あなたは、誰かの大切な人 (講談社文庫) [Kindle]

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感想・レビュー・書評

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  • どれもアラフォー独身女性が主人公の短編集。
    でも大切な人がいて、大切に思ってくれる人がいる。
    外国の描写、食べ物の描写、建物の描写、風景の描写、どれも目に浮かぶようで、いますぐどこかに行きたくなってしまった。

  • 読んだことないやと思って買ったものの、読んだことありました。笑

    でもあんまり覚えていなかったので、しっかり読みました。
    2回目に読んでも、心にじーんときました!

    特に1つ目の「最後の伝言」が好きです。
    あいにくこういうお父さんではなかったけど、お母さんのお父さんに対する気持ちはすごくよく理解できて。
    最後にお父さんも現れてよかった。

    短編で読みやすいので、寝る前のちょっとした読書時間とかにオススメです!

  • 短編に登場する主人公たちは、三十代後半から五十代の女性で、みんな現在独身で、自分で選んだ仕事をしている。
    別れや苦しみを経験してきた彼女たちは、その過去も受け入れて、前を向いて生きているように見えた。
    登場人物たちは様々な人生を背負っているが、全体を通して「みんな誰かから大切に思われているのだ」ということが伝わってくる優しい短編集だった。
    どの物語も未来を感じる前向きなラストで終わるのがとても良かった。

    中でも、私は『無用の人』が一番好きだった。
    口数が少なく、出世もできずリストラされ、母親と熟年離婚し、たった一人で亡くなっていった父親。
    父親との会話を思い出しながら、主人公が「父という人は、密やかに、うつくしいものを愛でる心を持った人だったのではないか」と考えるまでの過程と、そこから湧き上がる父親の面影が切なく、胸が痛んだ。
    家族から無用の人間扱いされていた父親の、優しくあたたかな心が、最後のシーンに詰められているような気がした。

    また、『波打ち際のふたり』では、家族の最期の時間までをどう過ごすか、ハグとナガラの旅の中で考えさせられた。
    自分のことを大切に思ってくれていた母と、「母を、彼女の人生の最後まで、ひとりっきりにしておいていいんだろうか」と考える娘。
    親もいつかは老い、死んでいく。
    普段の生活の中では意識していなかった、私自身の家族の今後を考えてしまい、胸が痛んだ。

    最後の『皿の上の孤独』は、ルイス・バラガン邸をネットで調べ、写真と照らし合わせながら読んだ。
    ピンクや黄色、白の鮮やかな色彩と景色を切り取ったような四角い空間は、写真とともに物語を追うことでより鮮明にイメージできるような気がした。
    その空間に並べられた皿の「Soledad」(孤独)の文字は、「人は、孤独になれる空間を必要としている」と言ったというバラガンの人生を表しているようで、印象的だった。
    そしてその「孤独」という言葉は、主人公・咲子のこれからの人生の中で、美しく味わい深いものとして生き続けるのだと思う。

  • 短編集。大人の女性の葛藤。

  • 神様は、ちゃんと、1人に1つずつ、幸福を割り当ててくださっている
    でもね、1番の幸福は、家族でも、恋人でも、友達でも、自分が好きな人と一緒に過ごす、ってことじゃないかしら
    メキシコが誇る20世紀建築界の巨匠、バラガンの自邸は、世界遺産にも登録されている
    人は、孤独になれる空間を必要としている
    人は結局1人なのだと言う言葉がふと胸をえぐるけれど、でも、だからこそ誰かと心と心がつながる瞬間は奇跡的なもんなのだ
    あなたを大切に思っている人は、必ずいる。このタイトルは著者から読者への真摯なメッセージなのである

  • 人と人との関わりをテーマとした短編集。
    寝る前に1話ずつ、という感じで読んでいって、読みやすく面白かった。
    どの話も、根底には愛情がテーマとなっており、それぞれの個性的な登場人物とともに、いろんな形での愛情表現がみられた。
    描写の中で、アートや建築といった美術方面だけでなく、料理が重要なアイテムとして使われているのが印象的だった。

  • みんな誰かとともにいるが、みんなどこか孤独を抱え、だからこその大切を感じる。

  • 最初に読んだ小説『楽園のカンヴァス』が面白かった、原田マハ。

    『楽園のカンヴァス』
    https://booklog.jp/users/makabe38/archives/1/4101259615

    美術館のキュレーターという過去の経歴を活かした、美術関連の小説、エッセーが印象に残っている作家さんです。
    それとともに、何かにチャレンジする女性を描いた小説というのも、この作家さんは多く発表しています。

    自分自身も『楽園のカンヴァス』を読んで以降、この方の作品をチェックして読んでいます。
    文庫化された作品がないか調べたところ、この作品が電子書籍化されていたので、読んでみることにしました。

    6つの作品で構成された、短編小説集です。
    共通しているのは、主人公(語り手)が40代の独身女性であること。
    そしてその主人公たちが、自らの”大切な人”との関係についてふりかえり、考え、語っていること。

    その相手は親であったり、仕事上のパートナーであったりとさまざま。
    この年代の女性がどのようなことで悩み、その悩みにどう向き合っているのか。
    読者が共感できるような内容になっています。

    男性読者の自分にも、自分にとって大切な人とは誰か、その人と自分はしっかり向き合っているか、一緒に過ごす時間を作ろうとしているか、楽しんでいるか・・・などなど、いろいろ考えさせられました。

    心境描写等、ステレオタイプに感じる部分もありますが、これも読者の気持ちに寄り添うために、あえてそのような表現を選んでいるのだなと、受け取りました。

    この作家さんは近年、精力的なペースで作品を発表をしているようなので、ついていけるように?今後もフォローしていきたいと思います。

    『総理の夫』原田マハ
    https://booklog.jp/users/makabe38/archives/1/B01MU9LLBK

  • 身につまされる、なんていうのはマハさんの感想文としてはふさわしくないんだろうけど、自分と同年代の女性が主人公の短編ばかりということでいたしかたない。みんな同じような思いで生きてんだろうなあ。泣けるのは身につまされるからというよりは、マハさんの描写がうまいからだな。

  • 「むすびや」を読み終わった後に、Kindleの
    リコメンドに出てきた作品。タイトルからして暖かい系が容易
    に想像出来る。アマゾンのリコメンドシステムって、本当に優
    秀だと思う(^^)。

    そんなワケで、「本日は、お日柄もよく」でブレイクした
    原田マハ作品に初トライ。本来苦手なウォーミングヒューマン
    ドラマなのは明白だったのだけど、連作短編ならなんとか読み
    切れる、と踏んでのチョイス。

    ・・・有り体に言えば、予想通りの読後感。
    全6篇はどれも中高年に差し掛かかりつつある女性の心情を
    中心に描かれたもので、どこかでハッとするような優しさが
    一瞬に広がるタイプのジワジワ系。全体のトーンは決して明る
    くは無いのだが、最後には少し先の方にちょっと灯りが漏れて
    いる、という感じ。状況も舞台も様々なのだけど、見事な
    統一感のある構成はすばらしいと思う。

    ただ・・・。
    この作品に出てくる女性たち、ほぼ僕と同年代なのだと思うの
    だが、これがあまりにリアル(^^;)。どうしたワケか今の僕に
    はその状況が少しだけ重い気がした。まぁ、それは“難癖”の
    レベルであり、同じ年代の人が読んだらきっと違う感想を持つ
    と思うのだけど・・・。

    総合的には決してキライでは無い世界。
    事前のイメージとはちょっと違うスタイルの文章だったけど、
    凄くセンスのいい女流作家であることは認める。何かの折に、
    話題作の方も読んどいた方がいいような気がするなぁ・・・。

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著者プロフィール

1962年東京都生まれ。関西学院大学文学部、早稲田大学第二文学部卒業。森美術館設立準備室勤務、MoMAへの派遣を経て独立。フリーのキュレーター、カルチャーライターとして活躍する。2005年『カフーを待ちわびて』で、「日本ラブストーリー大賞」を受賞し、小説家デビュー。12年『楽園のカンヴァス』で、「山本周五郎賞」を受賞。17年『リーチ先生』で、「新田次郎文学賞」を受賞する。その他著書に、『本日は、お日柄もよく』『キネマの神様』『常設展示室』『リボルバー』『黒い絵』等がある。

原田マハの作品

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