倫敦塔 [Kindle]

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  • 2012年9月27日発売
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感想・レビュー・書評

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  • 夏目漱石をほぼ読んだ事がないままで生きてきてしまったので、読み始めは漱石さんの独特な言い回しに戸惑いましたが、読んでる内にジワジワハマってくるものですね。

    白昼夢のように現れる絵画の中の世界の表現が私の好奇心をくすぐり、思わずネットで元になった絵画を見ましたが、有名なあの作品で、2度感動しました。

  • 自分でも、一体何回読むのだろうと思うのだけれども、好きなのだから仕方ない。漱石による幻想ゴシック的な筆致に魅惑され、そのいろいろの種明かしで現実に落とされ、さらに漱石の想像力の豊かさとそのもとになった作品を楽しむという、ひとつの流れがとても楽しい。好きだなぁ。

  • ロンドン旅行に行くから、「倫敦塔」読みました。(不純な動機)
    でね、漱石先生読んで楽しみにしてたのに、肝心の現地ではブラッディタワーとボーシャンタワーが改装中で入れないという悲劇。

    作中の漱石先生が目の前にあるものから空想を飛ばして、物語を幻視してしまうの、小説書きって感じですごい好き。
    (浪漫は浪漫のままにしておきたいから)2度は行かぬもんねっ、というちょいと駄々っ子さも可愛い。

  • 私には少々小難しい。最後の宿の主人の言葉に得心が行くこともあったが、それきりである。主人曰く倫敦には別嬪さんが沢山いるとのこと。成程、倫敦は魅惑的だなと感じる反面、主人の言うよう剣呑でもある。英国の首都へ旅行に行くことがあれば、是非とも倫敦塔へ観光をしたいものである。

  • 倫敦塔を舞台にした、臨場感ある謎めいた空想が興味を引く。
    何よりも空想シーンの美しいこと。塔の影に佇み、起きたかもしれない言葉のやりとりを思い描く様子が、文字から絵画が立ちのぼる幻影のように視界を埋めていくのがミステリアスで良かった。
    実際絵画からの想像もあったとのこと。
    建造物とその歴史に刻まれた人々を巻き込んで思いを馳せる時間だった。

  • 『怖い絵展』鑑賞時に本作に触れる解説があり、すぐ思い立って読みました。改めて凄い時代になったなぁ、思った時に無料でその場で本が読めるんだから。
    まぁそれはさておき何か感じが良い文章ですな、本作。100年以上の前の話とは思えず、異邦人が一人異国で翻弄される中で出向いた観光地で覚えた奇妙な感覚を巧く披露するお噺なんですが、読者たる当方の心にも奇妙にすっと入ってきます。
    しかし以前一度だけ倫敦塔観光をしたことがありますが、こんな感想を思い立たんかったですわ。やはり天才と凡人の違いですね、こりゃ。でもこれを読んで倫敦塔を観光すれば良かったなぁ。
    ところで冒頭の絵画展、あんまり感心しませんでした。

  • 倫敦塔を見学に行った先で、色々な幻影を見た話。ラストの宿の主人との会話でちょっと笑える。そして本当のラスト、この内容の背景を律儀に説明するところ、好きです。

  • 先に想像があって、それを文章化したような印象を受けた。倫敦塔自体の描写よりも、倫敦塔を訪れた際に浮かんだ空想の文章化に重きを置いてある。昔のことすぎて、「判然たる景色がどうしても眼の前にあらわれにくい」という事情もあったようだ。また、挿入される空想話における会話文を古文で表現している点も興味深い。地の文は現代の仮名遣いである。漱石のいる時点から過去への縦の時間軸を形成している。最後に著者自ら『倫敦塔』の解説をしており、著者の創作方法の一端が垣間見えて面白い。

  • 倫敦塔を訪れた夏目漱石の小説?感想?観光ガイド?

  • ペンネーム:mii
    読み始めた時、私は倫敦塔のことを知らず、エッフェル塔のような塔を想像しながら読んでいました。しかし、読み進めていくうちに、話が噛み合わなくなってきておかしいなと思い、倫敦塔のことを調べると、倫敦塔とは、監獄や処刑場に使われていた要塞のことであることが判明しました。要塞を想像しながら1から読み直そうと思いました。
     「一度で得た記憶を2辺目で打壊すのは惜しい」と言う感覚はとても共感できます。幼い頃の記憶で、たとえば広い遊園地で遊んだ記憶があるとき、大人になってからその遊園地に足を踏み入れると、とても小さな敷地で、乗り物も大したことがなかったとき、とてもがっかりした気持ちに塗り替えられるような感覚はあまり味わいたくありません。
     自分の中で感覚としてしかなかったものに対して、言葉の当てはまる表現を見つけるのは、本を読んで楽しいと思うことの一つになっています。
     歴史に思いを馳せる「余」が過去の出来事を追体験しているような不思議な話だと思いました。悲惨な歴史を具体的に想像できる力は、2度とこんなことを起こしてはならないという意識や平和を維持するために必要なものだと思います。幽霊を見たり、言葉を聞いている「余」は、それだけ歴史を勉強しているんだなと思いました。
     とか思っていたのですが、全部「余」の空想の話でした。オチまでが長すぎです。
    青空文庫→https://www.aozora.gr.jp/cards/000148/files/1076_14974.html
    姫路大学附属図書館の蔵書を確認する→https://library.koutoku.ac.jp/opac/opac_link/bibid/SS00024975

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著者プロフィール

1867(慶応3)年、江戸牛込馬場下(現在の新宿区喜久井町)にて誕生。帝国大学英文科卒。松山中学、五高等で英語を教え、英国に留学。帰国後、一高、東大で教鞭をとる。1905(明治38)年、『吾輩は猫である』を発表。翌年、『坊っちゃん』『草枕』など次々と話題作を発表。1907年、新聞社に入社して創作に専念。『三四郎』『それから』『行人』『こころ』等、日本文学史に輝く数々の傑作を著した。最後の大作『明暗』執筆中に胃潰瘍が悪化し永眠。享年50。

「2021年 『夏目漱石大活字本シリーズ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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