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- / ISBN・EAN: 4562474185417
感想・レビュー・書評
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湯を沸かすほどの熱い愛、のちょっとふざけたタイトルからゆるい気持ちで見たところから失敗だった。
銭湯「幸の湯」は、父(一浩/オダギリジョー)が一年前に出奔し、閉店状態。母(双葉/宮沢りえ)は、娘の安澄(杉咲花)と二人で暮らしている。
「湯気のごとく、店主が蒸発しました。」
で、はじまり、見ているこっちの気持ちを更に弛めさせられる。
ところが、物語はどんどん重たいテーマをほうり込んでくる。まず双葉自身には、余命宣告というタイムリミットが。でも彼女には、死ぬまでにするべきことがある。
ここから双葉とその家族の四苦八苦ぶりが凄まじい。双葉を取り巻く家族の全員が思い通りにならなかった過去と現在を抱えており、尽きることのない苦しみの連続となる。
ここでゆるい気持ちは、大きく落とされる。
それを双葉は、聖母マリアのごとく(+肝っ玉かあちゃん)、人徳を持って苦しみを慈愛に変えてゆく。この繰り返しで、ゆるい気持ちは、荒波の船のごとく上下に揺さぶられ、えらいことになります。
そして死を前に双葉も、人間としての一面を垣間見せるが‥
物語で天国というキーワードが出てくる。しかし悩みのない天国は、双葉にとって幸せなのか?双葉は体と心をいっぱいに使って、家族を感じて、愛していたから。家族の出した「幸福」の答えとは‥(幸の湯もそこから?)
出演者の演技がとてもよかった。そして物語の頭からお尻まで、さまざまな演出が盛り込まれていて、何度見返しても面白い作品だと思いました。
ああ、銭湯にいこう。
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宮沢りえさんの演技を、きちんと見たのは初めてです。リハウスのCMで見たイメージしか私の中では残っていなかったのですが、色んな経験や年齢を重ねることで人間としての深みを増して来られたのだと思いました。愛の溢れたお母ちゃんを演じています。杉咲花さん、いい役者さんだなあ。オダギリジョーさん、優しいけど頼りない腰の座らない男を演じさせたら、ピカイチですねえ。松坂桃李さん駿河太郎さんも、いいです。
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評価がとても高い映画ですけど、私はダメでした。映画としてはそこそこ面白いと思うけど、描写されている内容が嫌い。
外部サイトで批判している方のレビューを探すと、映画を沢山観てる方ほどダメだと思うことが多いのではないかと。映画秘宝のワースト賞であるはくさいアワードで10位になってたぐらいで、キネ旬もヨコハマ映画祭も高評価です。
宮沢りえ演じる母親の行動がずっと嫌いです。暴行もしていますし、ラストシーンも違法です。他にも嫌いな描写は沢山。
冒頭、杉咲花演じる娘が学校に行きたくないというシーンで「どうしたの?」もない。学校でいじめられているのに「その中で一番好きな色は?」とか言ってる場合じゃねえだろと思う。
高校生でスポブラがそもそも遅いと思うけど、好きな色だけで買ってきたブラを押し付ける母親、、嫌いです。ちゃんとお店に一緒に行ってやって採寸しろよ!あとカニはしっかり食っといてビンタするのも嫌い。
一番嫌いなのは、小さな女の子と女子高校生がいる前で「おばさんとラブホテル」の話を笑い話としてする殿(松坂桃李)、それを制止しない宮沢りえ、、たぶん、監督の考え方がだいぶ古いと思う。
映画の作り方として、それら数々のシーンは観たらギョッとするんです。バイオレンス映画で人を殺すのと同じ。映画を面白くするテクニックです。だけどこの映画は、伏線などテクニックを駆使したあげく、他の大切なことを忘れているんじゃないかと思います。そしてそういうことを「愛」だって言っている。それは違うと思います。 -
「僕らの7日間戦争」以来に、宮沢りえさんの映画を観ました。クライマックスのシーンは迫真の演技で、涙が止まりませんでした。
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題名からしてもうちょっとふざけた感じの映画と思ったら、意外にも内容はシリアス。
夫の浮気と蒸発、イジメ、末期癌の余命宣告、血の繋がらない母娘。
いい意味で裏切られたストーリー。
慈愛に満ちた母親が、とりまく人達の歯車がズレた人生を愛の力で軌道修正していく。
”宮沢りえのための映画”という印象。
だけど、私のこの母親のイメージは、小太りで、特に美人でもなくて、いつも笑顔で元気な”肝っ玉母ちゃん”であり、これが、華奢で綺麗で都会的な容貌の宮沢りえが演じてしまうことで、色々なものが、ちょっと違って見えてきてしまう。
演技はとても上手なのだけど、宮沢りえの存在自体が、非現実的なのものへと変えてしまう。
イジメの時の対処も、ブラジャーの対処も、なんか違和感を感じるのは、後になって分かる、「血の繋がらない母娘」という伏線なのか。
ただ、宮沢りえ演じる双葉が、不幸でありながらも、とても幸せそうに見えてしまった。 -
熱い愛の溢れる話
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湯を沸かすほど…と言うくらいだからどんな愛かと思っていたら,稼業が銭湯のおかみさんが主人公の話だったんですね。
わたしの大好きな映画『僕たちの七日間戦争』の宮沢りえさんがお母さん役を演じていて,大女優ぶりをたっぷり見ることができます。一度は蒸発したはずの夫の存在もなかなか面白くて,家族愛の在り方も考えさせられました。
《NHKプレミアムシネマの解説を転載》
宮沢りえと杉咲花が強い絆で結ばれた母と娘を熱演し、日本アカデミー賞の最優秀主演女優賞と助演女優賞を受賞したほか、多くの映画祭で高く評価された家族の愛の物語。一年前に夫が蒸発、それ以来、家業の銭湯を休業してパートで生活をささえる双葉。持ち前の明るさと強さで娘・安澄を育てていたが、ある日突然、余命わずかと宣告されてしまう。残酷な現実を受け入れた双葉は、死ぬまでにやるべきことを決め実行していくが・・・。 -
何の予備知識もなく見ましたが、とても感動しました。変なタイトルだなぁと思っていましたが、見終わった今はとても納得しています。宮沢りえ、オダギリジョー、子役の子たち、みんなとても良かった。人を想うことの大切さ、強く生きることの大切さを学ばさせてもらいました。たくさんの場面で胸が締め付けられましたが、中でも娘が手話を知っていた理由と、置物を投げつけてガラスを割るシーンが強く印象に残りました。素晴らしかったです。まだ見ていない人は見るべきです。
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最後の赤い炎がタイトルを象徴してるの?
ストーリーも構成も製作者のセンスが理解できないけど杉咲花の演技は良かった。 -
自分がいなくては家族が回らないと思っている間は、なんの疑いもなく、家族への責任を感じつつ生活をしていきますが、自分の余命が数ヶ月だとわかった時点で、ボクは家族に何ができるのだろうか考えさせられました。
自分が死んだ後、残された家族の生活を考えれば考えるほど、自分がいなくても、家族が回る状態にしなければなりません。
家族への愛が深いほど、それは自分の存在を消していく作業となり、自分がいなくても家族は回ると確信した時、それは安心と同時に、自分はいなくても良いのだという寂しさもあるのだと、生きたいと思うのだと思いました。
熱い人はかっこ悪いのかもしれませんが、その熱量は確実に他人にも伝わるのだと思いました。熱さはわかりやすい言動に表すよりも、グツグツと内に秘めている方がより熱いのだとも思いました。
映画館での上映を観逃してから、DVD発売をずっと待って、観たくて観たくてたまらなかった映画です。
前半、ストーリーとしての展開がテンポよく進み、同時に伏線が張られていきますが、後半、伏線が回収されるとともに、予想を裏切られる展開に泣けました。
中一娘と観ましたが、2回目は内容がより理解できて、号泣でした。 -
ひさしぶりに「やられたーー!」と思える映画を見た
前半までに散りばめられるキーワードやキーパーソンたちが、後半でどんどんつながっていくのが、たまらなく好き
お母ちゃんの遺伝子=秘密=あかい色のあっつい愛
最期の最後の、あの熱くてあったかい愛のラストシーン
すごく羨ましい! と思えた
きっと監督は、これを撮りたくて作ったんだろうな~
それも羨ましい~ -
双葉の生き様と人となりが立派すぎて、ほんと私もこういうふうに生きていけたらなあと…。
子どもにとってこの展開はちょっとしんどすぎるだろと思うほどに見ていて辛い局面多数ですが、しかしそこをまさに「湯を沸かすほどの熱い愛」で乗り越え立派に立ち向かう様がとても素敵でした。さすがに上手いこといきすぎでは、と思わなくもないですが、それを補えるだけの「熱量」のある力作で、大変良質な作品でした。
主演の宮沢りえの熱演ももちろん文句なしに素晴らしく、夫役のオダギリジョーの不甲斐ない感じも絶妙に良くって、子役の二人も堂々たる好演でした。特に安澄役の杉咲花がすごく良かった。あの年齢の子役で、あそこまでの自然さがあって地に足のついた演技をみせる日本の俳優は久々に見た気がします。
あと、ラストの銭湯でのカットでエンドロールを迎えるシーンは最高にクールでした。
邦画シーンの貴重な良作です。
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日本アカデミー賞を見てから気になっていた作品をようやく視聴。
主人公・双葉(宮沢りえ)は末期癌で余命宣告され、死期を迎えるまでにやり残したことを実行していく。原作なしのオリジナルストーリー。
王道なのだが、見飽きた感じがしないのは主演、助演の俳優さんたちの素晴らしさだろうか。10代の杉咲花ちゃん、掴みどころのない父親を演じるオダギリジョーさん、相棒の篠原ゆき子さん。みんな素敵だ。双葉の人柄が、周りの人たちの心を動かし、縁をつなぎ、クライマックスで病室の双葉へ向けてメッセージを送る。いいシーンだった。
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銭湯に住む母子家庭の親子が母親の病をきっかけに人のつながりを手繰り寄せていく物語。とでも言ったらよいのだろうか。
単純なダメ父親との復縁ものかと思ったら、幾重にも重なる関係性に、それぞれ問題を抱えた子供(一部だいぶ年いってるけれど)達の姿を絡めながら描かれていく。彼らには単純な救いがあるわけではないけれど、希望の基調は貫かれる。
ただ、それぞれが重いし、正直どうなのかな。と思うところもあった。最後は美談ぽくなっているけれど、よく考えると何も解決してなくないかと。
まあ、込み入った人間関係ものが好きなひとにはいいんでしょう。 -
主人公の、生き様が凄いです。
すごく強く、愛情がすごく凄く深い。
子供達の姿も、とても立派です。
圧倒されました。 -
ウェットにならなくて、ロックな感じ?
よかった。
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「ザカリーに捧ぐ」の直後に見たからか、エピソードが薄く感じてしまった。
そんな中でも、宮沢りえが、杉咲花に手話を勉強させていたエピソード、その前後の話の流れには感動させられた。
最後の方はだれてしまい早送りにしてしたせいで、ラストの〝違法行為”の流れを見逃してしまい、ただただみんなで仲良くお風呂に浸かっているシーンで終わったと勘違い。
ネタバレプログで初めて、そんなラストだったのね、と気付きました。