- Amazon.co.jp ・電子書籍 (386ページ)
感想・レビュー・書評
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読む気力を奪い取る翻訳。それでも何とか最後まで読み切ったが、肝心の部分は半分も理解できている気がしない。フランス語の原文が読めたらなと思う。
ネット上の解説などを読めばなるほどと思うところもあるのでとてももったいない。この翻訳だけでしか読めないという状況を何とかしてほしい。
状況や社会の反応としては今のコロナ禍に通じるものがあり、その辺は実感を持ちながら読めた。
基本的にはペストが流行って、人がたくさん死んで、ペストが治まったというだけの流れなので、物語に起伏というものがない。だからこそしっかりした翻訳で、登場人物の心理をじっくりと理解しながら読みたかった。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
今一つ響かず、流し読みしました。
不条理(戦争や疫病)に対し、人間は反抗することができる。個人の従属から集団の犯行へ移行するということか。
神を信じるものと信じない者で、不条理との戦いにおけるアウトカムが同じ=カミュ自身がこの作品を最も反キリスト的と語ったことは面白い。 -
カミュは「異邦人」しか読んだ事がありませんでしたが
コロナ禍の中、この作品が
本屋さんに山と積まれていたので手に取りました。
最初、訳文が頭の中で引っ掛かり
登場人物たち心情に入っていくのに時間がかかりました。
強い印象が残った場面は多くありましたが
パヌル―神父とリウー医師とのやり取りは
より強く心に残りました。
他の方の翻訳で、もう一度読んでみたいです。 -
現在のコロナ禍と似たような背景であり、目に見えないペストというウイルスに徐々に追い込まれていく街の様子が非常に不安な気持ちにさせた。
人がどんどん亡くなっていく中でも懸命に治療にあたる医師リウーの姿が勇敢に感じられた。
親友もペストで失くしてしまうが、ひたむきに収束を願う思いや強さに感動した。 -
ペスト禍の未来を読めるかなと思い読了
治療する者
逃げようとする者
喜ぶ者
宗教を広めようとする者
様々な人間模様をペストを通じて多角的に実際的に映し出していた
政府の対応など、本当にその通りだなと思いつつ、
映画館が混む描写は面白かった 笑
夏になればインフルのように落ち着くかと思いきや、勢いは増し、問題は複雑化していく
現実はそうならないことを祈る -
ペストは、不条理の象徴。ペストによって変わる者、変わらない者、閉ざされた街に住む個人と全体。後ろの解説を読んで、はじめてなるほど~(^^; カミュの不条理の哲学は、難しかった。最初に、100分de名著を読んでおけば、もう少し理解が深まったかも。あと、日本語訳が読みにくい。
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コロナ禍の今だから、理解できる部分があった。
ペストは怖い。読んでて怖い。 -
1940年代に書かれたノーベル賞作家による名著。
舞台は1940年代のフランス領アルジェリアのオラン市。
平和な街に突如、ネズミの異変が起こり、それをきっかけにペストが街を飲み込む。
その凄惨極める街の中で生きる人々を、リウー医師を中心に描く。
出てくる人物は
・ただひたすらに隣人に尽くそうとする医師。
・市街にどうにか逃れて恋人に会いに行こうとする新聞記者。
・普段は浮かない公務員だが、危機において自分の役割を果たす壮年の男。
・風来坊のような青年が危機においては誰よりも強く、問題に当たる。
・社会に絶望していた男が、社会が絶望した途端元気になる。
など多彩。
ペストという危機状況において起きる理不尽。そして炙り出される人の弱さと本当の欲求。しかしそれでも誠実で献身的であろうとする人の強さを描いている。
現社会でもコロナウィルスによる肺病という危機的疫病が蔓延し、似たような状況に世界が陥っている。
たしかに人の弱さとそれでも人と自分に対して誠実で献身足らんとする人の強さは見えている気がしている。
しかし現実でも小説でも、疫病に善なる人が奪われる不条理は割り切れるものではない。 -
コロナ自粛の中で手にとってみた。疫病/パンデミックを設定背景としている物語の元祖。
異邦人に続く1947年に発表されたカミュの第2作。アルジェリアの都市オランでペストが発生し、都市が封鎖されたという状況の話。実話ではなくあくまで小説。時代設定は発表当時の近過去なので、電気、自動車、新聞、ラジオは存在している。
複数の登場人物の視点による、閉鎖された都市の中で過ごす生活を描写している。原文のせいか翻訳せいか、かなり冗長。
とはいえ、今回のCOVID-19 ショックと多くの類似点があった。すなわち、日常が分断されること、家族との交流が遮断されること、物資が枯渇するなかで利益を膨らませる商人、医師による献身的な治療などなど。カミュの頭の中から絞り出された架空の物語だとは思えなくなってくる。