- Amazon.co.jp ・電子書籍 (185ページ)
感想・レビュー・書評
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文字通り、世界史を大きく動かした14品目の植物について綴った一冊。
麦、稲などの穀物は容易に想像がつくが、それ以外にも綿、茶、チューリップ、たまねぎなどさまざまな植物について知ることができた。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
植物と人との関わりの歴史についての、気軽に読めるエッセイ集のような本。
人と動植物との関係は相互的だ。 -
さらっと読みやすかった!
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植物から見る歴史面白かった。雑学がてんこ盛りでどの章も興味津々で読むことができた。
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植物の最大の目的は、種子を広げ、繁栄すること。
そう考えると、種をまき、水や肥料ををやって世話をしている人間は、植物の奴隷に過ぎないのかもしれない。
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人類の歴史と植物は切っても切れない関係です。食べ物をいかに確保できるかということは、長い間人類にとっての最重要事項でしたし、そこに穀物をはじめとする植物が果した役割は大きなものでした。
ただ、栄養価が高くて育てやすい作物が世界中に一斉に広まったかというとそうではありません。ジャレド・ダイアモンド『銃・病原菌・鉄』でも指摘がありますが、自然豊かで狩猟採集に困らない地域では、せっせと畑を耕すよりも森から食糧を手に入れたほうが楽じゃんとなって、いちど農耕が伝わっても定着しませんでした。
また、貿易により新しい作物が伝わっても、市民に受け入れてもらえない場合もあります。たとえば、南米原産のジャガイモは、ヨーロッパの寒い地域でも育つし、栄養価も高かったのだが、誤って芽を食べてしまって食中毒になったり、格好が悪いから食べるとハンセン病になると噂されたりしてすぐには普及しませんでした。しまいには雌雄によらず種芋だけで繁殖するのは性的に不純とされて、ジョガイモは裁判で有罪となり、火あぶりの刑(笑)に処されてしまいます。しかし、しだいにその栄養価が評価されて栽培が広がり、アイルランドでジャガイモ飢饉が起きてしまうほどに広がりを見せます。
また、ジャガイモと同時期にヨーロッパに持ち込まれたトマトは、普及までにもっと時間がかかりました。ナス科は毒草が多いし、食べると青臭いし、あの赤色はいかにも毒々しい。観賞用から食用になったのは18世紀のイタリアが最初で、意外と歴史は浅いのですが、トマトソースやトマトケチャップの広がりにより、いまではトウモロコシ、コムギ、イネ、ジャガイモ、ダイズに次ぐ生産量を誇るまでとなっています。
逆にヨーロッパでは栽培できずに中国との貿易に頼らざるを得なかった「紅茶」は、ヨーロッパでめちゃくちゃ流行って銀が大量流出、貿易不均衡が発生してしまいます。この解消のために中国にはアヘンが売りつけられ、アヘン戦争に発展。眠れる獅子と恐れられた清は、あっけなく敗れてしまいます。植物が国家の運命を左右していたとも言える例ですね。
このように、今ではありふれている植物が、どこでどのような経緯を辿ってメジャーになっていったかという歴史を見ていくのは、めちゃくちゃ身近なものだけに面白かったです。
また、本書では日本に焦点をあてた記載も多く、コメがどうしてここまで広がったのか、江戸時代にあって世界最大の都市を築けたのはなぜか、地域によって赤味噌や白味噌など種類が分かれているのはどうしてか、といった問いに興味を惹かれませんか?
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植物の観点から世界史を読み解いた本。
小麦から文明が誕生。香辛料を求めてヨーロッパ人が海外進出。カフェインの魔力が最終的にアヘン戦争を引き起こす。
植物が契機となり世界に変化が起こったことは歴史の中にいくつもあります。本書は小麦や稲、茶などの植物によって世界がどう変わったのかを解説しています。
歴史は視点を変えると面白さが倍増します。そのことも本書は教えてくれます。 -
アンリミテッド風呂読書。イネの話は西洋人の本ではあんまり見ないからおもしろいなあ。田んぼを作るというのはたいへんなことなのだ。もっとここらへんの話読みたい気がする。
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こういう本が日本から出てくるのはうれしいけど、アメリカの同種のに比べるとスケールと奥行きがね、どうもね。