堕落論 [Kindle]

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  • 2012年9月13日発売
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感想・レビュー・書評

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  • 冨永愛オススメ本より。

    ニンゲンは良く出来ていないから、堕ちるべきところを見極めて堕ちるべし…みたいな…?
    うまく言えないが。
    何度か読み返さないと、しっかり腑に落ちるところまでいかないなぁ。

  • 武士道、未亡人、特攻隊、天皇…日本人が作り出した非人間的なことが、かえって人間的なことなのだと論ずるのは興味深かった。
    人間は変わらない。変わっているのはただ環境にすぎないのだ。
    そして、政治や歴史、戦争もそれぞれの積み重ねで大海の流れのようなものなのだと…。
    堕落しきるには弱すぎる我々であるが、そこから始めなければいけない。

  • 「さびしすぎてレズ風俗いってきたレポ」=「現代版・堕落論」と書いている人がおり、気になって今更ながら読んだ

    人間は生来堕落した存在であるが、弱い存在であるゆえに永遠に堕ちぬくことはない。
    その一方で、「堕ちる道を堕ちきることによって、自分自身を発見し、救わなければならない。」

    「レズ風俗」の場合も、永田カビさんはいわゆる「普通に」「うまく」生きることができなかったが、その「堕ちる道を堕ちきる」中で自分の本当のところを見つけていく。

    はぁ、なるほど。「レズ風俗」を読んでから「堕落論」を読むとその意味が少しわかった気がする。

    自分自身を発見するのは、堕ちる道を堕ちきることによる。
    世の中に多様な自己啓発の方法が溢れる中でも、斬新な安吾流自己啓発法。

    でも妙に納得もする。私自身第一志望に落ちて、眠れないほど不安を抱えた「堕ちた」ところから、自分自身が少し見えてきた気がしている今。
    まだまだ堕ちきれてないのかもしれないな。

    だからきっと、就職活動が「上手くいった」人は「堕ちきってない」かもしれないし、本当に成功しているとは言えないんだ!!と自分にいいように解釈しつつ、がんばります!周りの憐れみの目には負けないぞ〜〜〜〜〜!

  • 我々は規約に従順であるが、我々の偽らぬ心情は規約と逆なものである。
    どのような矛盾も有り得るのである。
    人間は永遠に自由では有り得ない。なぜなら人間は生きており、又死なねばならず、そして人間は考えるからだ。
    人間は堕落する。義士も聖女も堕落する。それを防ぐことはできないし、防ぐことによって人を救うことはできない。人間は生き、人間は堕ちる。そのこと以外の中に人間を救う便利な近道はない。戦争に負けたから堕ちるのではないのだ。人間だから堕ちるのであり、生きているから堕ちるだけだ。だが人間は永遠に堕ちぬくことはできないだろう。なぜなら人間の心は苦難に対して鋼鉄の如くでは有り得ない。人間は可憐であり脆弱であり、それ故愚かなものであるが、堕ちぬくためには弱すぎる。

  • 「別冊 音楽と人 櫻井敦司」で櫻井敦司が読んでたので気になって。何度か読んだ気がするが、今回気になったのは以下のところかな。◆我々は自発的にはずいぶん馬鹿げたものを拝み、ただそれを意識しないというだけのことだ。◆まったく美しいものを美しいままで終わらせたいなどと希うことは小さな人情で◆生きよ堕ちよ、その正当な手順の外に、真に人間を救い得る便利な近道が有りうるだろうか。◆人間は生き、人間は堕ちる。そのこと以外の中に人間を救う便利な近道はない。

  • 「堕ちる道を堕ちきることによって、自分自身を発見し、救わなければならない」

    人間の本性は堕落するようにできているという。しかしその一方で戦後人々の堕落はなかったとも、堕落だったとも書いてあり判然としない。

    「あの偉大な破壊の下では、運命はあったが、堕落はなかった」

    「偉大な破壊、その驚くべき愛情。偉大な運命、その驚くべき愛情。それに比べれば、敗戦の表情はただの堕落にすぎない」

    堕落するとはなんだろう。読んでアジテートされたが、よくわからない。

  • 【2回目】制度や思想の「虚構」性を暴こうとしたものだろうと思う。「続~」と前後して読んだので、区別がつかなくなってしまった。

  • うーん、わからん。

  • 昔読んだことがあるようだけど、すっかり忘れていたので再読。想像よりずっと短い作品だったし、小説にあるような親しみやすさもない、溜まりに溜まった鬱憤を殴り書きしたような印象。
    表面上の杓子定規な綺麗事に惑わされるな、人間の本質はとことん卑小でだらしのない物だと看破する圧力は安吾の着眼点でしか表現できないだろうなと感じる。あっぱれ。

  • 日本の「事勿れ主義」を美しいまま死ぬのは無理である、というオブラートに包んでいるように見える。
    さっさと堕落してみろ人間にもなれない奴らめ。と言ったところか。

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著者プロフィール

(さかぐち・あんご)1906~1955
新潟県生まれ。東洋大学印度倫理学科卒。1931年、同人誌「言葉」に発表した「風博士」が牧野信一に絶賛され注目を集める。太平洋戦争中は執筆量が減るが、1946年に戦後の世相をシニカルに分析した評論「堕落論」と創作「白痴」を発表、“無頼派作家”として一躍時代の寵児となる。純文学だけでなく『不連続殺人事件』や『明治開化安吾捕物帖』などのミステリーも執筆。信長を近代合理主義者とする嚆矢となった『信長』、伝奇小説としても秀逸な「桜の森の満開の下」、「夜長姫と耳男」など時代・歴史小説の名作も少なくない。

「2022年 『小説集 徳川家康』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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