駈込み訴え

著者 :
  • TRkin (2012年9月27日発売)
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感想・レビュー・書評

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  • ユダのひとり語りのみ。
    前知識なく読み始めて、あまりにユダのイメージと違ったから他の12使徒が出てくるまで気づかなかった。
    面白い解釈だなぁ。太宰らしい。
    ユダの嫉妬や独占欲や敬愛や崇拝の気持ちがごちゃごちゃ渦巻いてる感じがとてもよく伝わる。どうしようもない感情の渦がユダを狂わせてる。

    キリストを裏切りその後悔のあまり自殺したと伝えられているユダ。後悔というより、キリストを殺して自分も死ぬ!っていう激情ゆえの行動だったのか…。そんな事思ってもみなかったけど、太宰にこんな風に書かれるとそうだったのかもしれないと思ってしまうな。

  • 駆け込み訴え、というやや古風な形(何やら講談やら落語を聞いているような風情あり)を使いつつ、太宰が描くユダとキリストの物語。読み進めるほどに、なるほど、なるほど、であります。太宰が描く一つの愛の物語、★四つかな。

  • 2021. 4.11 読了。

    青空文庫にて。
    もろにキリスト教の話だった。
    最後にユダって判明するところがミステリー風なのかしら。

    キリスト教に馴染みがないので面白さはいまいちわからないが、ユダが裏切ったところを再現したフィクションなのかな?
    中田敦彦のYoutubeで又吉さんが「人間失格」は聖書と言っていたってのを聞いていたので、なるほどな、て感じ。

  • この作品を発表するのはかなり勇気がいることだったのではないかと思います。時代が時代ですし…

  • ユダの心の中はこんな感じだったのかもしれないなあ。

  • 第6回(古典ビブリオバトル)

  •  「駈込み訴え」は太宰治が口述するのを夫人が筆記したらしい。生誕100年記念ドラマで再現されていた。
     fire タブレット読み上げ機能で聞いた上で読み、あらためて聴き返す。二転三転するユダの心。マルタの妹マリアを交えての三角関係。異性愛と同性愛を行きつ戻りつする恋情。耳で聴かされると、いっそう味わい深い。

  • 愛情と憎悪は紙一重

  • この作品は、1940年に太宰が発表した口述筆記の作品である。物語は、一人の男が自らの師の横暴を訴えに来る場面から始まり、そこからずっとその男の語りによって話は進んでゆく。最後の場面では、この作品の主人公はユダであり、師とはキリストであることが明かされる。ユダは、世界的にも裏切りものの代名詞であり、銀30でキリストを裏切ったことから、金銭にがめつい嫌なやつだと思う人も少なくはないのではないか。キリストからの評価も、「生まれなかったほうが、その者のためによかった」と言われているなど、散々な評価である。(『マタイによる福音書』26章24節より)しかし、この作品はそうした従来の「嫌なやつ」とは異なり、「キリストを愛していたからこそ、キリストを憎悪し、裏切りを決意してもなお割り切れない悲しい人間」としてのユダを描いている。聖書内でもキリストではなく、ユダに着目したのは、既成の道徳観に反逆した無頼派の一人である太宰らしい。また、この他にもこの作品の注目すべき点は退廃的な美しさが溢れる真に迫った文章である。これにより、ユダのキリストへの愛憎が、より強調されている。「他人に殺されるくらいなら、いっそこの手であの人を殺したい」と言ってしまうほどの激情が、生々しくも儚く描写されている。また、太宰作品は、『走れメロス』しか読んだことないという人も多いのではないだろうか。この作品は、あの爽やかな文体とは正反対の雰囲気であり、太宰作品の新たな一面が見られるだろう。

  • 太宰治『駆込み訴え』。 他の人の手に掛かるくらいなら、貴方を殺して私も死ぬ!

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著者プロフィール

1909年〈明治42年〉6月19日-1948年〈昭和23年〉6月13日)は、日本の小説家。本名は津島 修治。1930年東京大学仏文科に入学、中退。
自殺未遂や薬物中毒を繰り返しながらも、戦前から戦後にかけて作品を次々に発表した。主な作品に「走れメロス」「お伽草子」「人間失格」がある。没落した華族の女性を主人公にした「斜陽」はベストセラーとなる。典型的な自己破滅型の私小説作家であった。1948年6月13日に愛人であった山崎富栄と玉川上水で入水自殺。

「2022年 『太宰治大活字本シリーズ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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