イノベーションのジレンマ 増補改訂版 Harvard business school press [Kindle]
- 翔泳社 (2001年7月3日発売)
- Amazon.co.jp ・電子書籍 (391ページ)
感想・レビュー・書評
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資源配分ゲーム
イノベーションのジレンマ
ーソノサイトの営業マン
ーユニリーバのHPL
ーアメリカの下院議員
ー日本の議員も同じだなぁ
子供に仕事の話では無く、会話のダンスをする事でシナプスが形成され、知的好奇心が育つ
IKEAは顧客ではなく、用事を片付けている。
あなたは何の用事を片付ける?
我が家の行動指針、仕事を通して学ぶ。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
大企業は、既存製品の性能をこれまでの延長線上で良くする持続的なイノベーションに注力する。
新しい価値を提供する破壊的イノベーションが起こり、改善を繰り返し既存製品を脅かしてきたときに、焦って大企業が参入しても手遅れである。
大企業は怠けてたのではなく、むしろ顧客の声に真面目に応えていたというのが、ほんとうに皮肉である。 -
著名な本なので、多くの人が読んでいると思います。私の場合、新規の開発プロジェクトを提案しようと構想を練っていた際にこの本と出会い、2003年のお正月休みに一気に読み終えました。目から鱗が落ちるとは、このことかと思いました。そして、同時にイノベーションの恐ろしさに震え上がりました。特に、破壊的技術の原則の中で、原則1「企業は顧客と投資家に資源を依存している」、原則4「組織の能力は無能力の決定的要因になる」には、感銘を受けました。以後、幾度か読み直したり参照したりしています。私が読んでから20年も経過していますが、読んだことがない人には是非ともお勧めしたいと思います。このところ、イノベーションを何かの格好の良いファッションと勘違いしていそうな文章や発言を散見しますが、おそらく、この本を読んだことがない人だと思います。また、再読しようと思っています。
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いまさらながらセンセーショナルな理論。
とくに自身が微妙な需要の傾向にある事業に携わっているから余計に感じたのかもしれない。
いま大きな需要の変化が起きているのか、自分たちは上手くイノベーションに乗れているのか、決定論的な方程式ではないし、真偽は後からでないとわからなさそうだが、何をするべきかを考える視点は大きく広がる。 -
破壊的イノベーションが起こるのはいつも下位の市場から行ってくるもの。また業界によっては実現するための技術が簡単だったりする。では何故リーダーの位置にいた企業がそれを防げないかというと、バリューネットワーク内に入り込む隙間がなく、また利益率なども下がってしまうため、合理的な経営判断をすると選択肢から外れてしまう。
なので、対策としては破壊的技術を持った組織を作るか、買収する。その際に気をつけないといけないのが、主流組織のプロセスや価値基準を持って行かないこと。そしてその組織で新しい市場やバリューネットワークを構築することが成功する確率が高いやり方。
また、その破壊的技術が必要になる時が、供給過剰になるとき。単純、低価格、高信頼性、便利、そして弱みが強みになる。
個人的にはアメリカだと本当にいいものは知名度がなくても使いこなし、それこそ上位の市場も食いそうだけど、日本だったらあんまりなさそうなイメージが有る。 -
大手企業の経営者であれば間違いなく読んでいる一冊ではないだろうか。
少しでも経営者の視点に立って考えるために、ビジネスパーソンならぜひ読んでおきたい本。 -
買ったはいいものの、カタそうな本だし、絶対読まないだろうなぁなんて思っていた。著者クリステンセン氏の『イノベーション・オブ・ライフ』の方は面白く読んでいたんだけどね。こちらは買ったもののしばらく放置しておいて、ふと読んでみたら予想に反してびっくりするほど面白かったんだよね。よく「破壊と創造」なんていうけどさ。現実に企業でそれをやろうとしたら、お題目で唱えられるほど生易しい者ではない、ということが事例やデータで示される。
Appleでは最初に出した70年代だかのパソコン、AppleⅠが失敗し、その後AppleⅡ+で成功した。一方でAppleが大きな企業になったあとで大きな力を投入したポータブル端末ニュートンは歴史的な失敗作とされる。しかし、ニュートンは、ほんとうに失敗だったのか?
「
ニュートンは失敗だったのだろうか。ニュートンがハンドヘルド市場に参入したタイミングは、アップル Ⅱがデスクトップ市場に参入したタイミングと似ている。新しい市場を開拓する破壊的製品で、どのようなニーズがあるのか、ユーザー自身にもアップルにもわからない、不明確なユーザー層が対象である。それを考えれば、ニュートンの売れ行きは、アップルの経営陣にとっては予想以上だったはずだ。最初の二年間の販売台数は、アップル Ⅱの三倍以上である。しかし、一九七九年当時の小規模なアップルにとって、四万三〇〇〇台の販売台数は、株式公開にふさわしい勝利であったが、一九九四年の大企業アップルにとって、ニュートンの一四万台という売れ行きは失敗であった。
」
会社であれ、個人であれ、どのように生き残っていくかは大きな問題だ。
イノベーションなんてことがさかんに言われるけど、実際のところはヒトスジナワではいかない。本書を読んで、俺が成功事例なのかなと思ったのはセブンアンドアイHDだった。イトーヨーカドーという形態が衰退しかけたとき、セブンイレブンというコンビニに活路を見出し、そちらに脱皮した。セブンイレブンというイノベーションは、同時にイトーヨーカドーという形態の破壊もあったのではないか。古き価値観にも思いをはせると、なかなか複雑な気分になるが、そういう感情は起業家には必要ないものなんだろうかね。俺は起業家じゃないけど。 -
善を重ねる優良企業であっても、新しい革新的な技術を軽視してしまい、その地位を失う危険があることをイノベーションのジレンマという。
超長期で考えると、破壊的イノベーションと持続的イノベーションのうち、破壊的イノベーションを選ばなければいけない。
◯ジレンマの源泉
原則1:企業は顧客と投資家に資源を依存している
要するに、お金を出してくれる人に企業の戦略は影響されるということです。なので、実績のある既存事業に偏ってしまうのは当たり前と言えます。お客さんや株主を無視するのは非常に困難です。
原則2:小規模な市場では大企業の成長ニーズを解決できない
まだ可能性も小さく、成長過程にある市場を大企業は軽視します。10億円の市場は中小企業にとっては魅力的に映るかもしれませんが、大企業にとってみれば追求するような市場ではありません。
原則3:存在しない市場は分析できない
過去のことしか分析対象になりません。つまり未来の市場は分析できないので、顕在化している市場への投資が優先されます。
原則4:組織の能力は無能力の決定的要因になる
大きな組織ほど既存ビジネスに対して最適化されています。異なる事業をはじめようにも、大きな変化が必要になってしまい、新しいことに取り組みにくい体質になります。
原則5:技術の供給は市場の需要と等しいとは限らない
製品の性能を高めたり、新しい技術開発ができるからといって、顧客がそれを求めるとは限りません。過剰品質や過剰性能だと顧客が感じれば、破壊的イノベーションを受け入れるかもしれません。
◯ジレンマを壊すには
・破壊的イノベーションには当期利益に連動しない一定額の投資予算を無条件に配分する
・既存事業とは異なる組織・環境で破壊的イノベーションに取り組むと決める
・「売上」「市場規模」といった既存事業と同じ指標で評価しない
・破壊的技術が一定の市場を獲得するような試行錯誤を容認する。ビジネスモデルの変革は社内の価値観の変革と心得える
・イノベーションのDNAモデルなどを踏まえた社内人材育成や社外人材を活用する -
破壊的技術によるイノベーションがいかに既存企業を滅ぼすのかを、多くの事例を引きながら理論立てて説明されており、非常に面白く、わかりやすかった。事業を取り巻く環境に対する見方、とらえ方では大いに参考になると思う。だからと言って、必ず勝ち組になれるとのしっかりとした確信を得たわけではないが。