現代語新訳 世界に誇る「日本のこころ」3大名著 ──茶の本 武士道 代表的日本人 [Kindle]

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感想・レビュー・書評

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  • 外国人の著書を日本語にする、普通の翻訳本とは少し異なる翻訳本。
    今もなお世界中で読みつがれている名著『茶の本』『武士道』『代表的日本人』を一冊にまとめた本書。
    この三冊を選び、並べて、翻訳した訳者の「日本のこころ」に多角的にアプローチしていく意図が感じられる。

  • 日本人とは何たるかを諸外国に向けて発信した3大名著を一冊にまとめた本。Kindle Unlimited対象だったこと、茶の本、代表的日本人を読んでみたかったことから購読。

    現代語新訳版であり、非常に読みやすくなっている。各書で時折みられる欧米文化に対する遠慮のない皮肉も痛烈で面白かった。武士道は一度読んだことがあったが、本書はより分かりやすかった。どの本にも共通する内容があり、著者である明治時代の知識層(国際派)がキリスト教の影響を受けていること、日本人らしさの根本に儒学・陽明学の影響があることが読み取れた。

    「論語読みの論語知らず」にならない様にしつつも、四書五経などの古典を読み教養を深め、知識・技術を活用する前提となる智・仁・勇を育み、知行合一に努めたいと感じた。

    【メモ】
    ◆茶の本
    ・日本の住居や慣習、衣服や料理、陶磁器、漆器、絵画、そして文学に至るまで、全て茶道の影響を受けていないものはない
    ・茶道の本質は「不完全さ」を崇拝する事
    ・西洋人は、日本が文芸にふけっていた時代、野蛮な「未開国」だとみなし、満州で殺戮を始めてから「文明国」と呼んだ
    ・茶にはワインのような傲慢さが無く、コーヒーのような自意識もなく、またココアのような見せかけの無邪気さもない

    ◆武士道
    ・孔子の儒教が武士道の源泉となった。君主と家臣、父と子、夫と妻、兄と弟、友人同士
    ・孟子も影響を与えたが社会秩序転覆の恐れから禁書とされた
    ・「論語読みの論語知らず」ただ聞きかじっているだけ。「書物の虫」(西郷隆盛)「知識が消化され血肉とならない限り本物ではない。」三浦梅園 ⇒ 知行合一(王陽明)
    ・義は、道理に従ってためらうことなく、何をなすべきかを決断する力。義の無い人間は、才能や学問があっても侍になることはできない
    ・愛とは別の権威として義理を求めた
    ・「勇とは義、すなわち正しい行いをすること」(孔子)
    ・平静とは、休んだ状態にある勇気。真に勇気のある人間はいつも静かである
    ・愛、寛容、おもいやり、同情、憐みをふくめて「仁」
    ・「人の上に立つものに最も必要な徳は仁だ」(孟子)
    ・「国家人民が君主を立てるのであって、君主が国家人民を立てるのではない」(上杉鷹山)
    ・礼は「忍耐強く情け深い。ねたまず、誇らず、高ぶらない。不作法をせず、自分の利益を求めず、いらだたず、恨みを抱かない」
    ・礼儀正しさも、「誠」が伴わなければ、単なる茶番、見世物である。「礼儀も度が過ぎたれば嘘になる」(伊達政宗)
    ・主君に対する忠誠を何にも優先する最高の美徳としているのは武士ないしは騎士だけ
    ・武士の教育の一番の目的は人格の形成。芸術的な嗜みも重要な役割。智とは叡智であり、知識は付随的
    ・武士道の3つの柱は「智・仁・勇」すなわち叡智、慈愛、勇気
    ・「アメリカ人は人前でキスをし、ふたりきりになると手をあげる。日本人は人前で手をあげ、二人になるとキスをする」
    ・武士道から大和魂へ


    ◆代表的日本人
    ・西郷隆盛、上杉鷹山、二宮尊徳、中江藤樹、日蓮上人
    ・5人全員について童門冬二氏が小説化
    ・西郷は幼少期に王陽明の著作にひかれた
    ・陽明学は体制維持のために奨励していた保守的な朱子学と違った。キリスト教徒の類似性もあり
    ・水戸藩の儒学者、尊王攘夷論者の藤田東湖に影響
    ・藤樹は孔子の「大学」に影響。17歳で「大学」「中庸」「論語」「孟子」をそろえた。後に、王陽明の著作にも出会う
    ・信仰とはその人の人生の意味付け。幸福でいるためには何らかの形で意味づけが必要。
    ・9世紀に仏教八宗:三論、法相、華厳、律、成実、倶舎、天台、真言が日本に確立
    ・12世紀に深遠な禅宗は知識階級に、世俗化した念仏宗として浄土宗、浄土真宗、時宗が民衆に受け入れられる。
    ・日蓮は仏陀生涯最後の8年間の教え妙法蓮華経を最重要視
    ・比叡山の天台宗も法華経を重んじた
    ・日蓮は狂気じみており、バランスに欠けた人物ではあるが、誠実、正直、勇敢な日本人であった

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著者プロフィール

1863~1913年 美術評論家・思想家。本名は覚三。文明開化の風潮の中で、フェノロサとともに日本美術の復興に尽くした。東京美術学校開設に尽力し、のち校長となる。その後、日本美術院を創立し、明治日本画家の指導者として活躍、ボストン美術館中国日本美術部長などを務める。英文著書による日本文化の紹介者としても知られる。著書は本書を構成する『茶の本』『日本の覚醒』に加え、『東洋の理想』の三冊が代表作。

「2021年 『茶の本 日本の覚醒 矜持の深奥』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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