厳重に監視された列車 (フラバル・コレクション)

  • 松籟社
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  • Amazon.co.jp ・本 (118ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784879843081

感想・レビュー・書評

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  • 中編なのに世界が広い。

    戦時中のコミカルな日常。
    なにげなく生きて、あっけなく死んでいく。

    国境とか人種とか、後付けのくだらなさ。

  • ユーモアとシリアスが渾然一体となって押し寄せてくる、100頁ほどの中編ながらとても濃厚な小説であった。新米駅員である主人公ミロシュは初体験のチャンスにやらかしたショックで性の迷走を続け、情事に振り回される駅員たちの姿は滑稽そのもの。とはいえナチス占領下のチェコには不穏さが付きまとい、通り過ぎる列車に乗せられた家畜の視線は何かに抵抗している様だ。性の喜劇と政の悲劇、そんな両極端なモチーフを畳み掛ける様な文体でイメージを幾層にも重ね混ぜ合わせ、やがて1つの行為に結実されていくラスト。やはりフラバルは面白い。

  • 大きな企てを行う前の興奮や、その後の気の抜けた寂しさと、そして気が抜けて敵の兵士にもはや強い怒りを感じることもない。心理描写の鮮やかさが印象的。

  • 「東欧の想像力」じゃなく「フラバル・コレクション」、、、一体何冊刊行されるんだろう?
    フラバル+メンツェルの映画作品では「カッティング・ショート」が一番好きかなぁ~

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    「20世紀チェコの作家ボフミル・フラバルによる中編小説の日本語版。
    舞台は1945年、ナチスの保護領下におかれたチェコスロヴァキア。
    若き鉄道員ミロシュは、ある失敗を苦にして自殺を図るが未遂に終わり、命をとりとめた後もなお、そのことに悩み続けている……
    滑稽さと猥褻さ、深刻さと軽さが一体となった独特の文体で、愛と死の相克を描くフラバルの佳品。
    イジー・メンツェル監督による同名映画の原作小説。 」

著者プロフィール

20世紀後半のチェコ文学を代表する作家。
モラヴィア地方の町ブルノに生まれ、ビール醸造所で幼少期を過ごす。
プラハ・カレル大学修了後、いくつもの職業を転々としつつ創作を続けていた。
1963年、短編集『水底の真珠』でデビュー、高い評価を得る。その後も、躍動感あふれる語りが特徴的な作品群で、当代随一の作家と評された。
1968年の「プラハの春」挫折後の「正常化」時代には国内での作品発表ができなくなり、その後部分的な出版が許されるようになるものの、1989年の「ビロード革命」までは多くの作品が地下出版や外国の亡命出版社で刊行された。
代表作に『あまりにも騒がしい孤独』(邦訳:松籟社)、『わたしは英国王に給仕した』(同:河出書房新社)などがある。

「2022年 『十一月の嵐』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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