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- / ISBN・EAN: 4988013125261
感想・レビュー・書評
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★★★★☆
絶望の果てにあるのは絶望ではなく、希望でもない
【内容】
住田祐一、茶沢景子、「ふつうの未来」を夢見る15歳。だが、そんな2人の日常は、ある“事件"をきっかけに一変する。
【感想】
圧倒的な絶望と暴力的な狂気を併せ持った作品だ。
主人公に深い絶望が訪れる。ハッキリ言って生きていけないくらいの大問題だ。そりゃゾンビにもなりたい。
東日本大震災の被災地の映像が何度も流れる。
最初は、物語と関係ないのに被災地で撮影することに何の意味があるのか、話題性のためかって考えてしまった。
しかし、ラストカットでその考えが誤っていることに気付いた。
タイトルの『ヒミズ』とは、モグラ科に分類される哺乳類で、日本固有種であり、漢字では「日不見」と書く。
つまり、ラストの「住田がんばれー住田がんばれー」とは自分自身も含んで「日本がんばれー」なのだ。
自分が何をしていいのかわからない。他人に対してすぐ腹が立ってしまう。家族が死んだ。原発問題は大変だ。そんな鬱屈とした日本、絶望の果てにある世界に対して出来るとこは、ただ「がんばる」ことしかないのだ。
そこに待つのは更なる絶望かもしれないし、希望かもしれない。
まだ光は見えないが前へ前へがんばって進もうじゃないか、ヒミズのように。
主演の染谷将太と二階堂ふみが素晴らしかった。それを上回る窪塚洋介の存在感ってやっぱすげー。 -
言葉や文字であらわせないものが映像で伝えられている。
観るのに少し覚悟が要るけど、観て、何か動かされるものがあった。
普通の映画って、自分の中の心の一部が揺さぶられる感じなのに対して、
この映画は自分の全てを揺さぶられるというか。
人生観を問い直させるような。
心が不安定なときにこそ、観るべき映画かも。 -
原作はキチンと読んでないんだけど、それなりに楽しめた☆
でも園子温監督の震災に対する気持ちとかメッセージや思いなんかが所々に散りばめられていて、それが少し強すぎる気がした。。。
まぁ震災直後の作品なので仕方ない気もするが。。
賛否両論あるんだと思うけど
良くも悪くも園子温の映画って感じがして個人的には嫌いじゃない☆
この作品を踏まえて「希望の国」も観てみたくなった。 -
これほどまでに魂が揺さぶられる映画を初めて見た。こんな映画、洋画では絶対作れない。改めて、邦画っていいなって思った。
染谷君がマジロックでかっこよすぎる。ふみちゃんもめっちゃかわいい。この2人の透明感っていうか存在感がこの映画の魅力を2倍も3倍も引き出してると思う。
この映画には3.11の被災地の(おそらくは震災から間もない)映像が使われている。そこにあるのは哀しみや絶望。そこに登場人物たちの絶望が投影されている。
住田の狂気にも似た叫び。住田を必死で守ろうとする茶沢さんのひたむきさ。彼らを取り巻く人たちの温かさ。すべてが心に響いてきて、そして圧倒された。
今何かにもがき、苦しんでいる人に是非見てほしい。きっとなにかしら希望のようなものが得られると思う。この映画に出会えて、本当によかった。 -
主演の染谷、二階堂両氏の存在感はすごかった。
本当にすごかった。
園子温監督の映画は時間を感じない。
スタートからどれくらい時間が経ったか
あとどれくらいなのか
そんなのを気にしている余裕をくれない。
130分瞬きしないで観た感じ。
今回もまた最後の最後まで魂を持っていかれた。
余談。
震災をうけてそのモチーフを入れ込んだことへの賛否や
急遽脚本を変更したことでの全体への影響など
色々言う声もあるみたいです。当然でしょう。
NHKで次回作「希望の国」のドキュメントでわかった。
人間園子温、映画監督園子温が震災を目前にして
だまって見過ごすことが出来なかったのでした。
倫理的に正解ではない部分があることもわかっている
それでも表現者として何もしないではいられない。
住田ガンバレー
住田ガンバレー
住田ガンバレー
この声が監督の思ったところへ届くかはわからない。
ただ、監督は2011年のこの瞬間にスクリーンの向こう側から
こう叫ぶしか考えられなかった・・・
ということなのだと思うことにしました。 -
園子温が古谷実の漫画に東日本大震災を絡めて映画化。
誰しも感じたことはないだろうか。前向きに希望を持って生きようという空気のたまらない嫌な感じ。主人公はその空気、閉塞感と真っ向から向き合い否定する。
でも人は誰かや何かに生かされてやむなく希望にすがって生きていく。園子温がインタビューでこの映画のテーマを「希望に負けた」という言葉にしていたが、人は仕方なく希望を抱いて生きていくものなのだとこの映画を見て思った。
世の中綺麗事ばっかり言ってて死ぬほどムカつく。そんなの嘘っぱちだ。でもやっぱりどこかで綺麗事を信じて生きていくしかないんじゃないか。最後の「がんばれ」はそんな一周回ったそれでも生きるしかないというエールなのだと思う。
被災地で撮影し、あえてこのタイミングでこのテーマを扱ったことがすごい。主演二人の圧倒的なエネルギーもすごい。
こんな映画をつくってくれてありがとうと言いたい。 -
人間、屑にはいっそのことしんでもらいたいというドス黒い感情がどうしても沸くもので。それを理性的に整理できるのが普通の人間なんだと思う。住田は自分が思ってる以上にごくごく普通の子だと思った。家庭環境に難のある人間なんてたくさんいるのだから。茶沢さんがいたから、おじさんたちがいたからそこに気付けた…んだよね?周りの人間に恵まれていて救われた。
"俺は一体誰なんだ""教えてくれ"
私はこの言葉がすごく印象的。永遠の謎だよな。
茶沢さんみたいに、全身全霊、誰かにぶつかってみたい。
未来ある若者たちに向けた"がんばれ"が聞こえた気がした。 -
相変わらずテンションの高い映画。出演しているのもクセのある俳優ばかり。the園子温ワールド。
どこかの店に置いてあった七夕の短冊に、「がんばってくださいぼく」と書かれているのを読んで感動した時の気持ちを思い出した。 -
あの時期によくここまでのものを意欲的に撮ったものだと感服。それにしても毎回この作品に出てくるキャストはいい味出しているなぁ。