ミカンの味 [Kindle]

  • 朝日新聞出版
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感想・レビュー・書評

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  • 他者と共に生きていくことの困難さ、楽しさ、その上で生じる諦め、希望が描かれていたと感じた。
    真に他者の心を理解することはできず、「本心」を明かしたとしても浮かび上がる様々な疑念、そこから醸出される複雑な感情の渦。しかし、それを抱えながら、その存在を実感しながら、自分で選択していくこと。その尊さ。
    この4人がこれからどのような人生を選び、成長するのか。私は思いを馳せることにする。

  • 中学校の映画サークルで出会ったソラン、ダユン、ヘイン、ウンジは「いつも一緒にいる4人」として学内で知られている。中学3年生になる直前、済州島に行った彼女たちは衝動的に一つの約束を交わし、タイムカプセルに入れて埋める。未来が変わるかもしれないこの約束の裏には、さまざまな感情と計算による四者四様の理由が隠されていた。

    本作は、この約束をめぐる4人の少女たちの話を交互に生い立ちや現在を語る形で展開。幼なじみとの関係が突然終わってしまった傷を抱えるソラン、教師からの期待が大きく学校一モテるのにいつも寂しいダユン、古くさい父親と突然の困窮にイラ立ちを募らせるへイン、理由がわからないまま仲間外れにされた経験を引きずるウンジ。

    言葉にできない感情の狭間で揺れながらも何かを摑もうともがく少女たちの物語は、いつかの自分の姿に重なり、うずく心を優しく包み込んでくれる。まったく新しい「私たちの物語」の始まりだ。


    この本は危険だ。こいつは記憶の彼方に押し込めてあった思春期の恥部をフラッシュバックするヤバい本だからだ。"ずっ友"だとか"死ぬまで親友だぜ"などと誓ったクソガキ時代の臭い記憶が脳裏をちらつき、読書中にも関わらず「あー…」と思わず声を漏らしてしまった。この物語は韓国が舞台の女子中学生四人の友情物語だ。いや、これを"タダ"の友情物語だと言ってはいけない。極めて強い毒が含まれている。思春期特有の仲間意識が生みだす狂気という毒が。この物語を読んで改めて思った。若さって残酷でクレイジーだなって。

  • 外国小説あるあるだけれども、登場人物の名前と性格がなかなか一致しなかった。
    女子学生あるあるの人間関係だと思うけれども、日本より濃密な関係のように感じた。
    みんなで同じ高校に行こうと言っておきながら、実はそれぞれいろいろな思いがあって、ちょっとこわかった。

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著者プロフィール

チョ・ナムジュ:1978年ソウル生まれ、梨花女子大学社会学科を卒業。放送作家を経て、長編小説「耳をすませば」で文学トンネ小説賞に入賞して文壇デビュー。2016年『コマネチのために』でファンサンボル青年文学賞受賞。『82年生まれ、キム・ジヨン』で第41回今日の作家賞を受賞(2017年8月)。大ベストセラーとなる。2018年『彼女の名前は』、2019年『サハマンション』、2020年『ミカンの味』、2021年『私たちが記したもの』、2022年『ソヨンドン物語』刊行。邦訳は、『82年生まれ、キム・ジヨン』(斎藤真理子訳、ちくま文庫)、『彼女の名前は』『私たちが記したもの』(小山内園子、すんみ訳)、『サハマンション』(斎藤真理子訳)いずれも筑摩書房刊。『ミカンの味』(矢島暁子訳、朝日新聞出版)。『ソヨンドン物語』(古川綾子訳、筑摩書房)が近刊予定。



「2024年 『耳をすませば』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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