいちばんの美女』『詩人と女たち』等。

「2010年 『勝手に生きろ!』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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