- Amazon.co.jp ・本 (508ページ)
- / ISBN・EAN: 9784909832498
作品紹介・あらすじ
新聞・雑誌・書籍・ラジオ・映画・美術・食文化・ファッション──
いま鮮明になる日本統治下の台湾。
日本と台湾、双方の膨大な活字媒体を博捜して、徹底実証。
文学研究、歴史学、政治学や経済学など、学問ジャンルを跨いで、
近代日本人の異文化体験の実相を問う。
詳細な「関連年表」を附載。当時の写真多数掲載。
感想・レビュー・書評
-
総論 帝国幻想と台湾
1 一九世紀後半~二〇世紀前半の台湾と帝国幻想
2 植民地とモダニズム
3 文化のなかの帝国
4 日本統治期の出版・新聞メディア
5 日本統治期の雑誌メディア
6 資料編詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
簡潔な通史と、主に社会文化面を取り上げる短い論文集からなる。生活に身近なラジオや新聞などのメディア状況に関心を持った。本島人が9割との人口構成にもかかわらず、メディアの言語は日本語が主だったようだ。本島人対象のラジオ第二放送は1942年にやっと実現。昭和天皇即位の礼生中継の試み、ラジオ体操などの皇民化政策も、これでは限界があったのではないか。
一方、ラジオを通じて日本のモダン文化が台湾に流入。流行ファッションは東京経由と上海経由の2ルート。本島人が見る映画は邦画、洋画、中国映画でいずれも台湾語弁士付き。日本食が流入し、すき焼きは台湾人に愛される。日本統治は近代性や異文化の流入をもたらしたが、同時に中国本土からの流入もあった点が台湾の特徴か。
同時に、流入は一方向ではなく、バナナが植民地台湾の象徴として内地や朝鮮に移出されるなど、逆のルートもあった。