- Amazon.co.jp ・本 (192ページ)
- / ISBN・EAN: 9784908406270
感想・レビュー・書評
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この本は「看板建築」についての本の決定版だろう。10軒の看板建築の現役店舗の店主に詳しい建物・商いの歴史をインタビューしているのが嬉しい。建物がまだ生きているんだという実感を感じさせてくれるのだ。話も興味深いし、内部の写真もいい。しかも、看板建築のパーツなどについての詳しい説明もある。10軒以外の看板建築の写真も豊富だ。ただ、既に解体されてしまっているものが多い。残していくのは大変だろう。
フルーツパーラー、ボタン店、物産店、食器店、歯科医院、銭湯、写真館、刷毛ブラシ店、理容、食堂。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
看板建築という建物をご存知だろうか?そうそう!正面は立派な洋風建築なのに、裏や横に回ってみれば、木造建物だった、というアレである。特に商店が並ぶ街並みの中で作られて、商店街の景観を作っていた。
歴史はなんと昭和の一時期に限られている。関東大震災の復興中に、潤沢な資金のない個人商店が採用した方法が、やがて全国に波及した。よって竣工は、昭和初年からいくら遅くても昭和40年ごろまでの建物しか存在しない。現在次々と解体されている。
しかし、この本を見てビックリしたのだが、日本人らしい細部に凝った意匠が一軒の中にもたくさん採用されていて、時の大工さんたちの心意気が見事に見えるのである。
昭和遺産とも言っていい建築物の数々が載っている。多くは既に解体された貴重な写真とともに、そして現在でも現役で頑張っている建物を約80軒近く記録し、更に色濃く看板建築の暮らしを10軒にかけて詳しく記録している。なかなかの労作。
私が東京に住んでいたならば、必ずこのうちの数軒は尋ねると思う。なぜならば、ほとんどが店なので中まで入れるし、外の窓枠や装飾だけでなく、中も職人の技が極まっているからである。住んでいる人たちは、文化財だから残そうという意識はまずない。時期が来たら無くなるのである。
荻野正和さんの企画を支持する。ここに記録されているのは、実はほとんどが都内だけだ。これからは全国の看板建築を記録するか、ホームページを開設して、全国から記録や写真を収集して欲しい。もう一つの視点は、海外の看板建築の記録を撮って欲しいと思う。韓国の釜山や江景や地方の街で、私は数多くの看板建築を見てきた。昭和の風景を残そうという意識ではなくて、改築が出来ないので残ったという残り方だった。そういうのもプロの視点で是非記録してほしいなぁと思うのである。 -
秩父の「パリー食堂」が表紙なのでとっても気になっていました。行ってみると結構入りにくい雰囲気なんで通りすがるだけですが、インタビューを読んでみると気さくですね。入ってみてもよかったか・・・。
さて、看板建築と言えば昭和好きとしては当たり前のワードではありますが、漠然としたイメージの中で語られています。
この本では様式を細かく分析していますが、単なる昭和好き(僕のような)人がぎりぎり興味持てる程度の突っ込みぐあいで書かれています。
色々な看板建築が出てきますがほぼ解体されています。もはや見る事が出来ない貴重な写真が満載で眺めているだけでノスタルジーに包まれます。
そして一番うれしかったのは、我らが荻窪の「Title」が看板建築の店インタビューで出てきた事!知っている店が出てくると一気に興味が湧きますよね。確かにあの建物の雰囲気は新築では出せない魅力だと思います。天井の梁とか、2Fの雰囲気とか、歴史が詰まっていますよね。 -
日常の何気ない風景に埋もれてしまっていますが、
昭和的な看板を掲げた個人商店というのは、もの
すごいスピードで減ってきています。
ここで扱われている看板建築は、建築物としても
価値があり、昭和の遺産として残すべきものと思
います。
どこ行っても同じ風景ではつまらないです。
今ある風景を目に焼き付けなくては。
散歩するときに街を見る目が変わる一冊です。 -
写真だけでなく、ちょっとした解説や住んでいる人のインタビューも載ってる
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関東大震災後から日本の商店建築を中心に広まり、戦火を生き延びた「看板建築」の写真と解説、そして現存建築物の主へのインタビュー集。
後継者不在、建物の老朽化などにより全ての看板建築を永久に保存することはまず不可能なだけに、きちんと記録をアーカイブすること、そしてこの本のような一般流通書籍の形態で専門家ではない一般人の記憶にも残すこと、はとても大事です。
欲を言えば、惜しくも解体されたものを含む建物の写真のメタデータとして、撮影場所や建物名だけでなく、撮影年代に関する記載があると良かったと思います。写真のメタデータは研究としてはもちろん記録整理されているのだと推察しますし、一般人は素敵な建物の写真さえ見られればそれでよし、な面があるのは確かですが、メタデータの記載があればもっと立体的、深堀的な鑑賞と記憶が可能になる筈ですので。 -
消えて行ってしまう景色を記憶していきたい。そう思える本だった。
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昭和に街中で見られた建物全体が看板となっているかのような個人商店。全国各地の看板建築の写真。木造あり、モルタル・スレート・レンガ、構造や素材を見るだけでもレトロ感満載。そのほとんどが現在は解体されているが、中にはまだ現役の建物もあり、中側も取材している。
古い建物を個人が維持していくのは大変だろう。今でも使い続けている建物は、その持ち主の愛情を感じる。 -
メインは「看板建築」なのですが
その建物を大切に使い(住み)続けている
お店の人へのインタビューがいい。
もちろん「看板建築」の建物のほうも
解体されてしまったものを含め
たくさんの写真が掲載されていて
とてもよい資料になっています。
当時の風景を再現しようと思ったら
一級のカタログになるわ。
型板ガラスなどの建具も素敵!
関東大震災復興期に多く建てられているので
東京周辺が主なのですが
私自身が実際に見た記憶があるのは
たぶん清澄白河の旧東京市営店舗向住宅。
長屋のようなのに
一軒ずつ微妙にデザイン違うのがオシャレ。