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感想・レビュー・書評
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「聞きたまえ! 億万長者にして浮浪者、財団総裁にしてユートピア夢想家、慈善事業家にしてアル中である、エリオット・ローズウォーター氏の愚かしくも美しい魂の声を。隣人愛に憑かれた一人の大富豪があなたに贈る、暖かくもほろ苦い愛のメッセージ……現代最高の寓話作家が描く、黒い笑いに満ちた感動の名作!」
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池澤夏樹・選 カート・ヴォネガット
①『猫のゆりかご』(伊藤典夫訳/ハヤカワ文庫)
②『スローターハウス5』(伊藤典夫訳/ハヤカワ文庫)
③『ローズウォーターさん、あなたに神のお恵みを』(朝倉久志訳/ハヤカワ文庫)
「カート・ヴォネガットは圧倒的に若者の作家だった。アメリカ文学に特有のイノセンスが彼にはあった。若者は社会のありかたについて疑問を突きつけ、改革を夢見る。だから彼はアメリカに社会主義を、と言った。言ってみれば明るいペシミスト。第二次世界大戦の捕虜体験と冷戦の非常な論理を見て人間性に絶望するけれども、その絶望を手を替え品を替え、陽気に、愉快に、皮肉に、SFを使い、寓話を使い、とんでもないストーリーを考案して苦い笑いと共に語る。
『ローズウォーターさん、あなたに神のお恵みを』は、富豪に生まれついたことを悔やみ、それと誠実であることを両立させようと必死で奉仕活動をする男の話。常識のある人々には彼のふるまいはすべて狂気の沙汰と見える。だが、狂気は社会の側こそにある。」
(『作家が選ぶ名著名作 わたしのベスト3』毎日新聞出版 p86より)詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
第5長編、表紙のおっさんが小ぎれい過ぎませんか▲聞きたまえ!隣人愛に憑かれた一人の大富豪があなたに贈る暖かくもほろ苦い愛のメッセージ…黒い笑いに満ちた感動の名作▼トランプ前大統領が4年後に再選で闘う、そんな変わらない米国らしさに満ち満ちている。「博愛」と「強欲」のバトルもありますが、共和党上院議員のご子息というプリンスによる「博愛」が産み出すものは何か⁉「怠惰」それとも「愛」?いや「人の話を聞いていないのに、聞いていると思わせる」ことが重要だと思わされるとは…。ブラックだ!ああ、ブラックだ‼(1965年)
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3冊目(大昔に読んだタイタンの妖女は除く)にしてようやくヴォネガットの楽しみ方がわかってきたみたい。最後、キルゴア・トラウトがエリオットの生き方を肯定?祝福?するところではちょっと泣きそうになった。エリオットは持てる者だからこそあのような行動が取れたわけだけど、それを差し引いてもなんか今胸がいっぱい。
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読んだ中では『母なる夜』に続いて好きな作品。『スローターハウス5』にも登場するローズウォーターが主人公。トラウトが初登場なのも見どころ。物語の根底には『プレイヤー・ピアノ』からつながるテーマがあるようだ。すべての隣人を愛そうとするローズウォーターは狂っているのか、それとも彼だけが正気なのか。優しさに溢れた素晴らしい作品。
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主人公エリオットの人間への愛が優しい気持ちにさせてくれる。
ローズウォーター群の人たちはみんな愛嬌があって憎めない。
怠惰に見えるけど、そうなるしかなかった経緯があるんだろうと思う。
金持ちだって怠惰な人はいる。貧乏で怠惰な人だけが「自業自得」と言われるのはおかしいと思った。
IT化が進んで人間がする仕事が限られてきたとき、人類はどうなるかということを考えさせられる。
1965年に書かれた本だということに驚き。
はじめはちょっと下品で嫌だなぁと思ったけど、慣れたら大丈夫。