- Amazon.co.jp ・電子書籍 (208ページ)
感想・レビュー・書評
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他者と共に生きていくことの困難さ、楽しさ、その上で生じる諦め、希望が描かれていたと感じた。
真に他者の心を理解することはできず、「本心」を明かしたとしても浮かび上がる様々な疑念、そこから醸出される複雑な感情の渦。しかし、それを抱えながら、その存在を実感しながら、自分で選択していくこと。その尊さ。
この4人がこれからどのような人生を選び、成長するのか。私は思いを馳せることにする。
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中学校の映画サークルで出会ったソラン、ダユン、ヘイン、ウンジは「いつも一緒にいる4人」として学内で知られている。中学3年生になる直前、済州島に行った彼女たちは衝動的に一つの約束を交わし、タイムカプセルに入れて埋める。未来が変わるかもしれないこの約束の裏には、さまざまな感情と計算による四者四様の理由が隠されていた。
本作は、この約束をめぐる4人の少女たちの話を交互に生い立ちや現在を語る形で展開。幼なじみとの関係が突然終わってしまった傷を抱えるソラン、教師からの期待が大きく学校一モテるのにいつも寂しいダユン、古くさい父親と突然の困窮にイラ立ちを募らせるへイン、理由がわからないまま仲間外れにされた経験を引きずるウンジ。
言葉にできない感情の狭間で揺れながらも何かを摑もうともがく少女たちの物語は、いつかの自分の姿に重なり、うずく心を優しく包み込んでくれる。まったく新しい「私たちの物語」の始まりだ。
この本は危険だ。こいつは記憶の彼方に押し込めてあった思春期の恥部をフラッシュバックするヤバい本だからだ。"ずっ友"だとか"死ぬまで親友だぜ"などと誓ったクソガキ時代の臭い記憶が脳裏をちらつき、読書中にも関わらず「あー…」と思わず声を漏らしてしまった。この物語は韓国が舞台の女子中学生四人の友情物語だ。いや、これを"タダ"の友情物語だと言ってはいけない。極めて強い毒が含まれている。思春期特有の仲間意識が生みだす狂気という毒が。この物語を読んで改めて思った。若さって残酷でクレイジーだなって。