- Amazon.co.jp ・電子書籍 (5ページ)
感想・レビュー・書評
-
太宰治のア、秋。
ほんの5分の空き時間で読める。
ネタ帳に書かれたメモを辿ってゆく。
ところどころに素敵な表現アリ。
どうということはない、書いてあることそのままだろう。
自分の書いたメモなんて、時間が経てば何のことかわからなくなることは良くあること。それと真逆で、記憶が鮮明に蘇ることも良くある。
読了。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
詩人の日常
秋、トンボ透き通る、身体が
ノートに挟んでいた写真を見て秋の失恋をふと思い出す
秋は夏に隠れているが人々は気づかない、まるで悪魔だ
今となってはよくわからない文も書いてある
蝶が苦しい姿はまるで自分、その姿を見て儚いとは言えない
芸術家はいつも弱者の友であったはずなのに。
太宰の普段か。秋とはかけ離れたことばかり考えているからおもしろい作品が書けるのだろう -
秋。
季節はそれ単体というわけではなくて、夏が来ている時にはもう秋が来ている。
という、ハッとするような考え方。
たしかに、春のずっと先には冬があるけれど、それはどこかでバトンタッチして切り替わるのではなくて、ずっと並走しているものなのかもしれない。
秋といえば、郷愁、センチメンタルを掻き立てられるような季節、頃合でもある。
太宰の、ぶつ切りの、秋には一見関係のないメモの類ももしかするとそんな、秋の気配を持ったセンチメンタルなのかもしれないと思う。 -
本職の詩人ともなれば、いつどんな注文があるか、わからないから、常に詩材の準備をして置くのである。
からはじまる、ネタ帳そのものをネタにしたエッセイ。……エッセイなの?
太宰治って、はっとするようなところを突くよな。 -
確かに秋はこっそりやってくる。
-
私のGmailの下書きみたいでよかった。
こんな風に書くことを受け入れて発散して生きている彼に少し憧れを抱いた。
書き手は弱い者の味方だとしたら…、少し残念だよなと、同じことを偶に思うくせそんな事を思った。 -
「詩材の準備のための引き出し」なんて
大それたものは持っていませんが、
その引き出しとは関係のないものが入っている、というのは
非常に共感できます。
最後に出てきたちっとも秋とは関係ない一文、
どんな場面でその一文を書き留めたのだろうと、興味が湧きました。 -
短いのですぐに読める。
タイトルは秋だが、内容としては「秋」を例にして、ものの見方と記録について書かれたものであった。
太宰治の発想の方法の一端が見受けられたような気がする。一つ一つの物事について気づいたことや思ったことをメモとして残しておく。後からそれを見返して、さらに思ったことを付け加えていく、もしくは考えの変わった部分を書き換える。と言ったような風にアイディアの引き出しを作っていたんじゃないかな?と思った。 -
ある詩人による秋についてのメモ。
「詩人のメモ」というそれ以上でもそれ以下でもない作品だけれど、着眼点や世界の捉え方がおもしろい。
私が頑張っても5個しか言葉が出てこないような対象に、筆者含め「詩人」は100個、いやそれ以上と表現が思い浮かぶのだろうか。何が彼らと私をこれほどまでに隔てているのか、まだわからない。根本から違うのか、何かが邪魔になっているのか…。