戦略「脳」を鍛える―BCG流 戦略発想の技術 [Kindle]

著者 :
  • 東洋経済新報社
3.53
  • (3)
  • (12)
  • (13)
  • (2)
  • (0)
本棚登録 : 155
感想 : 13
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・電子書籍 (184ページ)

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • インサイトを生み出すための考え方(拡散レンズ・フォーカスレンズ・ヒネリレンズ)が参考になった。実践していきたい

  •  ただ戦略論の知識を学ぶだけでは真に勝てる戦略を練り上げることはできず、スピード感のある仮説思考と多角的なものの見方によって生まれるインサイトがあって初めてユニークな戦略にたどり着くという趣旨。思考方法を論理的に言語化しているため、腹落ちしやすく読みやすい。
     スピードは「(パターン認識+グラフ発想)×シャドウボクシング」によって生み出し、レンズは〝拡散〟〝フォーカス〟〝ヒネリ〟の3種類を使いこなす。

  • 戦略論をいくら学んでも、勝てるとは限らない。
    勝てる戦略立案のためには、定石を知った上で、プラスアルファの能力「インサイト」を身につける必要がある。戦略・優位性構築のエキスパート集団であるBCG流の「インサイト」の構成要素を示し、それを身につけるノウハウ、戦略「脳」の鍛え方を明らかにする書籍。

    囲碁や将棋の定石と同様、経営戦略も発見・摸倣・陳腐化・イノベーションを繰り返すのが特徴で、「定石を超えた戦い方のイノベーション」こそが、戦略の本質なのである。
    つまり、戦略論という定石を知った上で、新たな戦い方を作り上げる「プラスアルファの能力:インサイト」を身につけた者だけが、自らを差別化し、競合優位に立つことができるのである。

    ユニークな戦略=定石+インサイト
    インサイトとは、「勝てる戦略の構築に必要な頭の使い方、ならびにその結果として得られるユニークな視座」のことである。
    それは、仮説の発想とその検証を素早く行う「スピード」と、ユニークなモノの見方をする「レンズ」という要素から成り立っている。

    戦略思考の「スピード」は、次の3要素で構成される。
    スピード =(パターン認識 + グラフ発想) × シャドウボクシング
    ①過去の戦略パターンを覚えて使いこなす「パターン認識」
    過去の定石・定跡を覚えて使いこなすこと。
    ②ビジュアル的に捉えてアイデアを考え出す「グラフ発想」
    盤面を右脳で映像的に捉えて指し手のアイデアを考え出すこと。
    ③右脳と左脳で戦略の仮説と検証を繰り返す「シャドウボクシング」
    右脳と左脳で指し手の仮説と検証を繰り返すことに当たる。

    戦略論をパターン認識しておけば、必要な時にパターンを組み合わせることで、論理をゼロから積み上げることなしに、過去の戦略をベースに別の戦略を組み合わせたり、別の見方をすることによって、ユニークな戦略を生み出すことができる。
    人間の頭は全ての事象を詳しく記憶することができないため、より多くの戦略パターンを記憶するには、戦略のエッセンスを何らかの「コンセプトワード」として覚え、記憶の引き出しとして用いるのがコツである。

    ユニークな視座を持つための「レンズ」には次の3種類があり、これらはユニークなアイデアを生み出す武器となる。
    ①視野を従来の事業範囲の外側に広げて見る「拡散レンズ」
    例えば、自分が市場だと思っていないところも商売する場だと定義し直して、アイデアを発想する癖をつけることである。
    ②ユーザー動向・特性を狭く、深く見る「フォーカスレンズ」
    例えば「ユーザーになりきる」ことである。
    ③発想を飛躍させて見る「ヒネリレンズ」
    「人と逆のことを考える」「特異なユーザーに着目する」など、まさに“ヒネリ”を入れるのである。

    実際の戦略を立てる際は、インサイトを構成する「スピードの3要素」と「レンズの3要素」を組み合わせたり、同時に使ったりする。これらを自分で使う体験を積み重ねていくことが、戦略立案能力を向上させる決め手である。

  • 「考える」ことに対して、自分にとって新たな視点を提供してくれる内容だった。考えることをもっと貪欲に楽しんで実施していきたいと思った。

  • 発想の転換・頭の体操に良い

  • 統計データからはインサイトは得られれない

  • ボストンコンサルティングの研修ノウハウが追体験できるお得な1冊。
    彼らのスキルの源泉が、細かなパターン化だということがよくわかります。
    第3章での脳内トレーニングとして、「もしあなたが、小さな町のパン屋を経営していたら」という前提で、どんな手を打てば競争に勝てるのかというシミュレーションはわかりやすい。
    また、PNIルールは、議論の進め方のルールで、ポジティブ、ネガティブ、インタレスティングの順番で行うことで、少々粗くても面白いアイディアの種を大事に育てることができるスグレモノ。
    本書のエッセンスは「インサイト=経験値」、まじめに読めば、それなりに得ることの多い良書です。

  • ただの戦略論だけでなく、それにプラスアルファの能力として”インサイト”を上げ、これを思考の”スピード”と”レンズ(要するに物事の見方)”という2軸で説明。

    全体論として言っていることはわかるのですが、ちょっと総論的であって明日からの行動には繋げづらいかな~という印象でした。

  • よい戦略を立案するためには、所謂、ポーターの戦略論に基づく定石にプラスアルファの能力を身に着ける必要がある、と著者はいう。
    多くの人が戦略論を学んでいるにも関わらず、立案された戦略の成否が分かれるのは、そこに何らかの違い生じていることは、読み手としても納得できる。
    この違いを生み出すプラスアルファの能力のことを著者は「インサイト」と呼んでおり、「勝てる戦略の構築に必要な頭の使い方、並びにその結果として得られるユニークな視座」と定義している。

    本書では、インサイトを導くための考え方を公式という形で説明しているが、公式を丸暗記したところで、勝てる戦略が構築できるものではなく、公式をもとにインサイトにつながる頭の使い方を鍛えていかなければならないとしている。これは、いわば職人芸のようなものだという。

    この職人芸の追体験ができるよう、著者の戦略立案プロセスにおける頭の使い方が1つの事例に沿って紹介されており、ノウハウ本ではなく「考え方を学ぶ本」となっている。十数年前に書かれた本であることから、事例の中で導かれたインサイトが今日的なマーケットに受け入れられるかは別ではあるが、勝てる戦略立案の「考え方」を鍛えることは競争社会における不変の武器になるであろう。

    最終章における「多様性からの連帯」は全体を通して「鍛える」という視点とは異なるが、同質集団ではなく異質なものの組み合わせ、知恵の交流が強い戦略構築チームには必要であると説いている。

    『知性を磨く~「スーパージェネラリスト」の時代 (田坂広志)』の中でいう「個別の専門知性の垣根を越えて統合する「統合の知性」がこれからの問題を解決するであろう、という発想に通じるものがあると感じた。

  • 「ユニークな戦略とは何か」という問いについて著者なりの回答を与え、それを伸ばすためにはどうすれば良いのか説明が述べられている。文中の論証にて参照される事例やワーディングについては少し時の経過を感じたが、頭の使い方のパターン認識、つまりは「定石」を増やすという意味では参考となるべき書籍の一つと感じる。何度も読む価値はあると思われる。また、より最近の戦略関連の他の書籍と合わせて読むことをお勧めする。

全13件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

ボストンコンサルティンググループ日本代表

「2014年 『ビジネスゲームセオリー』 で使われていた紹介文から引用しています。」

御立尚資の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×