- Amazon.co.jp ・本 (312ページ)
- / ISBN・EAN: 9784892571107
作品紹介・あらすじ
ヒッチコック『サイコ』の精妙な分析から、黒人劇場専用映画、亡命後のフリッツ・ラングまで-映画史を問い直す名著に、書き下ろしの新章を加え、全面改訂。吉田秀和賞受賞。
感想・レビュー・書評
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2020年に亡くなった映画評論家、加藤幹郎の代表的な著作が『映画とは何か 映画学講義』だ。
シネフィルは何度も立ち返るであろう知見に満ちた映画本で、1回読んだ程度じゃ理解出来ないところが多々ある。
映画の誕生、その誕生時から共に時代を走った列車との関係性、D.W.グリフィスの偉大さと空間表現、そのグリフィスと同時代に生きながらも消された黒人映画監督オスカー・ミショー、ホロコースト映画であるクロード・ランズマンの『ショアー』からスピルバーグ『シンドラーのリスト』、そしてサスペンスの王様ヒッチコックの『サイコ』まで、その博覧強記な映画の知見にクラクラする。
未見の映画も数多く出てきて、中には日本ではなかなか鑑賞する術がない映画まであり、映画の奥深さというか底のなさというか、その膨大さに目眩を起こしてしまうほどだ。
また折を見て再読したい。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
映画好きの映画に詳しいひとが書いた本
物語好きではなく、映画好きでなければ、細かい薀蓄がつらつら書かれていて、どうでも良くなって来るだろう。(私がそうだ。)
前半が映画の分析、後半がハリウッド映画史
物語好きに過ぎない私からしても、前半の映画「サイコ」の反復構造の分析は面白かった。
また、後半も白人による黒人映画の技法の搾取構造も面白かった。
ただ、一般人にはどうでもよい映画技法の成り立ちが冗長に書き連ねられており、耐え難かった。
映画評論家のための映画及び映画史解説なのだ。 -
映画ができた当時、列車が一番早い乗り物だったという視点は面白い。