具体と抽象 [Kindle]

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  • dZERO(インプレス)
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感想・レビュー・書評

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  • コミュニケーションにおけるズレが抽象レベルと具体レベルと言う風に見えている世界が違うということを知れて納得した。抽象だけではわからないしため、具体と混ぜ合わせる必要があるとわかりやすく書かれていた。

  • 抽象化を制すものは思考を制す」という言葉は過言でもないぐらい、抽象的に考える、抽象度をあげる力は、とても威力があります。本書は、具体と抽象について、多くの事例とピラミッド図、4コマ漫画を通じてわかりやすく説明しています。

    頭を柔らかくする、対局を見り、枝葉を切り捨てる、本質を考えるなどは、要するに「抽象度をあげる」ことに他ならない。また、具体レベルで模倣することはパクリですが、抽象レベルで模倣することは斬新なアイデア、イノベーションと呼ばれます。

    私がデザイン思考ワークショップ、アイディエーションを行うときに意識しているのは、抽象と具体を行き来することです。例えばブレストは、具体レベルでたくさんのアイデアを出すだけではなく、他者のアイデアをみて、一度抽象化し、また具体レベルのアイデアを出すプロセスです。ブレストが苦手な人は、この抽象化が苦手で「アイデアなんて出てこない」に陥っているんだと思います。

    具体と抽象は相対的なもので、「鮭のおにぎり」→「おにぎり」→「食べ物」を例にすると、「おにぎり」にとって「食べ物」は抽象的ですし、「鮭のおにぎり」から見れば「おにぎり」も抽象的です。コミュニケーションにおいて、この抽象度(or 具体度)がお互いに合っていなければ、いつまでも話は噛み合いません。話が噛み合わないとき、考えが矛盾するとき、それは具体と抽象のレベルが異なっている可能性があるので、自分と相手がどのレベル感で話しているかを考えてみると、理解し合えると思います。

  • タイトルの「具体と抽象」とページ数の少なさから、どんな難解な哲学書と身構える。最初の印象は完全に裏切られて、全編が平易な文章のまま、様々な形態の具体と抽象を行き来する。日々の思考に習慣づけるには時間を要するだろうけど、具体と抽象を自在に操れれば、かなり強い。

    ちょいちょい挟まってる4コママンガはスルーしてよい。

    なんかもっとキャッチーなタイトルなら、もっとバカスカ売れたんじゃないかという気がしてならない。

  • 概念的なことを伝えるのは本当に難しいなぁ、とよく思うんですが、この本はその難しいことをきちんと、しかも解りやすくやっている。一読の価値あると思うねん。

  • Kinoppy

  • 【感想とネクストアクション】
    ・意識的に抽象と具体をつかいわける。まずは人の発言などを聞いて、それはどの抽象レベルでの発言なのかなどを考えてみる。
    ・枝葉を切り捨てて本質を考える思考は強くないのでトライし続ける

    【要約】
    わかりやすい具体の考え方だけではなく、抽象化することのメリットを使い方とともに説明している本。

    【メモ】
    わかりやすい具体に疑問をなげかけることで抽象について説明する本

    具体=わかりやすい(具体的でわかりやすい)
    抽象=わかりにくい(抽象的でわかりにくい)
    の2極化のイメージが強い。
    抽象の市民権を取り戻すのが本書の目的

    抽象化がなかったら
    −想像しやすいのは「言葉」「数」がない世界を想像してみること
    −そのためにはまとめて考えることが必要(りんごも3個、木も3本、人も3人→すべてをまとめて3という概念にしている)
    −マグロもカツオも鮭もまとめることで「魚」という抽象概念を作り出している

    抽象化
    −枝葉を切り捨てること。
    −切り方は重要。枝葉ではない本質を何と置くのか
    −銭湯であれば「男女」・遊園地の乗り物であれば「身長」など

    抽象化によるパターン認識
    −1を知って10を考えることが出来る。
    −もし抽象化が出来なければ一つの物事ごとに考えないといけない。

    抽象化によって関係性が見える
    −マグロ→魚→動物は単なる包含関係
    −関係性は例えば反意語(賛成⇄反対、自動⇄手動)など
    −方程式のような考えも関係性
    −抽象化がなければ人類の進化はなかった。

    例え話
    −「具体→抽象→具体」という動きがおこなわれている
    −例えが上手い人の特徴
    ①例えが身近でわかりやすい
    ②説明しているテーマと例えられているものの抽象化がうまく、「過不足なく」表現されている。

    抽象化は階層構造になっている
    −鮭とマグロが→魚、魚と犬→動物のようにどの具体と抽象のラインにいるのかで会話が噛み合わないこともある。

    顧客の声
    −具体:このツマミを小さくしてほしい、色を変えてほしい
    −抽象:使いやすくしてほしい、他の人と違うオリジナルなものがほしい

    認識がずれるのも具体と抽象
    −前日にA社に訪問に行けといったのに、翌日にはB社にいけと言われる
    −具体の視点:部下からすると言ってることがコロコロ変わる
    −抽象の視点:上司は「重要顧客のフォローをしたい」という一貫性を持っている

    仕事
    −仕事も上流(抽象)→下流(具体)に落ちていく

    抽象の世界は極めれば極めるほどシンプルになる
    −具体の世界が分厚い本、抽象の世界はシンプルな1枚の絵で表現されている世界
    −パスカル「今日は時間がなかったのでこんなに長い手紙になってしまいました。」

    ベクトル
    −哲学がある人、ミッションがある会社、コンセプトのしっかりした会社
    −個別にばらばらの方向に向かうのではなく統一感をもたせること

    アナロジー
    −抽象化して似たような具体のせかいに落とし込む

    具体と抽象の接続がないと
    −数字という具体の目標を立てて、気がついたらその具体にのみ固執
    −具体の上には抽象的な大目的が有るはず

    具体と抽象
    -具体:セブイレブンでポッキーを買った
    -抽象:コンビニでお菓子を買った

  • ○引用
    「抽象度のレベル」が合っていない状態で議論しているために、かみ合わない議論が後を絶たない

    下流の仕事は多くの人が関わったほうがレベルが上がり、早く安くなりますが、上流の仕事の質は、むしろ関わった人の量に反比例します。人が関われば関わるほど品質は下がり、凡庸になっていくのが上流の仕事といえます。

    抽象と具体のいずれか一方だけでは不完全で、ここでも「具体と抽象の往復」が必要になるということです。

  • ・「抽象概念を扱う」という、不連続な変化を起こすために必要な知的能力
    ・言葉と数を生み出すのに必要なのが、「複数のものをまとめて、一つのものとして扱う」という「抽象化」
    ・一つ一つの事象をすべて個別に扱うのが具体だとすれば、抽象とは、それらをまとめて「関係性」や「構造」として扱うということ
    ・「永遠の議論」の大部分は、「どのレベルの話をしているのか」という視点が抜け落ちたままで進むため、永遠にかみ合わない
    ・抽象レベルで二項対立をとらえている人は、そこに「考える視点」が出てきます。これに対して具体レベルでのみ見ていると、二項対立も「二者択一」に見えてしまいます。
    ・膨大な情報を目にしても、つねにそれらの個別事象の間から「構造」を抽出し、なんらかの「メッセージ」を読み取ろうとすることを考える

  • 今の職場では、結論は何?一言で言うと?A4用紙1枚でまとめてと、
    伝えて手に「わかりやすさ=具体性」求める風潮があります。
    資料でも誰もが見てわかりやすい構図、問題点、分析、解決策が求められます。
    つまり具体性(わかりやすさ)に価値があると思われています。
    「何言ってんだか全然わからない」というのは、
    今の日本の職場では「使えない=知的生産性が低い」と思われています。

    著者は、「わかりやすさ」が求められれば、求められるほど、
    知性は退化する指摘し、抽象性と具体性を行ったり来たりすることが大切だと述べています。

    「わかりやすさ」が、なぜこれだけ支持をされるかというと、
    私は、それだけ日常生活に不安を感じている人が増えたからだと思います。
    「わからない」ことが不安だから、それを解消するために、
    「わかりやすさ」を求める。
    私たちの社会は、あまりに複雑で、そして不安定です。
    特定の「正解」がない中で、今を生きています。
    その中で、「わかりやすさ」とは、一種の麻薬にも似た、
    特効薬で、それを摂取するのは、快感かもしれません。
    しかし、「わかりやすさ」を求めても、本当の解決にはならないことは、
    今の社会状況を見れば、すぐにわかります。

  • 具体、抽象に関して、人と話した時に抽象度の食い違いを感じる事があってブログに書いたりしてたけど、うまく文章にされていてビビッときた

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著者プロフィール

細谷功(ほそや・いさお):1964年生まれ。ビジネスコンサルタント、著述家。問題発見・解決や思考力に関する講演や研修を国内外で実施。『仕事に生かす地頭力』(ちくま文庫)、『地頭力を鍛える』『アナロジー思考』(共に東洋経済新報社)、『具体と抽象』(dZERO)、『思考力の地図』(KADOKAWA)等著書多数。

「2023年 『やわらかい頭の作り方』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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