- Amazon.co.jp ・電子書籍 (181ページ)
感想・レビュー・書評
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日本人の意識について、アンケート結果を分析してくれて、わかりやすい。日本の国政選挙は憲法と日米安保でしか争点にならないなんて・・・確かにそうかも。
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政治領域の価値観調査によって日本国民と既存政党の政治的価値観の状況を分析した上で、日本には健全な民主主義を育む観点から「いい意味」での分断による対立軸が必要だと提言した著作。
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作者と同じ象限にいるからなのか、
私としては非常に飲み込みやすくかつ、
客観的な記載が多いように感じた。
多くの項目について、
マジョリティ側を与党が主張しているので、
野党からすると戦いづらい構図になっていると思われる。
マジョリティを取り込もうとすると、
大きく与党と変わらない野党になってしまうし、
与党との違いを大きく出すと、
マジョリティを取り逃して当選が危うくなる。
私は嫌いだけど、感情に訴える戦略というのは
野党がとりうる合理的な戦略なんじゃないかと思った。 -
外交安保問題(護憲/改憲、日米安保の賛否)で分断が生じている以外日本には党派的な分断は存在しないらしい。その他の経済政策や社会政策は与野党似たり寄ったり。
リベラルの凋落の原因は著述通りだと思うし、マイノリティや環境問題に情緒的・倫理的にアプローチする左派ポピュリズムに対して合理的な有権者の賛同は得られず、無党派層から自民党支持者のリベラル層までリーチを伸ばさないと政権奪取は夢のまた夢でしょう。それには「外交安保で中道リアリズム寄りに振ったうえで使える戦略をすべて動員するしかない」と私も思う。
著書内の「価値観診断テスト」だと私は「自由主義」、つまり経済保守(経済成長重視)&社会リベラル志向らしい。著者と同じカテゴリーに入るのかな。分析結果の見方について腑に落ちる点が数多くありました。
「課題が複雑化・専門家」していて時代はエリートや専門家を必要としているにもかかわらず、リベラルはシングル・イシューの異議申立てや大衆動員型運動に流れ「エリートによる合理主義的アプローチ」から乖離しつつあるようにみえる。「一貫性ある政策パッケージ」を提示できるぐらいまで人工的な党派的分断を作ってでも政党間で政策競争が行われる政治状況を願うばかりです。 -
三浦さんは現実を極めて冷静に見てとても中立的な立場でいつも書いていると思う。民主主義は分断を産まざるを得ないという視点が自分にはとても斬新だった。本書は著者の研究所で行った日本人の意識調査からの考察で、とても参考にはなった。一方で、例えば年寄のほうが革新方向、若者がむしろ現状肯定的、というのは確かにアンケートからはそうなんだが、今の年寄の革新、というのは昔の全共闘的革新を夢見てるだけの極めて表層的な革新指向という気がする。その点はツッコミが足りない気がした。とはいえ、どのアンケートを見ても結局は自民党支持という今の日本の状況がなぜなのか、という問いへの答えが相当程度明確になる本でもある。
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書店で見て帯に印刷されていた日本の保守とリベラルに関する2次元チャートをみて面白いと思い買ってみた。
本の最初の部分にある価値観診断テストをやってみたところ、経済×社会の価値観でプロットすると自分はこの二次元チャートの「自由主義」に位置すること、経済×外交安保でプロットすると経済保守ー外交安保リアリズムに属することが分かった。自分の投票行動で政党に対する「好き嫌い」として感じていたことが可視化されてわかりやすかった。国政選挙では日本の特殊事情としての外交安保政策で投票行動が決められているという説はなるほどと思った。
また1992年の世論調査では「夫は外で働き、妻は家庭を守るべきである」という考え方に賛成する人が60%いたが、2019年の同様な調査では35%に減っている。これを見ると男女の仕事分担に関する価値観は変わっているように見えるが、実際に夫が家事をしている率はさほど増えていない、と言う話には納得した。私自身も仕事をリタイアして家にいる身であるが、慣れていないなどの甘えがあって妻と同様には家事をしていないことを反省する。