その裁きは死 ホーソーン&ホロヴィッツ・シリーズ (創元推理文庫) [Kindle]

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感想・レビュー・書評

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  • 「メインテーマは殺人」に続く、ホーソンシリーズの第2作。ミステリーランキング3連覇に魅かれて購入。前作は未読であったが、問題なく読めた。イギリス小説好きにはたまらない、シニカルなユーモアが独特のリズムを創出し、大いに楽しめた。順番が逆転するが「メインテーマは殺人」も読もうと思う。

  • 元刑事のダニエル・ホーソーンを名探偵役、作家兼脚本家のわたし、ホロヴィッツをワトソン役にしたミステリー小説のシリーズ第二作である。

    今回の事件の被害者は、離婚専門の弁護士のリチャード・プライスである。自宅であるハムステッドの豪邸で、未開封の高価なワインのボトルで頭部を殴打された上に、割れたボトルの欠片で喉を殺害されて殺されていた。また、事件の現場の壁には、緑のペンキで「182」という数字が描かれていた。

    殺害時間はそんなに遅くないのに「こんな遅い時間に」という言葉を家の者が聞いている。



    さらに彼の大学時代の友人のグレゴリー・テイラーが、事件の前日にロンドンに上京し、地下鉄に轢断されていたことを知る。テイラーは難病に冒されており、その治療費をプライスに借りるためにヨークシャーから上京しており、警察は自殺か事故の可能性が高いと判断していた。

    プライスとテイラーは大学時代の友人であるが、その二人ともう一人の友人であるチャールズ・リチャードソンが洞窟探検を共通の趣味にしていたことが判る。しかし、リチャードソンは六、七年前の事故により、洞窟内で水死していた。プライスとテイラーは、結果としてリチャードスンを見捨てて生還しており、ホーソンとホロヴィッツはリチャードスンの周囲の人間による怨恨殺人を疑う。

    真相はこう。
    [以後ネタバレあり]




    洞窟事故が殺人の端緒。後の証言で救おうとしたができなかったと言っているが実はさっさと見捨ててしまっていた。そのことを知ったグレゴリー・テイラーはそれをちらつかせながら借金の申し出に行くが断られる。家族を養うためにしょうがなく、自殺をするが、事故に見えるように地下鉄での飛び込みを選ぶ。

    その前にグレゴリー・テイラーは、実はリチャードスンは見捨てて死んだことを奥さんのダウィーナ・リチャードソンに話をする。それを影で聞いていた子どもコリンが犯人。子どもが犯人なので「こんな遅い時間に」とは子どもにしてはという意味だった。「Yの悲劇」風で好きですね。また、「182」の数字もミステリ小説の影響だった。単にネットスラングでアイ・ヘイト・ユーのことだったというのはがっかり。



    これまでの二作に比べると小粒というかオーソドックスな作りだ。端正という言葉がピッタリだろうか。

    『縦横無尽に張り巡らされた伏線。何気ない一場面があとでまったく別の意味を持って立ち上がる興奮。鮮やかなレッド・ヘリング。そして真相が分ったときのカタルシスとサプライズ。トラディショナル・フーダニットの粋がここにある。』とは解説の言葉。ナットク。

    同時にメタフィクショナルということも指摘している。作者がワトスン役として登場し、ドキュメントと融合させている。アレックス・ライダーを見たばかりなので、何度も出てくるのが嬉しい。

  • 伏線の回収が気持ちいいのと、
    ホロヴィッツが本人役で出るのが面白い。

    ミステリの面白さにハマりそう。
    どんどん読んでいきたい。

  • 著者自身がホーソーンの助手(ホーソーンの本を書くという依頼で)として登場。
    この元警察官というホーソーンという男は謎だらけ。
    昔は違う名前だったり、同性愛者を毛嫌いしていたり、生活感がまるでなく、およそ好人物とはかけ離れている。
    その謎だらけのホーソーンを今後、あと8冊刊行して過去に何があったか解いていくそうだ。(あとがきより)
    今回も、レストラン大声で(周りの目がある中で)殺しの予告をするという”カササギ”とおなじシチュエーションが登場。
    仲良し3人の洞窟探検でのひとりの死。
    6年経ってからの残り続けざまのふたりの死の因果関係。
    大体、まさかって人物が犯人なんだけど、今回もそうだった。
    ホーソーンが”コリンそこにいるのかい?”って言葉でやっとわかったけど。
    胸を刺されたけど死ななくてよかったね。アンソニー・ホロヴィッツ。

  • アンソニー・ホロビッツが書いた、ホーソーンシリーズ2作目ですが、無類に面白い作品でした。

    1巻で探偵役の「ホーソーン」と助手役の「アンソニー・ホロビッツ」の人物像は掴めていますし、二人の関係性が徐々に出来つつあって、物語に没入しやすいです。内容的にも、相も変わらず伏線の張り方が本当に絶妙で、最後までジェットコースターの様に物語を楽しむことが出来ました。

    1巻と同様に登場人物が少ない中で、如何に犯人を見つけるのか、という展開になるのですが、動機面といい、犯人の絞り込み方といい、ストーリーが本当に絶妙で、最終局面に向けて色々と物事が気持ちよく納まっていくのも見事ですね。

    一見関係の無い出来事をつなぐ手腕も鮮やかですし、「ホーソーン」の性格の悪さが最後に爆発していて、別な意味での爽快感がありましたね。この人、本当に性格悪いわ、と痛感した、というか。

    ともあれ、無類に面白い小説であることは間違いないので、推理小説好きなら読んで損なしの作品かと思います。

    気になる方は第一巻から読んでみるのをオススメします!

  • 最後の最後までちゃんとだまされていたワタシはいい読者だと思う。スピード感のあるミステリーというか犯人探し、秋の夜長にぴったりな1冊。

  • シリーズ二作目。記録者としてあくまでもフェアで、さらに途中で手掛かりについて、読者への挑戦的なホロヴィッツの独白があり、戻って確かめたくなる。全部が明らかになれば綺麗なのに、一筋縄ではいかなかったストーリーに今回も夢中になった。実は今回の担当ガーラ警部の傲岸不遜さと、記録者としてだけを求めるホーソーン双方に気を遣うホロヴィッツが気の毒で、読んでいるうちにとても悲しくなって、それを引きずってしまった。でもこのミステリの快感をえるためとホーソーンの過去を知るために私はきっとこのシリーズを追いかけていくと思う。

  • 元刑事のホーソンと小説家アンソニー・ホロヴィッツのコンビが難事件に挑む第二弾。
    この作品の圧倒的リアル感は、いわゆるワトソン側となる
    アンソニー・ホロヴィッツがこの作品の作者であるという点。

    自分を登場人物として、作中で動かすというのはどういう気分なのだろうか。
    彼のリアルな仕事関係も作中で描かれていて、
    それがまたよりこのシリーズのリアルさを増している。

  • 『メインテーマは殺人』のホーソーン&ホロヴィッツシリーズ第二弾。今回もシャーロックホームズにタメを張るような正統派ミステリが、現実のホロヴィッツの仕事を作中に取り込むことで、圧倒的なリアル感を持つ。殺された離婚弁護士のリチャード、あからさまに怪しいアキノ、捜査中、電車に轢かれて死亡したリチャードの友人、過去に洞窟探検で起こった痛ましい事故。手掛かりはキチンと散りばめられている。一読では見通せなかったけれど。このシリーズは本当に面白い。今後、全10作のシリーズとなる予定とか。見逃せない。

  • ホーソン、ホロヴィッツコンビシリーズ第二弾。

    犯人の手がかりがどこかに隠されてると思うと一文も読み逃せない。油断できない。
    集中して読んでたつもりなんだけどな、謎が解き明かされるとこはもうページを行ったり来たり。笑
    そして深まっていくホーソンの謎。続編が楽しみで仕方ない!

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著者プロフィール

Anthony Horowitz
イギリスの作家。1979年、冒険小説『Enter Frederick K. Bower』でデビューし、YA(ヤングアダルト)作品「女王陛下の少年スパイ!アレックス」シリーズ(集英社)がベストセラーとなる。ドラマ『刑事フォイル』の脚本、コナン・ドイル財団公認の「シャーロック・ホームズ」シリーズの新作『シャーロック・ホームズ 絹の家』(KADOKAWA)なども手掛ける。アガサ・クリスティへのオマージュ作『カササギ殺人事件』は、日本でも「このミステリーがすごい!」「本屋大賞〈翻訳小説部門〉」の1位に選ばれるなど、史上初の7冠に輝く。続く『メインテーマは殺人』『その裁きは死』『ヨルガオ殺人事件』(以上、東京創元社)も主要ミステリランキングで首位を取り、4年連続制覇を達成した。


「2022年 『ホロヴィッツ ホラー』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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