今、死ぬ夢を見ましたか (宝島社文庫) [Kindle]

著者 : 辻堂ゆめ

• 宝島社 (2019年3月6日発売)

感想・レビュー・書評

[りゅーれんさんの感想 · 2024年4月24日]

オチは途中から読めるけど、良い話。

主人公の巧は高校生の時に父親を殴り殺す。刑務所に入って、娑婆に出てくると、高校生時代の悪友が代表を務めるNPO法人で働く。
法人では、苦学生に奨学金として寄付を行い原資は裕福な高齢者が出す。巧は高齢者の新規獲得と寄付金回収を行う。

ある日乗ってた電車が人身事故で人をはねる。その時から明晰夢を見るようになり正夢となる。内容は悪友と一緒にコートの男に線路に突き落とされて死ぬ夢や、悪友がナイフで刺されて小学校時代の優等生を刺す夢や事務所で同僚を殴る夢など。

電車に乗ってる間だけ見る明晰夢だが、運命を変えようとしても結果は変わらない。そんな中、女子高生に電車で出会い彼女もまた明晰夢を見るという。7年後に死ぬ彼女から明晰夢について聞く。過去の夢と死ぬ夢のほかにとても未来の夢もありそこでは思い通り動けるしかいわもできるそう。

彼女は憧れていた先輩と婚約して死ぬのだが、運命を変えたくて足掻くと憧れていた先輩はグレて別の先輩と婚約する事になる。実は彼女はとても未来の明晰夢を見ている。憧れていた先輩は巧だった。

巧はNPO法人の現金回収は裏金になっており、老人が会話している相手は内勤や悪友だと知り怒って殴ったり、真実を知ってしまった巧を殺そうと襲ってきた悪友を刺したりする。

[Maiさんの感想 · 2023年1月29日]

辻堂ゆめさんの作品が好き。電車で自分が死ぬ夢（殺される）を見た主人公。同じ電車に乗り合わせた女の子に「予知夢」だと言われる。自分を殺そうと試みる犯人を突き止めて、死を防ごうとするけど…？女子高生と主人公や周りの人たちとの繋がり。読み進めていくうちに、全てがひとつにつながる。自分の気持ちによって、目の前の人は善人にも悪人にも変わる。

著者プロフィール

神奈川県生まれ。東京大学在学中の2014年、「夢のトビラは泉の中に」で、第13回『このミステリーがすごい！』大賞《優秀賞》を受賞。15年、同作を改題した『いなくなった私へ』でデビュー。21年、『十の輪をくぐる』で吉川英治文学新人賞候補、『トリカゴ』で大藪春彦賞受賞。

「2023年 『東大に名探偵はいない』 で使われていた紹介文から引用しています。」