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- Amazon.co.jp ・本 (118ページ)
- / ISBN・EAN: 9784879843081
感想・レビュー・書評
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中編なのに世界が広い。
戦時中のコミカルな日常。
なにげなく生きて、あっけなく死んでいく。
国境とか人種とか、後付けのくだらなさ。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
ユーモアとシリアスが渾然一体となって押し寄せてくる、100頁ほどの中編ながらとても濃厚な小説であった。新米駅員である主人公ミロシュは初体験のチャンスにやらかしたショックで性の迷走を続け、情事に振り回される駅員たちの姿は滑稽そのもの。とはいえナチス占領下のチェコには不穏さが付きまとい、通り過ぎる列車に乗せられた家畜の視線は何かに抵抗している様だ。性の喜劇と政の悲劇、そんな両極端なモチーフを畳み掛ける様な文体でイメージを幾層にも重ね混ぜ合わせ、やがて1つの行為に結実されていくラスト。やはりフラバルは面白い。
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大きな企てを行う前の興奮や、その後の気の抜けた寂しさと、そして気が抜けて敵の兵士にもはや強い怒りを感じることもない。心理描写の鮮やかさが印象的。