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感想・レビュー・書評
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工業化の発展と国民国家の概念の成立が特に重要で、これらを軸に所謂長い十九世紀に起こった出来事とその関係について概説されています。
十八世紀まではヨーロッパよりもむしろアジアの方が豊かだった中で、工業化によって次第にヨーロッパが近代化し始めます。また、ポルトガルやスペインがインドやアメリカ大陸へ進出し始め、イギリスとフランスはインドや北アメリカの植民地を巡って対立していました。このようなヨーロッパの状況において、宗教よりもむしろ合理性に基づいた啓蒙思想が政治や経済においても求められるようになっていきます。
本書では十九世紀がヨーロッパの世紀というのであれば、二十世紀後半はアジア・アフリカにとっての国民国家の時代であるとも述べられています。ヨーロッパから始まった近代化の流れが時間をかけてヨーロッパの植民地にされていた地域に広がっていると捉えることもできるかもしれません。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
「長い十九世紀」という言葉がある。イギリスの歴史学者エリック・ホブズボームが提唱した概念で、フランス革命が始まった1789年から第一次世界大戦が始まる1914年までを指す。つまり、ヨーロッパが世界の中心となっていた時代のことである。この本はその十九世紀について語る。ただし、始まりは大航海時代。そして最後にはEUまで言及されるという、とても長い範囲を対象としている。
当たり前のことであるが、歴史は簡単に区切れるものではない。区切れたとしても、それを説明するためにはその前の状況を説明する必要がある。その結果、このような長い範囲を書くことになったのだろう。ゆえにこれ1冊を完全に把握することが出来れば、近代史を自分のものにすることができたと言えるだろう。まあ、俺はまだなのだけれど。視界からはみ出している感じがする。