刀と傘 (創元推理文庫) [Kindle]

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  • 東京創元社
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  • 明治初期、不可解な謎に挑むのは尾張出身の若き武士と初代司法卿江藤新平。
    同じ犯人にたどり着きながらまったく違った動機を浮かび上がらせたり、推理そのものが政治的な側面を持っていたりする。
    そのため両者の推理がどのように関連するのか見え難く、最後の一文まで緊迫感があった。

  • 新政府と旧佐幕のゴタゴタが残る、御一新まもない明治。司法省の江藤と師光が殺人事件の謎を解く連作短編。
    政治的背景を上手く絡ませ、化学捜査抜きで密室もあったりと新鮮な楽しさがあった。
    2人の裁く事への考えの相違と関係性の変化や驚きのラストなど、読み応え抜群。

  • 動乱の時代に起こった怪事件に挑む、江藤と鹿野。結末が、切ない。

    幕末と新時代の狭間の激動に身を投じた二人の男の物語。

    歴史小説とも、探偵ものとも、ハードボイルドともいえる、
    濃密な作品で、面白かった。

    一人は鹿野師光という、尾張藩の公用人で、
    もう一人は、実在の人物、江藤新平。

    この二人がひょんなことからバディとなり、
    密室の刺殺体、死刑を目の前にした囚人の毒死など、
    五つの怪事件に挑む。

    二人の立ち位置は、江藤が名探偵ホームズとワトソン君かなと思いきや、
    鹿野の重みはハンパない。

    強烈な江藤のキャラに引っ張られながらも、
    お互いを無二のものと感じる二人。

    だが、ある事件をきっかけに、
    それぞれの正義にズレが生じる。

    きっと、どちらも間違ってはいない、だが…。

    最終話が、切ない。

  • このミス2020年版5位。明治維新を舞台とした本格ミステリー。歴史背景を知らないのでわかりにくいところもあるが、理詰めで事件の真相を推理していくのがとてもリアル。2人の主人公の推理合戦とお互いに対する複雑な心の動きが緊迫感があって面白い。雰囲気もとても良いのだが、少し理解できない部分が残る。
    事前の知識なしで読み始めて期待してなかったのもあってとても良かった。

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著者プロフィール

ミステリ作家。1991年、愛知県生まれ。同志社大学ミステリ研究会出身。「監獄舎の殺人」でミステリーズ!新人賞を最年少受賞。2018年に同作を収録した『刀と傘 明治京洛推理帖』(東京創元社)で単行本デビューし、翌年に本格ミステリ大賞を受賞した。このほか著作に、『刀と傘』の前日譚となる『雨と短銃』(東京創元社)、『幻月と探偵』(KADOKAWA)がある。

「2022年 『京都陰陽寮謎解き滅妖帖』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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