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感想・レビュー・書評
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個人的人生のバイブルの1つになった。物事の捉え方や仕事の進め方、話し方が、全てこの具体と抽象のフレームで構造的に理解ができたように思う。例えば、仕事で上司に話をするときに、適切に伝えられなかったり、議論の着地点を見つけられなかったり、それでまた似たような状況で失敗を恐れて上手く力を発揮できなかったり、そんな悪循環が多かった。しかも正直なぜ上手くいかないのかが自分自身で言葉にできないことも少なくなかった。それが、無数にある具体的な情報から目的に応じて情報を取捨選択するという具体と抽象の関係性と、その具体と抽象を行き来する方法を意識できるようになると、思考や議論の展開が不思議なくらいはっきり見えるようになった。意見に食い違いがあっても、抽象化して1つ上の視座から認識を合わせされれば、どこで食い違ったが分かるし、同じ方向性の中で具体的な手段を議論していることが分かるので、相手とも前向きな議論がしやすい。自分の考え方も構造的に構築できるので、間違いがあっても、修正点が明確で軌道修正もしやすい。何より抽象・具体の枠組みで物事を見ると色々な面が客観視して、平常心で頭を使うことができる。
仕事においては、具体と抽象を行き来するスキルを磨いて、新しい分野でそれを試すモチベーションにつながるし、アカデミックな面では歴史や科学を改めて学んでみたいという気持ちにも強く駆られた。
後、ちょいちょい出てくる4コマで各トピックに関連する具体抽象のあるあるネタを扱っているのだが、これが面白いし冒頭で笑って前向きな気持ちで本の中身に入っていける。そういう読者への配慮、仕掛けで、著者に対する好感度がより一層上がったと思う。
以下、参考になった点のメモ。
・抽象概念の重要性
社会や組織が成熟期に入ると具体性たる「分かりやす」が顕著になるが、成熟期だからこそ、来るべき衰退期に備えて世代交代を考えるべきで、そのために抽象概念を扱う力が重要。
・抽象化とは
枝葉を切り捨てて幹を見ること。
様々な特徴や属性を持つ現実の事象のなかから、他のものと共通の特徴を抜き出してひとまとめにして扱うこと。
「パターン認識」法則として複数場面に活用する。
・抽象化により得られる学び
成功/失敗事例が何に起因しているのか抽象度を上げて特性を探り当てる。そのうえで、適用可能な類似性があるのか特殊性のみなのかを判別する。
「一を聞いて十を知る」
・どうすれば抽象化思考を獲得できる?
→多種多様な経験。本を読んだり、映画を見たり、芸術を観賞したり、普段とは違う経験を疑似体験することで視野を広げる。その中で精通した分野との共通性を探してみる。
・構造的な理解→膨大な情報でも様々な抽象レベルで事象を理解する。
・抽象化して話せる人はポイントを掻い摘んで話ができる人。膨大な情報を目にしても、常にそれらの個別事象の間から「構造」を見出し、メッセージ性・共通性を抜き出す意識を持っている。
・相手とのコミュニケーションでも抽象・具体を意識する。状況と相手に応じてちょうどよい抽象度でコミュニケーションをとることが大事。
・仕事とは抽象から具体への変換作業
内容が詳細には確定していない企画段階から、詳細レベルの計画段階、更に詳細の実行計画へ。
上流は個性が重要視され「いかにとがらせるか?」が重要なので、多数決による意思決定は馴染まない(!)。意思決定は多数の人数が関われば係るほど「無難」になっていくため。
・アイデアはアナロジー(抽象レベルのまね)から生まれる。ある意味、抽象度の高いもの(関係性や構造)は合法的に盗み放題。身の回りの「一見遠い世界のもの」をいかに抽象レベルで結び付けられるかが、創造的な発想力の根本。
※うまいたとえ話の条件
①たとえの対象がだれにでもわかりやすい身近で具体的なテーマ(スポーツやテレビ番組)
②説明対象と①のテーマの共通点が抽象化され、過不足なく表現されている。
・手段と目的の関係は相対的。目的1つに対して手段は複数。一方で、目的はさらに抽象度の高い「上位目的」が存在する。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
この本が一番具体的かな
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あまり心に残りませんでした。
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抽象はわかりにくい、具体はわかりやすいというイメージがあるが実際はそうではなく、それぞれのものの見方が極端に分かれているだけである。どちらか一方ではなく、どちらの考え方も場合に応じて使い分けることが重要。
プロジェクトを行うときは抽象(目的、理念、コンセプト)→具体(内容)→抽象(内容のまとめ)の順で考えることになる
目標は抽象から具体まで決めると良い。(〜のために〜をしたいので〜で〜を作りたい。そのために〜に〜日間通う)
抽象とは
・言葉、数字
・解釈の自由度が高い
・関係性
・デフォルメ
・比喩表現
・精神世界
・一を聞いて十を知る(法則)
・共通点
・相対的に決まる
・ものごとの本質
・上流の仕事
・単純化
・二項対立(具体の短絡思考ではない)
・コンセプト
・アナロジー
・固定観念
・理想
・具体に生きる人から理解されない
・たとえ話 -
期待していたが、真新しい発見はなかった。
内容はよく整理されているが、あえて体系立てて考え直すからにはもう少し新しい示唆が欲しいかな、と感じた。
アナロジー思考はこれから読みたい -
「具体的でわかりやすい」ことが好まれる時代に、「抽象的でわかりにくい」ことを理解する目的とは?
抽象とはパターン化やカテゴライズされた事象であり、抽象の下に具体的な事象が存在する(ピラミッド)。あらゆる事象を、抽象度が高い捉え方をすることで、発想力、理解力の向上につながる。本書は、あらゆる事象を抽象化するための実践書。 -
表題通り、「具体」と「抽象」について概念の説明と日常に落とし込んだ使われ方、この概念の扱い方が述べられている本。
普段自分が薄ぼんやりと考えていることを、言語化された感じ。
具体と抽象それぞれに特徴があり、一遍的な善し悪しに限らないこと。具体と抽象の往復を繰り返して物事を考えることで、自分の思考や作業を見つめ直せるのだろうと思った。
他の本を読みながら、これは今どのレベルの話をしてるんだろうと考えるようになったので面白い道具を手に入れた感じ。
また読み返したくなる日が来ると思う