- Amazon.co.jp ・本 (160ページ)
- / ISBN・EAN: 9784909394453
感想・レビュー・書評
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料理人土井善晴と政治学者中島岳志の、料理と利他をテーマとした対談本。2020年に "Zoom"で行われた全2回の対談及びパネルディスカッションをまとめており、1回めには國分功一郎など他の学者も参加しているほか、一般の人からの質問にも回答している。実利性が重視される日常的な家庭料理と特別さを重視する高級料理との対比、家庭料理や高級料理の文化的背景、作り方の違いなど、具体的な話を通して、日本文化の特徴や、何のために料理をするのかの目的などを語っている。これを読むことで、料理の気の抜きどころ、楽しみ方などを感じ料理が楽しくなるほか、素材という自然を作為的に調理する料理という作業の観察・内省を通して、今自分達が世界とどう向き合うべきか、考えさせられる。
素材を生かそうよ、引き算の料理でいいんだよ、などというのが土井善晴さんのメッセージであるが、その根本には、あんまり手を入れてしまうと美味しくないし、めんどくさいよ、という実利的な感覚があると思う。
おそらく、近代合理主義、設計主義の批判であり、その背景には「合理的に何もかも人間が決めて、設計しようとしてもうまくいかない。むしろ自然のあり方を活かして、そこに逆らうことなく協働することで楽に美味しい料理がたべられるよ=それが良いんだよ」というような価値観がある。
その議論を語る際、親鸞の歎異抄などの日本の仏教思想へのリファレンスがあり、思想書的である。
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2020I066 596.04/Do
配架場所:A2 -
2020/12
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やっぱり料理はやめられない本
#土井善晴 -
メモ