史上最強の哲学入門 東洋の哲人たち (SUN MAGAZINE MOOK)
- マガジン・マガジン (2012年3月14日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (416ページ)
- / ISBN・EAN: 9784896447873
感想・レビュー・書評
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悟ってないから書ける分かり安さ。
東洋哲学が分かるということは、本書で書かれている通り、
理屈ではなく文字で表すことも出来ない。
そして、人間の価値判断そのものに変容を示すので、
実際に悟ると悟っていない人と話が合わない。
なぜなら言葉の認識さえ異なっているからである。
だから、悟った人の文章というのは、
悟っていない人にとっては、とても難しく感じる。
本書は悟っていない立場で悟りについて語った本と言える。
だから、一般人にはとても分かりやすく、
かといって大きく間違っていることもないだろうと思う。
(まぁ、そこまでの悟りに達していないので何とも言えないが)
話し言葉が多くネット用語や漫画アニメ的表現が散見されるが、
その筋に精通していなくても雰囲気で分かる程度だと思う。
本書が悟りの役に立つかと言えばそうでは無いし、
何か有益な事があるかと言われると言葉が出ない。
雑学が付くこととオカルト商法が見分けられるくらいだろうか。
しかし、東洋の哲学史の本というと、
小難しい本ばかりが目立つので本書は貴重な存在ではある。
しかし、雑学と言えども現代的自我に捉われた現代人にとっては、
一滴の清涼剤にはなりえようか。
「東洋哲学はウソである」の項は極めてよく書けていると思うのだが、
後半の方便を肯定的に扱っているのは、もう少し突っ込んでほしい。
結局のところ、方便というのは宗教の手法であって、
仏教に限らずキリストもイスラムも近代スピ系もみんな同じである。
しかし、それで何が起こったかと言うと政治に利用され戦争が起こる。
世界に仏教しかなければそれで済むんだろうが、
そんなことはない訳で方便が違うと諍いを生み戦争が起こる。
その歴史をどう見るのか読者は考えなければならないだろう。
「俺がガンダムだ」の話は実に良く出来ている。
最後の最後で少しがっかり。
人物別の解説は凄く良く書かれていると思ったのだけれど、
オリジナルの論理展開はちょっと、頭が固い気がする。
釈迦に麻薬をうったらどうなるかなんてどうでも良いこと。
なんで、映画は一本しかないと考えるのだろうか。
クオリアが共有出来ないということは、
世界を共有していないかもしれないということのはずである。
それなら、なぜ他人の反応なんかが重要になるか。
なぜ、釈迦や老子やジャンキーやその他大勢の他人と、
世界を共有していると信じて疑わないのだろう。
悟りを開いた人が見る世界が、ジャンキーが見る世界が、
自分と同じだと信じて疑わないのだろう。
まったくバカバカしい話だ。
「インフィニティ・ブラッド」がある世界に生きている人が、
居たって何も可笑しくないだろう。
少なくとも今はそれがない世界にいるだけなのだから。
悟りを開いた人は何も変わらないと言うが、
その悟りを開いた人というのは、行って帰って来た人だと、
牛十図で解説しているはずだ。
行って帰ってこれなかった人も当然いるだろう。
それが「インフィニティ・ブラッド」に生きてる人じゃないのか。
確かにそれは起こるものが起こってるとしか言えない。
自分で世界を映画を選んでいる訳ではないだろう。
でも、この物理的現実がそうならざるを得ないのではない。
そうなった場合のみしか我々には見えない。
そう解釈するのが適当であると僕は考える。
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仏教と老荘思想の系譜が分かりやすく書いてあって読んでいて非常に楽しかった。
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東洋哲学について、わかりやすく書いた本。
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言葉は要らない。
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他の哲学入門書を読んできたこともないし、東洋哲学はとくに興味がわかない分野………そう、この本に出会うまでは………‼
まぁ別に熱くなるわけでもなく、ただ、ものすごく読みやすい。
東洋哲学の数千年の流れを一気に体験したような。
謎かけとか、アホかと思っていたけど、あれこそが一つの悟りへの道。
よい、本でした。 -
これほどまでに「熱い」哲学書が今まであっただろうか?
いや! ない!
『バキ』の作者によるカバーに包まれた本書には、格闘漫画といってもいいような、最強を目指す男たちの生き様が刻まれている。
読む人が読めば、「何だそりゃ」というような解釈もあるかもしれない。
しかし、そんなものを気にさせない圧倒的な説得力、「熱さ」がこの本にはある。
これが飲茶氏の哲学なのだ。
この体験は読むことでしか伝わらないだろう。
こんなレビューを読まずに、まず本書を手にとってもらいたい。