目の見えない人は世界をどう見ているのか (光文社新書) [Kindle]

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感想・レビュー・書評

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  • 盲目の人と健常者との違いは、ただ単に目が見えるか見えないかの違い以上に、本質的な差異があるというのが本書の主張ですが、本書に記載されている例が薄い。。。
    たとえば、盲目の人は地形を抽象的に捉えている(捉えざるを得ない)という章について東京工業大学の大岡山キャンパスを例にとって説明しています。

    行ったことがある人ならわかるかもしれないが、大岡山キャンパスは山の上にあるわけではない(少なくともキャンパス内はほぼ平坦)。にもかかわらず、著者と盲目の方が駅からキャンパス内を歩いていると、(地理的な名前と)坂を下りたので、盲目の方が大岡山キャンパスが山の頂点にあるものだと勘違いした。というエビソードを語っていますが、正直So what?と言いたくなる。

    しかしながら、盲目者に対する科学者の視点で社会的に分析した例をあまり見たことが無かったので新鮮味があった。
    特に、絵画鑑賞については面白く読めた。
    盲目の人が絵画なんて鑑賞できるのか、と思うかもしれないが、健常者が絵の内容を説明して、盲目の人もいろいろ質問して共通認識を形成していく、という方法で鑑賞するそうだ。

  • 目からウロコのことがいっぱい書かれてる。
    特に、ソーシャルビューの話が面白かった。普通、絵画鑑賞って黙ってひとりでするものだけど、視覚障害者と健常者が一緒になり、声に出して情報を共有したり、感想を言ったりして鑑賞するというもの。以前、健常者だけで美術館のワークショップで同じようなことをしたことがあるけど、意味深いと思った。
    ソフィ・カレの展覧会「最後のとき」は、実際見に行ったけど、視覚障害者の方たちの作品の感想がリアルで興味深かった。
    目が見えないということを障害と捉えるのでなく、差異を楽しむといった価値の変換が痛快。
    自分も、幼い頃から片目がほとんど見えないのを、楽しんでいた感覚があるので、あ、似てるって思った。

  • 繰り返し読みたい一冊。
    http://blog.canpan.info/yukikazet/archive/502

  • 「作品を鑑賞するときは、私たちは「頭の中で作品を作り直している」わけですが、この「頭の中の作品」はとてもやわらかい。」

    目の見ない人は、目の見える人から視覚をマイナスした存在ではない。違う感覚を使い認知している。目の見えない人を前にすると、どうしても社会的弱者として対応してしまう。その結果、対応が事務的になる。それこそ差別ではないか。ただ、これはとても繊細な話だと思う。特別視されるのは嫌かもしれないが、特別な存在である点には間違いがない。

    この本の中で、特に興味深かったのは、美術鑑賞での意見交換だ。やはり、見える人でも、作品の捉え方は違う。視覚を通して作品を頭の中で構築している。

    SHOW-1グランプリもまた、興味深い。

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著者プロフィール

東京工業大学科学技術創成研究院未来の人類研究センター長、リベラルアーツ研究教育院教授。マサチューセッツ工科大学(MIT)客員研究員。専門は美学、現代アート。東京大学大学院人文社会系研究科美学芸術学専門分野博士課程修了(文学博士)。主な著作に『ヴァレリー 芸術と身体の哲学』『目の見えない人は世界をどう見ているのか』『どもる体』『記憶する体』『手の倫理』など多数。

「2022年 『ぼけと利他』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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