イノベーションのジレンマ 増補改訂版 Harvard business school press [Kindle]

  • 翔泳社
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感想・レビュー・書評

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  • 有名本。
    優良企業がなぜ破壊的技術に淘汰されるのか。
    地に足ついた考察に加え、どうするべきかについてまで、しっかりと示唆出しをしている学びの多い本

  • なかなか読めずにいたが読み始めるとあっという間に完読できた。本書は有名であるため趣旨は聞きかじってはいたが、やはり原書をよむといろいろ考えさせらえれる。IT業界に身をおいているが、本書で述べられている破壊的イノベーションのよる業界の変容に思いをめぐらされながら読みすすめられた。

  • 良い企業であればあるほど破壊的な技術に打ち負かされるという事実は非常に革新的だ。

  •  原版はもう20年以上前の本だが、全く色あせない「イノベーション・マネジメント」論である。現在この考え方は多くの経営者やその支援者の間では”当たり前”のこととなっていると思う。それもクリステンセン教授のおかげだろう。
     いずれにしても、コンサルタントとして今回初めて読んだということは少々恥ずかしくもあるが、読書実績としてしっかりと記録・記憶しておきたい。

  • 電気自動車のイノベーターにとって重要なことは、主流市場で利用できるまで技術が向上するまで待つのではなく、現在の技術特性を評価する市場を見つけることである

    どうやったら見つけられるのでしょう。手当たり次第にしても単価が高いので、資本の少ないベンチャー企業には難しそうです。一方売れるかどうか分からないので、売上を求められる大企業にも難しそうです。やはり、テスラのようなベンチャーだけど、創始者が圧倒的な資産を持つような、創始者の人間性により多くの出資を引き出せるようなベンチャーでしか成し得ないのではないかと思います。

    生きてる間に街に溢れる電気自動車という光景を見れるか、一ユーザーとして見守っていきたいと思います。

  • 絶望した。

    アルバイトも含めると働くという事はもう10年以上になるが、自分の経験を振り返ると優秀な人・企業が多かった。しかし、だからこそというところはあってまさに、本書で述べられているジレンマを体験したことになる。

    気軽く読めて理解できるような内容ではないので、何度も読み直す必要もあるだろう。
    経営者やマネージャー向けの本であるとは思われるが、そうでなくても野心を持っているが、なかなかうまくいかなくて葛藤を抱えている人にもオススメができる本であると思う。

  • 適切な戦略を立てていたはずが、破壊的イノベーションによってあっというまに破綻するという企業やプロダクトの分析結果が様々な事例をもとに詳述されている。

    イノベーションの萌芽を見つけたら放置してはいけない。既存のプロダクトと同じワークフローや基準でイノベーションを審査しない。イノベーションの販売先は既存顧客とは限らない。など示唆に富んでいる。

  • 懐かしい製品名や企業名がいっぱい。分析はできたとしても、予測はできないもんだ。

  • 古典と言われる本を読んでみようと思って読んでみた。分厚くてしんどいが、とても面白かった!
    また、古典で扱われる概念や理論は頻繁に引用されているので理解しているつもりだったが、原著を読むと理解が浅かったなと理解出来てよかった。
    また古典的な本を読もう!


    【ポイントの整理】
    ●持続的イノベーションと破壊的イノベーション
    ・持続的イノベーション:既存顧客への価値提供力を高めるイノベーションを言う。従来のイノベーションとの技術的差の大小は関係なく、従来とは大きく異なる技術を使用していても、既存顧客に資するものは持続的イノベーションと定義される。これは全イノベーションの殆ど(9割以上?)を占める。
    ・破壊的イノベーション:既存以外の顧客(多くの場合、安価顧客や利用していなかった人)に資する技術。多くの場合、既存顧客のKBF(主要購買要因)で判断すると既存技術より劣っており、既存顧客には受け入れられない。破壊的イノベーションが出た当時は誰が顧客なのか不明瞭で、発見された顧客は既存顧客より購買力の低く、低価格で販売せざるを得ないことが多い。結果、利益率は低くなる。

    ※技術の定義:科学技術のような狭い意味ではなく、組織、業務などあらゆる企業活動を変更するものは広く技術の範囲内とされる。(例:ディスカウント・ストアは何ら新しい科学技術はないが、小売業界にとっての破壊的技術である)

    ●イノベーションのジレンマ
    ・成功している大企業は破壊的技術を取り込めない
    理由① 顧客:利益の大部分を稼いでいる既存顧客への価値提供を優先する
    理由② 株主:株価を維持向上するためには、利益成長を続けることは必須。だが、破壊的イノベーションは短期的には低利益しか生まず、魅力的とはならないため、成功している企業は既存市場の持続的イノベーションに投資し続ける
    理由③ 自社:企業の構成要素である(1)資源 (2)プロセス (3)価値基準 のうち、資源は変更可能だがプロセス、価値基準の変更は困難。破壊的イノベーション活用のためには、「プロセス:既存顧客に高い価値を提供するための高コスト構造から低コスト構造への変化」「価値基準:短期的利益の高い事業や、不透明性の低い事業を優先する優先順位からの変化」が求められるが、そのようなプロセス、価値基準の変更は困難。

    ・破壊的イノベーションは既存市場で成功している企業を破壊する
    破壊的イノベーションは、出現当初は低品質で満足する低利益な顧客を相手にする下位市場にいたが、破壊的イノベーションが持続的に改善される(破壊的イノベーションの持続的イノベーション)と、既存市場の技術の価値提供力に追いつくケースが存在する(一般に、市場の需要の高まり以上に、供給の価値提供力の高まりが早いケースが多い)。そのような場合、既存市場の顧客にとり、従来のKBFをどの企業も満たすようになるので、それはKBFではなくなる。結果、破壊的イノベーションによる製品が既存市場に進出することで、KBFが変化する。
    新しく生じたKBFをよりよく満たすのは、既存市場の持続的イノベーションではなく、破壊的イノベーションであることが多い。結果、既存市場で持続的イノベーションを追求していた大企業は、破壊的イノベーションを持って進出してきた企業に破壊される。

    ※KBFの変化
    「機能」>「信頼」>「利便性」>「価格」へとKBFは変化するのが一般的傾向

    ●ベンチャーにとっての意味
    ①小規模市場、低利益市場では大企業と競争しなくてよい
    株主価値向上のために利益成長しなくてはならない大企業にとり、小規模市場や低利益率市場は魅力がなく、進出しづらい。だが、小規模市場や低利益市場から生じる利益は大企業にとっては小さくても、ベンチャーにとっては十分な利益と成り得る。
    →ベンチャーにとり、小規模市場や低利益市場は、大手企業が参入しにくい、競争の少ない市場と言える。

    ②破壊的イノベーションは、将来的には莫大な利益を生む
    当初は低利益市場にいたとしても、持続的技術革新を続けていれば、いつか上位市場に食い込める時が来る。上位市場で成功している競合を破壊すれば、莫大な利益を得られる。

    ●先行者優位とイノベーション
    先行者優位という言葉はよく聞かれるが、それは常に存在する訳ではない。持続的イノベーションには先行者優位は存在せず、破壊的イノベーションには先行者優位は大きく存在することが過去の研究からわかっている。
    ・持続的イノベーションでは先行者優位が存在しない理由
    持続的イノベーションに出遅れたとしても、これまで培ってきた既存技術で戦える。既存技術で持続的イノベーションと戦いつつ、持続的イノベーションの開発に乗り出せば時間を稼げる。
    ・破壊的イノベーションで先行者優位が存在する理由
    ①下位市場で既に顧客基盤を持っているため、規模の経済効果で低価格を実現しやすい
    ②下位市場は低利益市場であり、そこで生き延びるために低コストな企業体質を構築出来ている(上位市場で生きてきた競合はより高コストな企業体質であり、容易には変更出来ない)
    ③破壊的イノベーションは既存市場のKBFを変える。従来技術や持続的イノベーションは新たに加わったKBFに合致するようには設計されておらず、対応出来ない

    ●破壊的市場での成功方法
    ・事業計画:トライ&エラーが重要
    破壊的イノベーションは既存市場とは異なる、新たな顧客を見つける必要がある。過去の企業や業界専門家の予測を振り返ると、その新たな顧客が誰なのかは、実際に売る前に予測することは困難。
    →トライ&エラーを前提に、プロジェクトを進めなくてはならない。事前に決めた計画に囚われると失敗する

    ・組織:既存組織とは独立した破壊的技術の活用組織を新設する
    組織案として、以下が存在する。
    ①破壊的イノベーションに適したプロセスと価値基準を持つ組織を買収
    ②既存組織のプロセスと価値基準を変更
    ③独立組織を新設し、破壊的イノベーションに合致したプロセスと価値基準を形成する

    過去の研究によると、成功率が最も高いのは③(①、②にも成功例はある)。
    その理由は、①既存組織からの圧力を受けにくいこと ②買収企業と異なり、プロセスと価値基準を0から作りやすいこと と推測される。


    【所感】
    ●先進国企業、新興国企業と破壊的イノベーション
    世間では、先進国の成功していた企業が、新興国の新出企業に破壊的イノベーションで破壊されるケースが多いように思う(例:中国企業に破壊される日本家電メーカー)。そこで、主として先進国企業の立場から、①破壊的イノベーターになる方法 ②破壊的イノベーションから身を守る方法 の2点を考察する。

    1. 先進国の成功している企業が破壊的イノベーターになる方法は?
    1.1 分析
    破壊的イノベーターになれるかの判断基準として、①資源(人、物、金、情報) ②プロセス ③価値基準 を置く。各項目に関し先進国の成功している企業を評価すると以下になる。
    ①資源:△
    全て潤沢に持つが、人、物は高品質高コストであり、下位市場には適していない
    ②プロセス ③価値基準:×
    株主(短期的利益成長を要求)、顧客(既存市場の顧客は高品質を要求)の要望に晒され、低利益で低品質な下位市場への進出を拒む。

    つまり、先進国の成功している企業が破壊的イノベーターになる際の課題は以下2点。
    ①資源:高コストな人と物
    ②プロセス&価値基準:下位市場でなく既存市場や上位市場に最適化

    1.2 打ち手
    ②プロセス&価値基準:既存組織のプロセスや価値基準を変革することは困難のため、別組織で活動すべき。具体案として、(1)破壊的イノベーターとなるべく新組織を設立 (2)求めるプロセス&価値基準を持つ企業を買収 の2点が考えられる。クリステンセンの研究によると、どちらも一定の成功確率はあるようだ。((1)の方がより成功確率が高いらしい)

    ①資源:高コストな人と物を低コスト化する必要がある。これも既存組織の既存資源を低コスト化することは現実的ではなく、以下の戦略があり得る。
    戦略(1):別組織を新設し、低コストな人・物を自力調達(低コストな国に新組織を作れば、実行しやすいだろう)
    戦略(2):別組織を新設し、低コストな人・物をアウトソースで調達(安価サービスの利用)
    戦略(3):別組織を新設し、低コストな人・物を既存組織から調達(特に物に関し、既存組織から流用出来れば、規模の経済性により安価獲得が可能になる可能性あり)

    上記のように、①資源、②とプロセス&価値基準いう課題に対策しつつ、新興国企業に勝る金や情報を破壊的イノベーション型の別組織に投資出来れば、先進国の成功している企業にしか出来ない破壊的イノベーション戦略となるだろう。

    1.3 実行上の懸念と対策
    短期的には利益を生み出さない破壊的イノベーション型の別組織に対し、金・情報を投資する意思決定を通すことは容易ではない。実行のためには組織内で権力を持った人間の働きかけが必要となる。具体的には、以下が考えられる。
    (1) 社内からの資金調達:全社を見渡す視野を持つ社長による破壊的新規事業へのコミット
    (2) 社内からの資金調達:CIO(Chief Innovative Officer)のような責任者や新規事業部の設置と権限付与
    (3) 株主市場からの資金調達:破壊的新規事業に投資させる(長期的投資になるため、実行困難か?)
    (4) 顧客からの資金調達:破壊的新規事業の投資の見返りに、破壊的新製品を優先的に提供(破壊的イノベーションは下位市場に受け入れられることが多いため、投資資金なく実行困難か?)
    (5) 他企業からの資金調達:破壊的新規事業を1社のみで実行するのでなく、複数社で提携し、資金を得る

    最もありがちなのは(1)社長のコミット (2)CIOや新規事業部の設置と権限付与 かと思われる。


    2 成功している先進国企業は、破壊的イノベーションから如何に身を守るか?
    2.1 有り得る選択肢
    既存事業で、低コストな新興企業(途上国企業の場合、特に脅威だろう)に突き上げられた先進国企業にとり、選択肢は以下。

    ① 既存市場に進出してきた破壊的企業に対抗する
    ② 上位市場に行く
    ③ 他の業界に行く

    2.2 選択肢の評価
    ①は勝てず、②はイノベーションのジレンマそのもの。なら回答は③では?
    以下、Appleのスマートフォンを例に考える。

    ① 既存市場で破壊的企業に対抗
    従来のAppleの強みだった利便性・操作性は、徐々に新興国企業の安価スマートフォンに浸食されるだろう。デザイン性やブランドという感性的価値はより模倣困難性は高いが、既存市場でのシェアが減少していくことは間違いない。
    Appleが現在している戦略の1つは、まさにこれでは?iphone7は薄くなったり、防水機能がついたり、イヤホンがワイヤレスになるらしいが・・・

    ② 上位市場に行く
    これもAppleが実行しようとしている?戦略で、プレミアムモデルの「iphone Pro」を発売する可能性があるようだ(非公式情報)。短期的利益にしかならないだろう。

    ③ 他の業界に行く
    現在は使い勝手が悪く、顧客にニーズを満たせていない業界(スマートウォッチ)に進出し、スマートウォッチの持続的イノベーションに注力する。長期的利益の視点からは、これが最も魅力的な戦略と考える。
    将来、スマートウォッチの技術改善が進めば、スマートフォンという別端末を持たなくても、時計とスマートフォン機能を持つ時計が現れる。そうなれば、従来のスマートフォン企業にとり、破壊的技術となるだろう(操作性ではスマートウォッチも十分な性能となり差が少なくなり、携帯性というKBFでスマートフォンより時計は有利)。
    だがそれも長期的にはより安価なスマートウォッチに駆逐されるので、新たな業界を見つけ、進出することを繰り返すよりない。

    2.3 結論
    「短期的利益獲得のために、①既存市場で破壊的新興企業に抵抗 ②上位市場に進出 を実施。同時に、長期的生存のために、③他業界に進出 する。進出した他業界で破壊的新興企業の突き上げを食らうようになったら、また同じ行動を繰り返す」ことが結論。
    その実行策として、BCGのプロダクト・ポートフォリオ理論のように、①成熟した市場で、金を稼ぐ事業(金のなる木) と、②新たに進出した破壊的新規事業(問題児) の両者を意識し、事業ポートフォリオを管理することが有効だろう。


    ●企業と生き物
    既存の事業領域に固執している限り、いかなる企業も成功し続けることは困難なのだと考えられる。これは、絶滅と新種の出現を繰り返す自然界の生態系のようで、とても面白かった。現在存在する種が生き延びようとするなら、地球環境の変化に合わせ、自らを変えていかなくては絶滅するのは、企業も生き物も変わらないなと感じた。

  • 「破壊的技術」に対しての大企業の一般的な向き合い方と、それに対する打開策などについて、豊富な事例とともに語られています。
    単に著者の意見を述べているだけでなく、裏付けとなるデータもあるので、非常に納得感があり、読み応えがあります。

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