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- / ISBN・EAN: 4988632504683
感想・レビュー・書評
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家族って、幸せってなんなんでしょう。
祥太の最後、声には出してないけど、きっと「お父さん」って呼んでた。
あの6人はまぎれもなく家族でした。 -
この監督の作品の中で、今までで一番良かった。
今まではなんだか「おしゃれ」な感じがして、社会問題を個人的に描く作風は好感を持ったが、しょせんは「おしゃれ」な映画でしょ、と思っていたのだった。
でも、これは、映像的には今までとそう変わらないが「おしゃれ」は感じなかった。うわーっと泣いたり叫んだり暴れたりしない上品さも変わらないが、それが「押さえつけられた大きな感情」を感じさせる。
虐待された子供が心を閉ざすことで、自分を守ろうとする。一見恵まれた家庭に育ったように見える娘が、家庭の「歪み」に耐え切れず家を出る。クリーニング屋の店長が、経営難でパートの首を切るとき、本人たちに決めさせる卑劣さ。どれもリアルだった。
特に良かったのが安藤サクラ。美人ではないが魅力的。美人じゃないのに、ずっと見ていたくなる。
風俗で働く「姉」と口のきけない青年の交流も良かった。あれはあれだけのシーンであることが、本当に良かった。あのあと二人が付き合うシーンなんかあったら本当に興ざめだったろう。
血はつながっていなくても、あるいはつながっていないからこそいい関係でいられる。あんな汚くて狭い家で、しばらくの間他人同士が家族として、幸せでいたという美しさが、奇跡のように輝く。
この作品のように、ヨーロッパで評価されれば、政府も無視はできまい。どんどん社会の問題を、個人の視点で描いていってほしい。 -
先日の立川映画祭で「万置き姉弟」を見て、「万引き家族」のオマージュとわかるシーンが見てなくてわからなかったので、こちらも見てみました。社会的な弱者にあたる人たちが、いろいろな事情があってもお互いへのやさしさを持って暮らしていく姿は考えさせられるものがありましたね。社会的には悪とされる万引きも、表面的なものでその背後に解決しなければいけない社会課題があるのでは、という部分を垣間見せるとてもいい映画だと思いました。「万置き姉弟」とのつながりもやっとわかりました。笑
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先に本を読んで、映画も見たいと思っていました。
そして本より映画ほうが圧倒的に良かったです。
無言で進められるところとか、
余韻を感じるところとか。
おとなの俳優さんたちは、個性的で実力派ですが
子ども二人、演技が上手なのはもちろん
とにかく可愛い。
だから、とても心に訴えられるものがありました。
じゅりちゃんは、これから、もう虐待されなければいいなと思うし。
しょうたくんは「施設にあずけられて、どうかな」と思うけど、最近のいろいろな事件を見ていて
施設出身の子が悪いことをする話はきかない
むしろ愛情の薄い身内に育てられたほうが
問題おこすかなと思って
たぶんしょうたくんならきっと立派に育つだろうなって。
私、本の感想に
「映画を見てみたいです。
ふたつの雪だるまはどんなふうに表現されているのだろう。」と書いていました。
映画ではふたつめの雪だるまは登場しませんでしたね。
たぶん、じゅりちゃんは見ていたのかな。
それを想像させていたのかな。
映画を先に見ていたら、どう思ったかな。 -
一貫して家族をテーマにしている是枝裕和監督らしい作品だ。家族とは何か。いろんな切り方ができる内容で、観客に考える機会を与えてるように思えるのはいい映画だからだろう。
まずは、仲がいい家族があったとして、それは血の繋がりが関係あるの?そもそも血の繋がりって何?家族の要件って何?というとこでしょうか。
家族が仲がいいというシーンはこれまでもたくさん描かれてきているがどこかわざとらしくなるのだが、ここは《そして父になる》のリリー・フランキーを起用してうまく映像化している。子どもの演技の引き出しの巧みさも是枝裕和ならではだ。
リリー・フランキーは冷酷無情なヤクザもできれば、人がいいだけのお父さん役もできる。稀有の大スターですね。安藤サクラはまた名演。スゴイですね。樹木希林のおばあちゃんも絶品で、これが最後と思うと寂しくなる。子ども役の城桧吏は、 《誰も知らない》の柳楽優弥を連想させてこれから期待できる。これらの熱演を引き出す監督の力量がすごい。難を言うと、テンポがゆっくり目なので、少し退屈するところ。それでも場面の終了はスパッとしていて早いのであるが。
キネ旬2018 1位